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part7
www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/inoue/p066261.html(新しいウインドウが開きます)
ジャングルトレッキング中はガイドが共に歩いており、別のルートを歩いているグループのガイドと無線でやり取りをしています。
どこどこにテナガザルを発見!なんて無線が流れようものなら「Hey!Come on!」というかけ声で慣れないジャングルを他の動物を怖がらせないよう小走り。1km程度走ったけど既にその場所にはいなかった、なんて事もありました。
けれどその日はガイドのJeffreyの声もはずんでいて、ぜひ私たちに見てもらいたいという気持ちが伝わってきました。何が出たのか聞くと笑いながら「Orang-utan!」
オランウータン!!
私がボルネオ島に来て最も会いたかった野生動物です。
Jeffreyにも会いたい会いたいと言い続けていたので俄然期待が高まります。
そしてたどり着いた先に・・・
い、いたーーー!
メスのオランウータンが樹上の間を縫うようにゆっくりと動いています。怖がらせないよう私たちは50mほど離れた場所から双眼鏡でそ~っと観察することにしました。
彼らはボルネオ島とスマトラ島のジャングルにしか暮らしていない大型類人猿です。
赤毛色の長くてふさふさの毛。オスはメスに比べて顔周りにひだが発達します。
主に果実を主食としています。ゆっくりと移動しながらごはんを探しているのでしょうか。
なんと子供も一緒にいました。まだおっぱいを飲んでいそうな歳の子供。大体7~10歳で親から独立すると言われています。
この後大雨に見舞われたのでもしかしたらそれを見越して親子で雨宿りできる場所を探していたのかもしれません。
オランウータンは基本的に群れを作りません。この辺りが彼女たちの行動範囲なのでしょう。
2015年に行ったシンガポールZOOでは園内のいたるところにオランウータン移動用のロープと休息所が張ってあり、頭上を彼らが行き来する姿は迫力がありました。
国内だと多摩動物公園や旭山動物園などもオランウータンがより広く動けるような工夫をしてあります。
単独生活者で広い縄張りを持つ彼らの特性を上手に生かした展示は来園者にオランウータンという動物の魅力発信ができます。世界中の飼育園館がジャングルでの彼らの暮らしに近づけようと努力しています。
実は私、ボルネオ島に着いてから2日目にオランウータンを見ることはできていました。
ただし彼らは野生ではなく飼育個体。けれど動物園に見に行ったわけではありません。
この辺りのお話を最終回となる次のブログで書きます。
あと少しお付き合いください。
おまけ
原生林(昔からある森)の木々は本当に高さがあり、樹上の動物を見るのに双眼鏡や望遠レンズは必須です。しかし地上より高い目線で観察することもできます。
キャノピーウォークと言って木々の間に高い橋がかけてありこの間を渡りながら森を広く見渡すことができます。
Part6で登場する野鳥たちはほとんどこのキャノピーウォークで発見しました。
朝、清々しい空気の中ここを歩くのはとても気持ちが良くおすすめなのですが高所恐怖症の人には耐えられないかも?
(飼育員 いのうえ)