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staff blogスタッフブログ (動物園ブログ)

国際テナガザルの日!!

2020年10月24日

世界○○の日??

世界には共通の記念日がいろいろあります。
例えば世界保健の日(4月7日)や世界人権の日(12月10日)。
中でも動物園に関わりが深い動物の記念日があるのを皆様はご存知でしょうか??

今月はテナガザルにスポットが当てられ、10月24日は国際テナガザルの日と定められています。
普段はこの記念日に合わせて特別ガイドを行っていますが、今年はブログにて語っていきたいと思います!!!


ちなみに動物の記念日に関してはかみねっちょ新聞9月号にて触れているので
もし興味のあるかたは添付PDFよりご覧ください!!

国際テナガザルの日!

先述のとおり10月24日は国際テナガザルの日として定められています。
これは絶滅の危機に瀕しているテナガザルについて知っていただきたいと
IUCN(国際自然保護連合)の霊長類専門チームの小型類人猿部門によって
制定されました。
この日に合わせて全国のテナガザルの飼育園館ではイベントやガイドを実施しています。

テナガザルって??

とても長い前腕が特徴的な霊長類で、体重が5~6kg程度と小柄な体格からは
考えらえれませんがチンパンジーと同じ類人猿に含まれます。
チンパンジー・ゴリラ・オランウータンを大型類人猿と呼ぶのに対し、テナガザルは
小型類人猿と呼ばれます。現在地球上には4属20種が生息しており、一部を除いてほとんどが
東南アジアに生息しています。
当園では数多くのテナガザルのうちアニー、ユータ、チイの3頭の
シロテテナガザルを飼育しています。

 アニー ユータ

         アニー                   ユータ

 テナガザル
          
         チイ

実は絶滅危惧種・・・。

絶滅の危機に瀕している霊長類は何でしょう!と聞かれたらどんな動物を想像するでしょうか??
恐らく多くの方がゴリラやオランウータンと答えることかと思います。
しかし!!!!!!
実は最も絶滅に近い霊長類と呼ばれているのはテナガザルで20種全てが絶滅の危機に瀕しています。
シロテテナガザルも例外ではなく過去には中国にも生息していましたが、
現在では絶滅してしまったと考えられています。
    20種一覧     テナガザル分布
       ~4属20種一覧~             ~テナガザルの生息分布~

なぜ絶滅の危機に??

ここまで数を減らしてしまった原因は狩猟と生息地の破壊です。
生息地の破壊は特に深刻で、急速に森林伐採が進んでいます。
理由は居住地や大規模農園(プランテーション)の開発です。
生涯のほとんどを樹上で生活する彼らにとって木々がなくなることは
死活問題で、森林がなくなると縄張り争いの増加や生息域の断絶など多くの
問題が生じます。

 アブラヤシの木
   ボルネオ島に広がるプランテーション
       ~当園職員撮影~

 パーム油とは??

急速に開発が進んでいるプランテーションでは何を栽培しているのでしょうか??
東南アジアのプランテーションではアブラヤシと呼ばれる作物を生産しています。
なーんだ、初めて聞く名前の作物だしそんなもの食べたことないなと思ったそこのあなた!!
実はこのアブラヤシと私たちの生活とは切っても切り離せない関係なのです!!
この作物からは油を採ることが出来、パーム油と呼ばれます。
このパーム油は大量生産ができるため、企業にとっては安価に仕入れることができ、
私たちの身の回りのものに多く使用されています。

 トラックで運ばれるパーム油
    トラックで運ばれるパーム油
      ~当園職員撮影~

身の回りにあふれるパーム油・・・。

それでは一体どのようなものにパーム油は使用されているのでしょうか??
例をあげると、、、

カップ麺・フライドポテト・チョコレート・化粧品・洗剤・ポテトチップス・冷凍食品
レトルト食品・パン・マーガリン・ペットフード・医薬品などなどなど、、、。

挙げればきりがありません。
恐らくパーム油製品を使用したことのない方はいないのではないでしょうか??
こんなに使用されているのになぜ知らなかったのだろうとお思いの方もいるでしょうが
それは製品の成分表示に関係があります。日本ではパーム油のことを「植物油脂・植物油」
とまとめて表示しているためです。
※植物油脂=パーム油というわけではありません。植物油脂には菜種油や大豆油なども含まれます。

 成分表

私たちにできること。

絶滅の危機に瀕しているテナガザルを守るために何ができるでしょうか??
これ以上プランテーションを広げないためにパーム油製品を使わない!!
という声も上がりそうですが、ここまで生活に浸透してしまっているパーム油を
使用しないというのは非現実的です。また現地ではパーム油を生産することで生計を
たてている方々もいるため不買というのはその人たちの生活を脅かしかねません。
そのためパーム油を何も考えずに消費するのではなく、上手に付き合っていく事が
大切だと考えます。
パーム油には認証制度があります。環境や人権問題に関する基準を作成し、その基準を
満たした農園を認証し、そこで生産されたパーム油を使用している製品には下のマークが
付けられています。
※プランテーションでは野生動物・環境問題だけでなく、先住民族や劣悪な労働環境といった
人権問題も生じています。

認証マーク

欧米諸国ではこのパーム油の問題についての意識が高く、国際企業では積極的に
認証パーム油を使用しています。日本ではどうでしょうか??
日本においても認証パーム油を使用している企業・製品はありますが、
まだまだ多くないのが現状です。今後商品を購入する際、同じ商品であれば
認証パーム油を使用している製品を積極的に購入し、買い物を通して企業に
認証パーム油の使用を促すことが私たちにできることではないでしょうか?

今回のブログはなかなか重めの内容となってしまいました。
今回お話した内容を読んで、すぐに行動に移すというのは難しいことだと思います。
私自身ここまで語ってきましたがパーム油問題を意識して買い物しているかと聞かれたら、、、。
ですが野生動物が置かれている現状を知り、小さなことでも私たちにできることを
皆様と一緒に考えていけたらと思っています。
長くなりましたがここまで読んでくださりありがとうございました!!
少しでも野生のテナガザルの現状について知っていただけたら幸いです。
また、興味を持ってくださった方は是非ともご自身でさらに深く調べてみてください!

~画像引用~
IUCN SSC Primate Specialist Group`s Section on Small Apes(新しいウインドウが開きます)
WWF  持続可能なパーム油広がりを目指して RSPO総会参加報告(新しいウインドウが開きます)

(ボルネオ旅行でプランテーションの広がりに驚いた飼育員染谷)

2020年10月24日