駒つなぎのイチョウ
「駒つなぎのイチョウ」は、大久保鹿嶋神社の境内南側の高台に立ち、根回りは8m以上、幹回りは約5.6m、樹高は約20m、枝張りは約6~11mもあり、樹齢は550年以上と推定されている巨大な御神木です。
駒つなぎのイチョウという名前は、801(延暦20)年頃、当時の征夷大将軍であった坂上田村麻呂が、蝦夷征伐の折、この大久保鹿嶋神社に戦勝を祈願した際、イチョウの木に駒(馬)をつないだという伝説に由来します。
イチョウは雌雄異株の樹木であり、このイチョウは雄株で実をつけません。幹の中心は空洞もみられますが、太い幹が数本出て巨木に生育してきた様子が分かります。1969(昭和44)年に茨城県の天然記念物に指定されています。
また、大久保鹿嶋神社では、400年以上続く神事流鏑馬が毎年10月29日に行われています。河原子海岸で身を清めた後、神社前で流鏑馬が行われ、魔を祓い五穀豊穣を願います。流鏑馬は、参道一の鳥居前の県道(かつて馬場があった)約300mの区間で馬を馳せながら的を射るものでしたが、現在は参道にて、馬丁に引かれて歩いている馬の上から射手が的を射ます。併せて行われる弓道演舞も見応えがあります。この「鹿嶋神社流鏑馬」は、2019(平成31)年1月24日に市無形民俗文化財に指定されました。
また、8月には祭頭祭(万燈祭)なども行われています。
中世に茨城県北地方を支配した佐竹氏からの崇敬が厚く、神事流鏑馬は佐竹氏が奉納したことが始まりと言われ、以後現在まで続いているものです。流鏑馬は鎌倉時代から武士の訓練として行われていましたが、現在も行われているのは県内でも数か所のみです。
田村麻呂が、東北地方の平定後、戦勝を祈願した大久保鹿嶋神社に神殿を寄進したという言い伝えもあります。また、市内に数多くある鹿嶋(鹿島)神社の中で最も古いと言われています。
写真は、紅葉のシーズンも終わりに近い2020(令和2)年12月下旬頃に撮影されたものですが、太い幹から伸びる枝には、まだ色鮮やかなイチョウの葉が残されていました。樹齢550年以上とは思えない、たくましい姿は訪れる人々に感動と癒しを与えます。
基本情報
所在地
日立市大久保町2-10-16(大久保鹿嶋神社 0294-33-2025)
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