寒いのは大の苦手、暑い方が得意。という動物たちは、冬よりも夏の方がイキイキとしています。
(猛暑日とかはさすがにキツそうですが・・・)
〈クロサイ〉
夏の方が得意な動物、例えばクロサイ。暑い日でもよく日向ぼっこをしています。
しかし、夏は良いことばかりではありません。
〈クロサイのほっぺについているサシバエ〉
サシバエというハエの仲間が発生するからです。
クロサイのほっぺの辺りにある黒い点々がサシバエ、ひどい日にはもっと大量に発生します。
サシバエとは動物の血を吸うハエ、我々人間にとって蚊のような存在。
動物たちにとってはすごいストレスになっていると思われます。
そんな動物たちのストレスを少しでもなくすために、動物園では大学や家畜保健所などの力もお借りして、様々な対策をしています。
〈リボンハエトリ〉
まずはこちら、リボンハエトリ。粘着性のあるリボンです。
これを吊るしておくと飛んでいるサシバエがひっかかっていきます。
〈トラップ〉
続いてはこちらのトラップ。
青色の所がネバネバしていてとまったサシバエをくっつけます。
〈忌避剤〉
そしてかなり効果があるのはこちら!害虫を寄せ付けない薬、忌避剤です。
今まで何種類か試してきましたが、今は上の写真の薬を使っています。
〈希釈した忌避剤〉
この薬を100倍希釈、つまり薬と水を1対99の割合で混ぜます。
希釈した忌避剤を霧吹きなどで動物の体に吹きかけると、虫よけスプレーをしたかのようにサシバエが寄ってこなくなります。
〈ハッカ油〉
ハッカ油も忌避剤と同じような効果があるので、ハッカ油2、サラダ油100の割合で混ぜて吹きかけていました。
ただ匂いがツ――ンとする上にベッタベタなので扱いにくかったです・・・
動物自身は全然気にしていないようでしたが(笑)
〈草刈りをする前〉 〈草刈りをした後〉
草刈りもサシバエ対策には効果的です。
サシバエは伸びた雑草などにとまって休憩をするようなので、その休憩場所を定期的に刈り取ります。
〈捕虫器〉
そして今年、新規導入した捕虫器!!
電気や薬品を使わずに、サシバエやアブなどの害虫を捕獲するトラップです。
〈捕虫器(骨組み)〉
まずは骨組みを組み立てて、、、
〈捕虫器(完成)〉
黒いバルーンを吊るして緑の傘を取り付け、最後にてっぺんに水入りのタンクをセットして完成!!
想像していた以上に立派な捕虫器だったので、組み立てるのも一苦労でした。(笑)
どの様な仕組みでサシバエを捕虫するのかというと
(1)日光でバルーンが温まる。
(2)サシバエがバルーンの熱を、動物の体温と勘違いしてとまる。
(3)飛んで逃げようとするが、傘に当たって上の水入りタンクに誘導される。
(4)タンク内で蒸されたり、水で溺れたりして死亡する。
という感じです。
まだ設置したばかりなので少ししか捕虫できていませんが、夏本番には大量につかまることを期待しています。
サシバエを0にすることは難しいかもしれませんが、少しでも数を減らして動物たちのストレスを軽減できるように色々な方法を試していきます。
(飼育員:カザマ)