「肉食系」という言葉が流行りだしたのは何年前からでしょうか。狩りをする、肉をがっついて食べるというイメージから狙った異性に対して猛アプローチする方の事をそのようにいう風潮があります。
特に獲物(気になる異性)をなかなか捕らえることができないとなると肉食系男子&女子の方はますます捕らえようと燃え上がる様子。
それは肉食系・・・というか本家肉食動物も同じです。
朝、展示場に出す前にセットするのは牛肉。これを網目付きのコンテナに入れて
鎖付きのブイで蓋をします。このブイ、鎖もあいまってがっつりコンテナにはまっているので外すには力がいります。
これをトラの「さわ」にプレゼント~!
これ何ですか?肉入ってるけど・・・
どうやってとるの?いのうえさん教えて(←と、言ってるように見える)
ぺろっ
とれあえず、てい!
てい、てい!
やっとゲット~。
なんと、外に出てから全てゲットするまでに40分かかっています。これは飽きっぽい当園のトラの性格を考えると素晴らしき記録です。
「なんですぐに食べさせてあげないの?かわいそう!」と思われるかもしれませんが、これには野生のトラの生活が少し関係しています。
野生のトラはごはんをゲットするために何kmも歩いたり、何回も狩りに失敗したりと試練だらけの日々を過ごしています。
一方、動物園の猛獣たちはそんな事はせずとも毎日飼育員がごはんをくれます。
やろうと思えば毎日楽におなか一杯にすることはできるのですが、動物園という限られた環境の中でそれをやってしまうと刺激も少なく単調な毎日になってしまいます。彼らが持っている立派な牙や爪は狩りで獲物を捕らえるためについているものです。
本来ならそれを生かすために生きた動物を与えて「狩り行動」を引き出してやれると良いのですが残念ながらそれを動物園で日々行うことはできません。
そこで似た行動を少しでも引き出せるような工夫を現在考えながら模索中です。
適度な運動にもなりますからね~。
ライオンにもやってみました。どうやら肉が網の隙間から見えているのに食べられないというところが、彼らを燃え上がらせるポイントのようです。
とれそでとれないー
周りをウロウロして、あきらめて、またウロウロして、を繰り返します。ライオンは残念ながらこれが繰り返され肉を食べる瞬間をとらえることができませんでしたが、昼間にのぞくと無事に食べることができたようでした。
コンテナ×ブイは強い衝撃でひっくり返せば肉をとることができます。食べた後もしばらく楽しんでいたようで・・・
結果ブイはこうなりました。牙と爪の痕がすごい・・・。
プラかごに棒を挿したものも反応良好。
毎日やると飽きてしまうので時々やってます。朝一番が多いので運が良ければ見られますよー。
恋は障害があるほど燃え上がるといいますが、お肉に恋するかみねの猛獣たちが夢中になるような疑似狩りライフはまだまだ改良の余地ありです。
(飼育員 焼肉行きたいいのうえ)