「長老」という言葉の意は年を取った人に対する尊称だそうです。
特に仏教においては出家者の中でも経験豊富で徳の高い人の事を指すそうな。
ならばかみね動物園において長老とは彼女の他にはいないでしょう。
カバのバシャンです。御年52歳。
かみね動物園が今年で57周年を迎えるのでまさに生き字引。
酸いも甘いもかみ分けた日本カバ界の大御所。
現在は娘のチャポンと2頭で暮らしています。
ひと月ほど前の話ですが、
そんなバシャンに日ごろの感謝の気持ちを込めて敬老の日にみんなでケーキを作りました。
当日はたくさんの人が集まってくれましたよー!
もはや恒例のおからケーキ。今年は「気持ち」を込めたハート型。
誰ですか「お尻」って言ったの。
ホシや花型に抜いたニンジン、リンゴをみんなに飾り付けてもらって・・・
今回は担当者がカービングに初挑戦。
読めますか?”げんきでいてね”って彫ってあります。
他園の飼育員の方が上手に作っているのを見て私も彫ろう!とはりきったんですけど。
修行が足りぬ。
さてケーキ完成。毎回芸術作品に仕上がるおからケーキ。
今回も気に入って食べてくれるでしょうか?
2頭でバクバク
今回も見ていて気持ちいい食べっぷり。お見事。
計14頭の子供を産み、日本のカバ家系図を支えているビッグマザー。
担当につかせてもらって今年で4年目。動きはゆっくりになりつつも今までで一番肌艶が良いように思います。
飼育員の仕事で基本中の基本「観察」は彼女に最も教えてもらいました。
餌の内容や部屋に入れるタイミング、何をしてもらったら嬉しいか、突然のアクシデントにはどのように対処すれば良いかなど等。高齢でよりケアが必要な動物だからこそたくさん観察して学ばせて頂いています。
これからカバの大敵、乾燥と寒さの冬がやってきますがバシャンのペースに合わせゆっくり快適に過ごして頂くつもりです。
たまに室内で見づらい事もあるかと思いますが、のんびり過ごしている姿を暖かく見守って頂ければ幸いです。
<おまけ>
担当者が彫ったりんごはあっけなくプールに落とされ、そのうち食べてくれるだろうと思いきや
閉園まで浮かんでいるのでした・・・。
(飼育員 とにかく切ない井上)