趣味でたまに山へ登りに行きます。昨今コロナ禍のため県外の山に登ることもあまりできなかったのですが昨年から少しずつ登り始めました。
今回は2016年に同業の友人たちと行った立山室堂のお話をブログに書きます。
メディアでよく取り上げられているのでご存じの方も多いと思いますが富山県の立山地域にはニホンライチョウが生息しています。
<ニホンライチョウ>
ライチョウはキジ目の鳥類です。世界では18種が知られており日本には中部山岳に生息する「ニホンライチョウ」と北海道の森林に生息する「エゾライチョウ」がいます。
ニホンライチョウは国の特別天然記念物に指定されている種で絶滅の恐れがあるため現在国内の動物園や大学機関が連携して保護増殖事業に努めています。
当時、上野動物園の飼育担当者から一緒にライチョウを見に行かないかと誘われたので喜んで同行しました。
<他の動物園の皆さんと一緒に>
2016年5月。他の動物園の友人たちも一緒に今回目指したのは立山黒部アルペンルート(富山と長野を結ぶ山岳観光ルート)の立山室堂です。途中ケーブルカーやバスを利用して行くこともできます。
麓からバスに揺られること約50分。目的地の室堂駅に到着です。正直全く登山感はありませんでした(笑)
<清々しいトレッキング>
ここからはしばらく雪道をトレッキングです。すると早速発見!!
<ニホンライチョウのオス発見> <ライチョウのメス>
ライチョウ!!正直こんなすぐ会えると思わずカメラを慌てて取り出しました。
地域によりその生息数に大きな違いがありニホンライチョウの場合は特に中央アルプスの個体が減っているとの事。北アルプスに属するこの地域の個体群は絶滅危機に瀕しているわけではないのですが、何の規制も無いままだと人間活動により減少する恐れがあるので生息地ごと保護されています。
<山小屋周りの人たち>
この日は平日とはいえ多くの人が登ってきていましたが、ライチョウはあまり臆することなく近くを歩いていました。
人が危害を加えないということが分かっているようです。
<茂みの中のライチョウ> <お尻がでているよ>
彼らの主な餌は植物です。花・芽・果実・種子・葉などあらゆる部位を食べます。
5月は春とはいえまだ雪に覆われているところがほとんどなのですが、露出しているところから何かをついばんでいる様子が見られました。厳冬期はこれよりももっと過酷な環境のため餌場を探すのがとても難しいとのこと。急斜面などの雪が積もらない場所に少し露出する植物を食べているそうです。たくましい・・・。
<5月とは言えほぼ雪景色の立山連峰>
絶滅危惧種に指定される野生動物を実際目の当たりにして感じたのは自然環境下で暮らすことの厳しさでした。
当たり前なのですが彼らが暮らしていくためには生息地がきちんとその機能を果たしてなければいけません。動物たちも変化する環境に順応するたくましさは併せ持っていますが、餌場の減少やこれまでいなかった天敵の出現などのリスクは可能な限りつくりたくないです。
こうなるとやはり動物園は今以上に保全活動や環境問題への普及啓発などに尽力していかなければならないと改めて強く思いました。
まずは「知る」ことが大切です。現在何が起きていてどんな行動をしていくべきか。
そんなことを考える一つのきっかけとなるサロンが2月25日当園で開催されます。
第9回かみね・おもしろZOOサロン。テーマは「ライチョウ山へ帰る~動物園の保全活動」。
講師は那須どうぶつ王国及び神戸どうぶつ王国園長の佐藤哲也氏です。動物園ではどのような保全活動を行っているかお話しいただきます。興味のある方はぜひHPをご覧ください→こちら
また、3月5日に富山で開催されるシンポジウムにも同氏が登壇されます。こちらも非常に興味深い内容なのでよろしければ以下のリンクをご覧ください(私が一緒に山登りした富山ファミリーパークの獣医師秋葉さんからの告知でした)→こちら
<このつがいは一緒に行動していました>
可愛らしいライチョウたちと素晴らしい山の景色がいつまでも見られますように。
一緒に楽しみながら「保全活動」について考えていきましょう。
【おまけ】
帰り道に春の女神と呼ばれるギフチョウに出会いました。これも嬉しかったなあ。
(飼育員 今年もまた登りに行くぞ!かわそえ)