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令和2年5月28日(木曜日)

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飼育員、国際会議に出る~ワークショップ編~

令和2年5月28日(木曜日)

京都で無事(?)ポスター発表を終えた飼育員たち

(前回のブログをお読みください)→クリック! 

翌日はエンリッチメントツールを作るワークショップに参加するため京都市動物園へ向かいました。
今回は動物園にいる動物たちが抱える問題を飼育員から聞き出し、あらゆる工具や材料を使ってそれを解決するツールを作製します。

会場ではヤブイヌ、ゴリラ、チンパンジー、トラの4つのチームに分かれて、私はトラのチームに。元担当していた動物なので少しホッ。
チーム内には海外からやってきた飼育員、ボランティア、展示を考えるコンサルタントなどあらゆる形で動物園に関わる人が集まり当然共通言語は英語です。
各チーム、ファシリテーターと翻訳者が付いてくれましたがドキドキのミーティングが始まりました。

まずは実際にトラの運動場を見ながら飼育員さんよりこんな物が欲しいという要望を聞きます。

京都のアムールトラ
    <京都のアムールトラ>

トラの担当者さん曰く「(あらゆる制限があるので)トラを一度部屋に入れて日中ごはんを運動場に設置することができない。また日中なかなか餌をとりつけてあげられる時間も無いので自動給餌器のようなものが作れないか?」とのこと。

これは英訳Auto feederで合ってるのかな?と不安を抱きつつ話してみると通じました。

どうやって作ろう・・・というわけでお互いのアイディアを持ち寄って話してみます。
私が考えたアイディアはこれ。

フィーダー案
 <井上が描いたフィーダー案>

氷を使用して溶け切ったころに丸鶏が落ちてくるというFeederです。ふわふわしたアイディアを身振り手振りで説明したらなんとか通じてこれを作ってみようという話になりました。

フィーダーを作る ベッドを作る
     <フィーダー作り>              <ベッド作り>    

用意された材料を使って作ります。Feederにはトラがかじっても壊れない頑丈な浮き?を使用。穴を開けてチェーンを付けて・・・。

これに丸鶏と氷を入れたら完成です。意外と簡単にできました。

ここで大事なのはできた後に担当者や動物園の職員の皆様に使用しても問題ないかきちんとチェックを受けたこと。トラが怪我しないか、破片などをトラが口にすることはないか、人間が使って安全なものか。作った本人だと気づかない点も第3者に見てもらえば新たな改点があるかもしれません。幸い、このフィーダーはOKを頂きました。
これは中を凍らせないといけないので今日使うことはできません。中に肉をセットして冷凍庫で凍らしてもらいました。

その他、トラの休息場所も作りたいということでベッドも作製。
消防ホースを縦横で編みながら外れないようボルトで止めていきます。
これがなかなか時間がかかる作業・・・。耐久性はほぼ見ず(本当は駄目ですよ)どうにかこうにか形にして終了です。

説明タイム 説明タイム2
     <ヤブイヌチーム>            <チンパンジーチーム>

できあがったツールを各班で説明しています。ここまで来ると不思議と初日より英語も聞き取れるようになっていました。どの班も限られた時間と材料で色々と工夫してあります。

本当はできあがったツールを実際に動物に使ってもらってから初めてそのツールの評価ができるのですが本日はそこまで時間が無いのでこれで終了。

後日京都市動物園のトラ担当の方がブログをアップしてくださいました。
ICEEのWSでトラ用にこんなもの作ってもらいましてん。
ICEEで作ってもらった例の○○○○がボッコボコにされましてん
  
見事なまでにぼっこぼこ(笑)
でもこれは想定の範囲内。あきらめずに試行錯誤を繰り返してエンリッチメントは作り上げていくもの。
担当者の方曰く、「氷を使うフィーダーは春から秋は良いけれど、冬は解けづらく肉が落ちてくる時間が読めない」そうです。
これらの問題点を改善してまた作ろうかなと言ってくださいました。

ベッド
 <ベッドは使っていただいてるようです>


今回国際会議に参加してみて海外と日本のエンリッチメントに対する考え方の違いにかなりショックを受けました。
日本では動物園動物のエンリッチメントは飼育員個人の裁量に任されている部分が多いのですが、海外では主要な仕事の一つとして組織で取り組んでいる所がほとんどです。
改善・更新が必要なのに担当替えなどが定期的にある飼育員個人の力では継続するのが難しいです。
しかし組織で考えればエンリッチメントを継続的に、そして職員同士で情報共有し合って高め合うことができるのではと思いました。
残念ながら当園ではまだそのようにエンリッチメントを考えることはできていません。
しかし出来るところから始めてみようと昨年私のいる班内で話し合ってみました。
今後動物園にいる動物たちのためにも少しずつですが前進してゆこうと思います。

(飼育員 次はもっと英語喋るぜ いのうえ)

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