お知らせではお伝えしていましたが、一か月ほど前の2月23日にチンパンジーの「ナナ」が亡くなりました。
チンパンジーの寿命は50年前後と言われているため、18歳はとても若くこれからの活躍に期待をしていただけに残念でなりませんでした…
ナナは2012年9月26日、生まれ育った宇都宮動物園からやってきました。
「ナナは何でも食べるよ」と言われていましたが、突然の仲間たちとの別れ、環境の変化のためかしばらくはあまりエサを食べてくれず心配な日々が続きました。
徐々に環境に慣れてもらえるようゆっくりとメンバーたちとのお見合いを続け、翌年の1月には一緒に過ごせるようになりました。
おだやかな雰囲気で、子供たちともよく遊び、帰りの遅いヨウを迎えに行ったり、仲間想いの優しい性格でした。
ゴウとナナ。良きお姉さんでした。
現在子育て中のヨウやマツコもまだ繁殖は出来ますが、それなりに年齢を重ねているため、次世代の担い手となる新たなメンバーとして、群れで育ち、出産、育児経験のある若いナナに来園してもらうことになりました。
チンパンジーは群れのなかで色々なことを学習して成長します。交尾や子育てもその一つです。
この先ナナが群れの中で交尾をし、出産、子育てをするということは現在3歳のゴウ、2歳のリョウマにとっては学習をする大きなチャンスでした。
さらに、ナナはリーダー(アルファ)であるゴヒチだけでなく、ゴヒチの息子であるユウとも交尾をしていました。まだまだ頼りないところもあるユウにとっては初めての交尾であり、良い経験と自身につながる大きな一歩となりました。
実はナナは亡くなる3日前に出産をしていました。残念ながら死産でした。
すでに息のない赤ちゃんを大事そうに抱き、メンバーたちも興味津々で覗きこんでいました。初めて出産と赤ちゃんを目にしたゴウは特に興味を示し、積極的に触ろうとし、ナナもそれを嫌がらずに触らせていました。
たったの1年半でしたが、ナナがメンバー達に残してくれたものはとてもとても大きいものでした。
2月22日~3月2日まで設置していた献花台。たくさんのお花やメッセージありがとうございました。
生きている限り、死は必ず訪れます。分かっている事ですが辛く悲しいものです…
ただ悲しんでばかりはいられません。早すぎた死を無駄にせず、これからもナナが大切にした仲間たちのために頑張っていかなければなりません。
現在、他のメンバー達は変わらず元気に過ごしています!
もうすぐかみね動物園の桜も咲き始めますので、ぜひチンパンジー達に会いに来て下さい!!
(チンパンジー担当 大栗)