ワオキツネザルの手当
みなさーん、ワオキツネザルをご存じでしょうか?
マダガスカル島に生息しているとてもかわいらしいおサルさんです。一見、おとなしそうに見える彼らですが、実はオスよりもメスが強く激しい闘争をします。激しい闘争をするため大ケガをすることもあります。
( ワオキツネザルのみなさん)
先日、左の肢を負傷していると連絡を受け見に行ったのですが、まあ、ワオちゃんにしては軽症の部類だったので様子を見ることとしました。が、どうも治りが悪く、いつまでたっても治りません。それどころか脱毛部(毛のないところ)が広がり、傷口が大きくなっている様でした。闘争が頻繁にある動物たちは治癒能力が高く、ほっておいても治ってしまうのがほとんどです。この時も治るだろうと思っていたのですが、治らなかったため麻酔をかけ縫合することとしました。
(左肢の負傷部) (負傷部)
実は、このワオちゃん神経質なのか傷口を一生懸命に舐めるため、再生してきた組織まで舐め取ってしまうために治りが悪いことがわかりました。治療は、一旦不正に再生してきた組織を除去し、新たに再生を促すようにしました。
(除去している所)
不正な組織を除去後、縫合しました。
(縫合終了)
普通ならこれで10日もあれば治癒するのですが、このワオちゃん、せっかく縫合した糸を舐め取ってしまったためワイヤーで再縫合するはめになりました。
でも、さすがにワイヤーまでは舐め取ることができずに時間はかかりましたが、無事治癒しました。めでたしめでたし。
個体によっては、この神経質さがやっかいなこともあります。
(みんなから笑われるのを楽しんでる獣医の飯田)