ある日のことでした。いつも遊びに来てくれる女の子から
「飼育員さん、トカゲ1匹増えたんですね!」
と言われました。
んん?何のことだ?知らんぞ?
どのトカゲのことだろうと思い連れて行ってもらうと・・・
(よく見つけたと思います)
あー確かにいるー!赤ちゃん生まれてるー!
これが当園におけるインドシナウォータードラゴンの初めての繁殖となりました。オスとメスのペアで飼育していたため、繁殖したらいいな~と希望は抱いていたのですが、これまで音沙汰なかったことから突然の吉報となりました。
(インドシナウォータードラゴンの大人のオス)
朝見た時には全く気付かなかったので、先に発見されたことに悔しさが混じるも、さすが常連さん、よくみてくれているなと嬉しい気持ちになりました。(その子は私が見つけたんだと他の飼育員さんにも自慢しまくっていたみたいです笑)
さて問題はここからです。はちゅウるい館の短い歴史のなかで、繁殖は3例目。さらに私は爬虫類歴1年の新米で初の繁殖です。様々な疑問や不安がよぎります。
どこで生まれたの?いつからいたの?何食べてたの?・・・
まずは捕まえて大きさを測ってみました。
(捕獲時。ガラス越しの親子)
(12.5cmでした!)
そしてケージにいれてしばらくして、小さなコオロギを与えてみました。すると・・・
これまでの不安を吹き飛ばすかのような食べっぷり!動くコオロギに機敏に反応し追いかけて食べる様は、親のそれを見ているようです。爬虫類のほとんどは生まれてから自分でエサを探して暮らすので、生まれ持つ本能を目の当たりにしました。
よかったよかったと一安心した1週間後。今度は私が!!発見しました!!!
(左が2例目です。よーくみると背中の模様が違います)
2例目です。前回より少し大きいようです。
同じくケージに入れて落ち着いたころにエサを食べ始めました。インドシナウォータードラゴンは1度に4~十何個産卵すると言われいるため、まだ幼体がどこかに隠れているかもしれないと思いくまなく探しましたが、今回はこの2頭のみだったみたいです。
ところがある日、成体の♀が地面に降りていました。普段は木の上で暮らしているため、珍しいなと思いよくみてみると
(奥の方にうっすら白い物体が・・・見えますか?)
穴が掘ってあり中から卵がみえるではないですか!!!
卵を産み終え穴を埋め戻そうとする場面に出くわしたようです。しばらくするときれいな更地の状態に戻っており穴の位置も分からなくなっていたので、この場面を見ることが出来たのはラッキーでした。
今回は卵を掘り起こし、人工孵化に挑戦することにしました。そっとして置きたい気持ちも山々ですが、卵を産んだ場所は水が当たらずカラカラな場所であり孵化が難しいこと、またいくつ産卵したのか、孵化の条件や幼体の大きさなど、人工孵化によって得られる知識や経験を今後の爬虫類飼育に役立たせるためです。
(回収時は2cmでした)
5つ卵を確認しました。うまく孵化したら9頭の大所帯となります。現在はオープンラボ内で大切に管理しているので、孵化を楽しみにお待ちください。
また今回紹介した幼体たちははちゅウるい館内で展示しているのでぜひ会いに来てくださいね!
(未だに茂みの中を探してしまう 日野)