先日、病院に行った際に待合室で女の子とそのお母さんが動物の絵本を読んでいる場面に遭遇しました。
母「この動物はなーに?」
娘「キリンさん!」
母「この動物はなーに?」
娘「ペンギンさん!」
母「この動物はなーに?」
娘「えー、なんだろう・・・」
母「動物園で見たやつだよ!」
娘「あ、カメレオン!みたみた!」
何気ないやり取りでしたが、爬虫類を担当している私としてはそれはもう嬉しくて思わずカメレオンの飼育員のお兄さんだよって声をかけたくなってしまいました(そこは我慢しましたが)。3歳の女の子(ちょっとお話をしたら3歳とのことでした)がカメレオンを知っていることに驚きました。でも、冷静に考えてみるとて本物のカメレオンを当たり前のように目にできる環境ってとても貴重なことだと思います。
<エボシカメレオン>
昨年の11月にオープンしたはちゅウるい館ですが、完成までには色々な苦労がありました。その中でも「かみね動物園に、日立市に、爬虫類館を作る意味はなんだろう」ということはとても悩みました。園内で分散飼育している爬虫類を一か所に集めて住みよい環境を提供するということも目的の一つでしたが、それはこちら側の話であって来園してくれる皆様に何が提供できるのかが大きなテーマでした。その結論は、爬虫類ってなんだろう。カメとは、ワニとは、トカゲとは、ヘビとはどんな生き物なんだろうといった爬虫類に初めて出会う場所にしようとなりました。
<はちゅウるい館> <苦手な人も多いヘビ>
そのためマニアックな種類を集めるよりも水を泳ぐ、陸を歩く、木に登る、地面を這う、などそれぞれの爬虫類の代表選手みたいな種類を中心に選定しました。正直、爬虫類好きの方にとってはちゅウるい館のラインナップは物足りなく感じるかもしれません。もちろん珍しい種類もいますが。
<リクガメ代表と言って良いケヅメリクガメと日本では飼育園が少ないクチヒロカイマン>
爬虫類は他の動物に比べて敬遠されてしまいがちですが、哺乳類とはまた違った面白さや奥深さがあります。展示場で耳を傾けていると、「カメさんだ」「ワニさんだ」という声が聞こえてきます。もちろん細かい種類や生態まで学んで帰ってもらうに越したことはありませんが、まずは本物の爬虫類に出会って、じっくり味わってもらうことが大切だと思っています。(ほんとに食べるわけはないですよ)その中で、興味がわいたり、発見や疑問が出てきたら飼育員に聞いてもらったり、近くの説明版を読んでもらえれば良いのかなと思います。
<病気じゃないよ脱皮だよ> <ワニは何を食べるかな?>
はちゅウるい館がオープンしてもうすぐ1年になりますが、みなさまにとって爬虫類がもう身近な生き物になってきていることを実感しつつ、今後さらに日立市の爬虫類熱が高まるように精進してまいります!
餌用のコオロギの繁殖に命を燃やす 中本