10月3日から25日まで、どうぶつ資料館にて「象のうんこが象を救う?!象×UNKO=Artあ~と展」を行いました。
かみね動物園でもおなじみとなりつつある、ゾウの糞で作った紙によるアート作品の展覧会です!
今回の企画は元宇都宮動物園飼育員の中村亜矢子さんが主催するもので、NPO「アフリカゾウの涙」 が協賛しています。ゾウのうんこという一風変わった切り口から、アートを通してゾウのおかれている現状や環境問題を考えるきっかけにしてもらいたいと全国を巡回しており、当園としても、野生動物をめぐる問題を考えてもらうということで趣旨に賛同しました。
<中村亜矢子さん>
なんでうんこで紙?という疑問が浮かぶと思いますが、ゾウの糞には未消化の繊維がたくさん含まれているため紙づくりに適しています。生の草では繊維が多すぎるし、他の動物の糞だと消化が進みすぎてて紙にならないということからゾウの糞なのです!
<左 サイ糞 右 ゾウ糞> <洗浄した糞>
ただし、糞がすぐに紙になるわけではなく、きれいに洗浄した後、鍋で煮たりミキサーにかけたりといくつかの工程を経て紙の原料が出来上がります。
そうして手間隙かけて作ったゾウ糞紙だからこその質感があり、普通の紙には出せない味のある作品が並びました。
また、展示会と併せてワークショップ「ゾウ糞でアートを作ろう」を行いました。
下絵を描いたゾウ糞紙をバラバラに切ってそれぞれに色を塗ったり絵を書いてもらい、それをつなぎ合わせて一枚の大きなアートを作りました!!
今回はゾウ糞紙に加えて一緒にサイ糞紙も登場しました!
サイもゾウと同様に繊維の多い糞をします。さらには、ゾウと同じく絶滅が危ぶまれている動物です。
<ゾウ糞紙で作ったゾウ> <サイ糞紙で作ったサイ>
ゾウとサイは野生で生息数を減らし、絶滅の危機にある動物です。
その主な原因はゾウの牙、サイの角を目的とした密猟です。
密猟者が悪い、そもそも買う人が悪いなど様々な意見がありますが、文化や政治、宗教など様々な問題が複雑に絡み合って簡単に解決できるものではありません。
ただひとつ確実なことは、ゾウが、サイが、絶滅してしまうことがあってはならないということです。
だから、みなさまにはゾウやサイなど多くの動物たちが人間によって絶滅の危機に瀕していることを知っていただければと思います。
われわれ日本人もニホンカワウソやニホンオオカミを絶滅させてしまいました。
ただ、その自覚を持っている人はほとんどいないでしょう。
「昔の人がやったことだから」「アフリカで起きてることだから」と言って他人ごとですますのではなく、ぜひ「自分の生きている今起こっていること」として受け止めてもらいたいです。
動物園の動物たちは、ただ私たちを楽しませるためだけに野生からやってきているわけではありません。目の前のこんなにも魅力的な生き物たちが絶滅してしまう、というメッセージを伝える使者でもあります。
まだまだ私たちも努力不足ではありますが、少しでも野生動物の現状を知っていただけるような取り組みを今後も続けていきたいと思います。
美術の成績は・・・飼育員 中本