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staff blogスタッフブログ (木村加奈子のブログ)

マンドリルのリエル、初めての出産

2016年6月9日

マンドリルのリエル(♀)が5月30日に赤ちゃん1頭を出産しました。しかし、翌日の31日に赤ちゃんは死亡しました。とても残念な結果となってしまいましたが、この場をお借りして出産前後の両親、赤ちゃんの様子を皆さまにお伝えしたいと思います。

 

<リエルの来園>                                                                             

かみね動物園には現在二頭のマンドリル、ケンシロウ(オス、10歳)とリエル(メス、5歳)が生活しています。

ケンシロウ (ケンシロウ、♂)

リエル(リエル、♀)

母親のリエルがかみね動物園にやってきたのは2014年、福岡県の大牟田市動物園からはるばるケンシロウのお嫁さんとしてやってきました。

当時の年齢はリエル3歳、ケンシロウ8歳。マンドリルの性成熟はメスが4歳、オスが5歳でまだ若い二頭でしたので、繁殖する日を楽しみにしながらもゆっくりとその関係を見守っていました。しかし、こちらの心配をよそに二頭はすぐ仲良くなり、リエルが性成熟を迎える頃になると交尾をする姿もみられるようになりました。そして昨年末、待望していた新しい命がリエルのお腹に宿りました。

 

<リエル、出産>

リエルのお腹は日増しに大きくなり、出産前は誰がみても赤ちゃんがお腹にいることがわかるぐらいパンパンに。産まれる日を今か今かと待ちわびていたところ、5月30日の朝、ついに赤ちゃんが誕生しました。リエルにとって初めての出産ではありましたが、赤ちゃんはしっかりとした状態で産まれてきてくれていました。しかし、発見した時にリエルは赤ちゃんを抱いていませんでした。出産後の二頭は比較的落ちついており、赤ちゃんを気にしながらも遠くから様子をうかがっていました。赤ちゃんはというと元気に鳴き声をあげジタバタと動く様子もみられました。

 妊娠中(妊娠中のリエル)
 

<同居への試み>

赤ちゃんに外傷がみられなかったことと、両親が赤ちゃんに対して攻撃的な態度を示さなかったことにひとまず安堵し、早速赤ちゃんをリエルに抱いてもらうよう試みることにしました。

赤ちゃんを安全な場所に移動させた後、リエルと一緒にしました。リエルは一度実の母親が出産と子育てをする姿をみた経験があったためきっと赤ちゃんを抱いてくれると信じて様子を観察していました。しかし、リエルはなかなか赤ちゃんに近づかず、やっと近づいたかと思いきやしっかりと抱っこができないまま赤ちゃんを持ち激しく動き回るような状態でした。そして、すぐ赤ちゃんをおいてその場から離れてしまいました。赤ちゃんの元気が消失し始めこれ以上の同居は命に関わる危険性があったため、赤ちゃんの命を優先し親元から取り上げ体力の回復をはかることにしました。その後、保温と哺乳を続け状態が安定した頃を見計らい再度同居にチャレンジしましたが二度目も失敗。赤ちゃんの身体への負担を考え同居の試みは翌日に様子を観ながら行うこととしし、そのかわり両親に赤ちゃんの存在を忘れないでいてもらうため、お見合いというかたちで親子で顔を合わせることができるような時間をもうけました。

お見合いの様子(赤ちゃん、お見合いの時の様子)

親子のお見合いを終えたあとも赤ちゃんの状態が心配であったため、夜間も引き続き状態の確認を行いました。ミルクをあげると飲んではくれていましたが、時間が経つにつれ、身体が痙攣したり、目の動きに異常がみられたりするなどの症状が目立つようになりました。その後、急激に状態が悪化し5月31日2時45分に赤ちゃんの死亡を確認しました。

解剖の結果、死因は脳挫傷であると判明し、出産時もしく同居を試みた際に頭を打ち付けたことが原因となったと考えられます。

幸い母親であるリエルは出産後身体に異常もみられず、今まで通りケンシロウと穏やかに過ごしています。

 

<さいごに>

今回リエルが出産に至るまでに、様々な方が母体や産まれてくる赤ちゃんの状態を気にかけてくださり、中には激励の言葉をかけてくださる方もいらっしゃいました。赤ちゃん誕生の喜ばしい報告を心待ちにしていた方も多い中このような残念な報告となってしまい、とてもやりきれない気持ちでいっぱいです。

 マンドリル赤ちゃんの顔

今回の妊娠、出産はリエル、ケンシロウまた担当者にとっても初めての経験でありましたが、それにもかかわらずリエルはとても立派な子供を産んでくれました。結果的にこちらの力不足で赤ちゃんを救ってあげることができませんでしたが、次の繁殖にむけての課題・改善点を認識する重要な機会となりました。

二頭はまだ若いペアであるため、今後の繁殖が期待されます。次生まれてくる赤ちゃんの命はしっかりと守れるよう、今回の事を教訓に準備を整え、その日を待とうと思います。

今後ともマンドリルたちの健康と活躍を皆さまに温かく見守っていただけたらと思います。 

 

<今回の出産状況>

最終交尾:平成27年12月6日

出生日:平成28年5月30日

妊娠期間:176日(一般的な妊娠期間:約170日)

赤ちゃんの体重:970g
 

<参考情報>

マンドリル(霊長目オナガザル科、学名:mandrillus sphinx、英名:Mandrill)

アフリカ中央部にあるカメルーンやガボン、コンゴなどの熱帯雨林に生息し、果実や種子、きのこ、昆虫、小動物などを食べます。群れで暮らし、頭数が400頭を超えることも。寿命は飼育下で20~25年程度といわれています。

ワシントン条約では附属書Iとされており、IUCN(国際自然保護連合)レッドリストではVU(絶滅危惧II類)に指定され、絶滅が心配されています。

2015年の段階で国内の動物園では24園館、雄35頭、雌35頭の計70頭が飼育されていますが、個体の高齢化が問題となっています。

2016年6月9日