ようやく暑さも和らぎ秋が近づいてきた感じがします。ただついこの間までは猛暑が続き、人も動物もまいってしまいましたね。そんな中動物園では飼育員が知恵をしぼって様々な暑さ対策をしていました。
[ゾウの水浴び] [氷をあげる]
[扇風機を設置する]
で、今回はホンシュウジカの暑さ対策にチャレンジしてみたので紹介したいと思います。
ここの展示場には日陰がほとんどなく、暑い日中は小屋の中に避難するといった具合でした。そこでシカがよく休む砂場の上に日陰をつくってみたものの、支柱の強度不足により台風で吹き飛んでしまいました。もっと簡単で何か新しい暑さ対策をしたいな~と考えていたところ
ひらめいちゃいました。そうだ、ミストをつくってみよう!
ホームセンターにミストセットが売っているのは知っていましたが、なんだか割高に感じたのと、自分でも作れそうだな~と思ったので、今回の目標は安く大量にかつ簡単につくれるミストを発明することにしました。
[ホンシュウジカ]
ガーデニングなどで使う霧吹きをうまく改造すればミストになるんじゃないかな~というイメージはあったので、とりあえず100均へGOしました!
そして発見した材料は・・・これだ!
[100均でゲットした霧吹き] [その辺に落ちてた塩ビパイプ]
必要なのは先端部分なので、まずは頭をちょん切ります 。
頭の部分を塩ビパイプにつなげて、それらをホースにつなげて、水を流せばいけるっしょ!イメージは完璧!
でもどうやって塩ビにつなげよう・・・技術も知識もないのに勢いでつくり始めたため、いきなり頭を抱えてしまいました。
そこで見かねた歴戦の飼育員登場!「どーれ、かしてみぃ」
塩ビを火であぶってから、んん“と押し込むとかなり頑丈に接着できました。
先人の知恵に学ぶ。昔はよく使っていた技術だそうで色々なものを手作りしていたみたいです。勉強になりますっ!!
そして完成したのがこちら。
[じゃーん!]
作るのはとても簡単でした!これなら量産もできそうです。さーて試しに展示場に設置して、うまくいくかなぁ・・・
スリーツーワン、ファイア!スッポーン!いや~よく飛んだ!・・・水圧すげぇ~
発明に失敗はつきものです。5回ほど発射実験を繰り返し、ようやく接着剤とタコ糸でぐるぐる巻きに固定したところ・・・
スパァァァァと安定してきれいなミストが宙に舞いました。(写真では見えずらいかと思いますがスミマセン)
よしここまでは大成功!
正直、設置したところでシカはミストを浴びに来ないだろうなと予想していました。暑い日にシカ自らプールに入ることはありますが、雨の時や掃除で水をまいている時は小屋に逃げていくので、濡らされるのは好きじゃないのかなと思っていました。
じゃあなんで作ってんねん!と思われそうですが、夏場は展示場のコンクリ部分が熱くなるため、そこを冷やせればいいかな~あと見た目的に涼しくなればいいかな~と思って作りました。
案の定、設置したばかりのころはまったくシカが寄りつかなかったのですが、ある日通りがかると・・・
[おぉ、ミスト浴びてる・・・!]
ほんと分かりにくくて申し訳ないのですが、ミスト浴びてました!角から体まで細かい水滴がびっしりついてて、明らかに涼しそうです。しかも、この写真は1頭のみですが、全頭並んでミストが当たる位置で休んでいる光景がよくみられました。 これは嬉しい!
実はこのミストには裏の目的がありました。それは''ある虫'’からシカを守ること。
シカに限らずゾウやサイ、ポニー、ヤギ、など色々な動物がある虫に襲撃されるのですが
[血を吸うハエ、サシバエ]
こいつらです。サシバエについて書くと長くなるのでやめておきますが、血を吸われるのに痛みやかゆみを伴うため動物にとってとても不快なハエです。他の動物園や畜産業界でも結構問題になっていて、薬剤散布や風で吹き飛ばしたり様々な対策がとられています。 多分みれば分かります。人間でいう蚊みたいなもんですかね。暖かくなってくると発生して飛び回ります。ただ、なんとなく経験的にハエも蚊も雨の日はあんまり見かけないような気がします。雨で飛びにくいからどこかで休むしかないのかな。んーこれは・・・!
ここからはほんとに僕の想像ですが、雨の日は水滴が邪魔で飛びにくいから活動ができないとしたら、ミストによって雨の日と同じような状況をシカの周りにつくることができれば、ハエが寄ってこれない空間をつくれるんじゃないかと企んでいました。そう、手作りミストで新サシバエ対策!
結果は・・・まだまだ調査中です。なんとなく減ったかなという感じはしますが、そもそも今年は暑すぎてハエが少なかった気がするので正直わかりませんでした!いつかしっかり調査してみたいと思います。
ミスト(1つ)の材料費
霧吹き・・・108円
塩ビパイプ・・・廃材
達成感・・・プライスレス
計108円
めっちゃ安い!!しかも切って炙って入れるだけなので、誰でも簡単につくれる!性能も市販のものとほとんど変わらない細かいミストが噴霧できたので(先輩のお墨付き)
手作りミスト大成功!きっと来年の夏の動物園内はミストだらけになっていることでしょう。
手作り感満載の動物園ですが、だからこそ色んな思いやドラマがつまっているんです。気になる物があったときはぜひ職員に声をかけてみてください!きっと満面の笑みで説明してくれると思いますよ。
さて次は何をつくろうかな~
(1個500円で売るぜよ 日野)