飼育員が憂鬱になる冬がやってきました。
だって水仕事がしんどいんです。カバのプール掃除寒いんだもん。
と、言ってもこれも今年はそろそろ終わり。
なぜなら水が冷たくなってカバがプールに入らなくなるからです。
私の担当動物トラ、ライオン、カバは暖かいor暑い地域に住む動物ばかり。人間以上に日本の冬は彼らにとってはつらいもの。
この季節をどのように乗り切るかでいつも頭を悩ませます。
この時期大活躍するのが落葉。いつも園内を清掃してくれるシルバー人材センターの方々にお願いして落葉をとっておいてもらっています。
サイカバ舎の裏は落葉袋の山が!
<気持ちよさそう>
カバは冬は外のプールに入らなくなります。陸で過ごすことが多くなるのですが硬いコンクリートで寝ると皮膚が擦れることもしばしば。
そこでよく日向ぼっこをする場所に落葉を敷き詰めました。
今では好んで落葉の上に寝てくれます。
<湯煙立つ寝室> <は~気持ちいい~、と言いたげ?>
また、寝室のプールではお湯を入れます。約18度以下に下がらぬよう水とお湯を混ぜて入れると気持ちよさそうにしています。
暖房効率を高めるために窓側にはシートを。
ちょっと見づらくなりますがカバの健康管理のためご理解をお願いいたします。
<落ち葉の上でお休み中>
<寝室がふかふか>
トラ、ライオンにも落葉を。
今年は寝室にも敷き詰めてみました。
猛獣舎は寒い時期だと10度以下まで下がってしまいます。赤外線ランプやヒーターを使用しますがコンクリ床の冷たさはどうにもならず以前は肉球にあかぎれを起こす個体もいました。
これまではあかぎれ防止のため板を敷いていましたが、外ではふかふかの落葉に横たわって眠る様子がよく見られたのでこちらの方が気持ちよいかと思い全面にしいています。
汚れたところを毎日取り除き少しずつ足しています。
バルミーはサイが食べ残した乾草のベッドがお気に入り。
寒くなってからずっと板の上で寝ていましたがこれを敷いてからはここを独占状態です。
<肉を探すトラ> <くつろぐオーちゃん>
落葉の中に肉片を隠して食べてもらうこともできます。
宝探しのようでなんだか楽しそうです。
以前は外でのみ行っていましたが室内にも敷いたことで室内での行動パターンを少し増やすことができました。
動物園の動物たちは実は皆さんに見られる外よりも「獣舎」と呼ばれる寝小屋で過ごす時間の方が長いのです。
お客さんに動物たちの魅力を伝えるため、動物のために、外のエンリッチメントはもちろんですが裏側のエンリッチメントも今後はもっと考えていく必要があります。
<落ち葉かぶっちゃった>
冬を乗り切るための工夫、きっとまだまだあるはず。
色々と調べて試しながら動物たちに元気いっぱい過ごしてもらおうと思います。
(飼育員 夏が恋しいいのうえ)