毎回お待たせして申し訳ないです。チンパンジーのイチゴちゃんの出産についての続きです!
イチゴちゃん
その1
https://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/ooguri/blog202109.html
その2
https://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/ooguri/p098236.html
母子ともに無事であったことは何よりでしたが、赤ちゃんを上手に抱くことが出来ない様子のイチゴちゃん。赤ちゃんもあまり動きがなく元気がなくなってきたため、一度取り上げて状態を確認することにしました。
真夏で夜間も気温は高かったため抱かれていなくてもそれ程体温は下がってないと思っていましたが、持った時点ですでに体が冷えており体温計でも低温エラーがでてしまったため、急いで温浴をさせ温めました。
温浴中
温浴後ドライヤーで温め中
初めての哺乳も行い3mlと少ないながらも飲んでくれたのでまずは一安心。ちなみにミルクはヒト用の粉ミルクを使用しています。乳成分を比較してもほぼ変わらないためです。
体重は1750gと平均の範囲内だったため、さらに体温を上げるため保育器へとうつしました。
1時間ほど経つと体温も37度台へ上がり、2度目の哺乳では20mlほど飲んでくれ、少し状態が安定したため再度イチゴちゃんの元へと戻してみました。
赤ちゃんを見つめるイチゴちゃん
反応は良く赤ちゃんを持って運んだり、隣に寝転んだりはするのですが抱くことはやはり出来ない様子でした。
このまま夜を越させればもしかしたら抱くかもしれない、でも抱かずにまた体温が下がってしまったらどうしよう…という葛藤の中で獣医さんや他の飼育員と相談しまずは赤ちゃんの体力を考え夜は保育器へうつし、哺乳をすることにしました。
8月10日の朝の赤ちゃん。表情もしっかりしており元気な様子。
翌日には格子越しに他のチンパンジーたちにも赤ちゃんを見てもらいました。反応はそれぞれでしたが、みんな優しく手を出して触ろうとしてくれました。リョウマ君は初めて見る赤ちゃんに興味津々でした。
優しく触るヨウちゃん
イチゴちゃんは前日と打って変わってこの日は興味を示さず見に来ることもありませんでした…
状況を変えてみようと3日目の8月11日はイチゴちゃんに麻酔をかけて赤ちゃんを抱きつかせる試みを行いました。
これは赤ちゃんを抱かなかったチンパンジーに麻酔をかけ、眠っている間に赤ちゃんを抱きつかせたところ、麻酔から覚めるとそのまま抱き続けてくれたといった海外の事例からやってみようとなりました。
出産から間もないなかでの麻酔処置には体力の面でやや不安はありましたが、出産後からしっかり食事は取っていたことや、体重も約3kgほど増量していたことから大丈夫だろうとなりました。
麻酔がかかった後はまず母乳が出ているのかを確認をしました。かなり胸が張っていたこともありしっかり母乳が出てきました。何とか赤ちゃんに吸いついて、しがみついて欲しいと思いましたがなかなか難しく、イチゴちゃんも朦朧とした意識の中で動くため赤ちゃんを下敷きにしてしまい、このままではダメだとなりこの試みは失敗に終わりました。
赤丸が赤ちゃん。上手く抱きつかせられませんでした。
麻酔からの覚醒は早くすぐに落ち着いてくれたため、寝室に赤ちゃんを置いて再度同居をさせてみました。赤ちゃんは何かを掴んでいないと鳴くため、イチゴちゃんはどうにかしなきゃと思うのか持ち上げたり、横に寝転がったり、上に覆いかぶさってみたり必死に色々な行動を起こしていました。抱き上げることもしていたのですが見ていると胸やお腹にくっつくのが嫌なようで赤ちゃんが掴もうとするとその手を持ってしまっていました。また背中側を自分のお腹にくっつけて抱くなど、あとちょっとだけど違うといった様子でした。
胸には抱いているけど腕を持ってしまっています
こちらも抱いていますが逆向きに抱いてしまっています
しばらくして赤ちゃんが敷いてある藁を掴んで鳴かなくなると安心したのかそのまま置いていってしまったためこの日の同居は終了としました。
その3はここまでです。次こそは頑張って早く書きますのでその4をお待ち下さい!
(チンパンジー担当 おおぐり)