大変お待たせ致しました!チンパンジーのイチゴちゃんの出産についての続きです。
その1はこちらから↓
https://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/ooguri/p097838.html
イチゴちゃん
お腹が大きくなるにつれ、いつも以上に水を飲んだり、あまり食べなかった枝葉や草類を食べるようになったり、逆に今まで食べていた野菜類を食べなくなったり、食べるものに変化がみられるようになりました。
珍しく野草を食べるイチゴちゃん
さらに、イライラしている日、いつも以上に遊んでほしそうな日、群れの中で急に騒ぎ出す日などといった行動の変化もみられるようになりました。
体調や精神面を出来る限りフォローしていくと共に、無事に出産が出来るのか、そして育児をすることができるのか、という大きな心配がありました。
イチゴちゃん自身が人工保育だったことや、群れの中で他のチンパンジーたちが子育てをしている光景を見たことがない中でしっかり子育てをするのはかなり厳しいだろうという風に考えていました。
「育児って本能で出来ないのですか?」、と聞かれることがありますが、「どうにかしなくちゃ」という気持ちは芽生えるかもしれませんが、全く経験のない事を行うのはとても難しいのではないかと思います。特にチンパンジーは妹や弟の面倒を見て子育てを学んでいくため余計に難しいと言われています。
今までの例から子育ての映像を見せたり、ぬいぐるみを抱いているのを見せたりといった育児練習を行いました。しかしイチゴちゃんはどちらにもあまり興味を示さず、どれだけの効果があるのかは何とも言えない状況でした。
さらにもう一つ心配だったのは初めて見る赤ちゃんにパニックを起こしてしまわないか、パニックになって誤って赤ちゃんを傷つけてしまわないかという事でした。
色々な事を想定し、落ち着きがあり、何かあった時に助けてくれる存在としてリョウマ君のお母さんであるマツコちゃんと夜間も同居するようにしました。
白羽の矢が立ったマツコ(右)と息子のリョウマ(左)
チンパンジーの妊娠期間は平均で230日前後であることから出産は8月中旬から下旬と考え、その前に暗視カメラを取り付けたり(一度マツコに破壊されてしまいました…)、藁を大量に敷いたりと出産に備えました。
そしてついに!予想していたよりも早い8月9日の朝赤ちゃんが生まれているのを確認しました!!
ただ残念ながら予想していた通りイチゴちゃんは赤ちゃんを抱いていませんでした。それでももう一つの心配だったパニックになってしまった様子はなく、赤ちゃんは元気に藁の上で動いていました。まずは母子ともに無事であることが何よりでした。
無事に出産は出来たがどうしたら良いのか分からない様子
後から録画したものを確認してみると8月8日の夜10時38分に出産した様子が残されていました。赤ちゃんが出てきたところをしっかり受け止めており素晴らしい行動でした。
またイチゴちゃんは赤ちゃんを抱いてはいませんでしたが、「大切にしなくちゃ、何とかしないと」という気持ちがあるようで移動する時にその場に置いていく事はせず抱えてくれていました。なんとか上手くそのまま胸に持っていき授乳してくれないか、と見ていましたが赤ちゃんの手や足をもってしまい、休んでいる時は近くに置いておくといった様子でした。
またマツコちゃんもかなり気にしてはいましたがイチゴちゃんに気をつかっており赤ちゃんに近づく様子はありませんでした。
チンパンジーの赤ちゃんは適正な体重で生まれ、温度が保たれていれば数日間は授乳がなくても大丈夫だと言われていたため、攻撃する様子もなかかった事からしばらくは様子をみることにしました。
しかし時間が経つにつれイチゴちゃんが赤ちゃんを置いたままにしておく様子が見られるようになり、また赤ちゃんの元気がなくなっていく様子も見られたため、一度状態を確認してみることとしました。
さて、その2はこここまでです。写真があまりなく文章ばかりですがここまで読んで頂きありがとうございます。次は出来る限り早くその3を書きたいと思いますので少しの間お待ち下さい。
(チンパンジー担当 おおぐり)