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staff blogスタッフブログ (スタッフブログ)

サンクとモモノスケが亡くなりました

2023年5月29日

4月19日にアカカンガルーのサンク、5月10日にフクロモモンガのモモノスケが亡くなりました。
授乳中のサンク
     <授乳中のサンク>
サンクは2015年によこはま動物園ズーラシアよりやって来た個体で、最初はとても神経質で飼育員が近づくと飛び跳ねてにげていきました。
近年、他の職員にも協力してもらいながら馴致を実施。獣医と一緒に入って尾に針を刺して採血トレーニングができるようになりました。サンクが積極的に飼育員に近づいていくので、これまでに彼女が産んだ子供たちもそれを見てか、飼育員から一緒におやつをもらうようになりました。
サンク
<舌がいつも出ているのが特徴でした>
4月初めの頃より生牧草を与えた日に腸内でガスが発生したためか胸が大きく膨らむ様子が見られ、与える飼料の量と内容を見直していました。
症状が改善してもう大丈夫かとおもっっていた矢先、4月19日の朝には起立が出来ない状態になっており、日中何度か穿刺してガス抜きを行いましたが症状が改善せず夕方から麻酔をかけて開腹。処置を行いました。
その後、麻酔から覚めることなくそのまま亡くなりました。解剖の結果、盲腸炎を起こしていたことが判明。
最後に痛くて苦しい思いをさせてしまった事を大変申し訳なく思っています。
この経験を他のカンガルー達に活かしてより良い飼育管理ができるよう努めてまいります。

5月10日に亡くなったフクロモモンガのモモノスケは長期間動物病院で飼育されていました。
フクロモモンガ フクロモモンガ
展示施設が無く長い間裏飼いだったため、ケージを改良してフクロモモンガを展示できるようにしました。
夜行性のため日中は寝ていることが多かったのですがエサの時間には起きてきて、愛らしい姿を見せてくれました。
特にコオロギが大好物で何とも美味しそうに食べていました。
フクロモモンガは可愛らしい姿から国内ではペットとして大人気です。
しかし、生息地のオーストラリアからの野生個体の密輸入が絶えません。
本来であれば飛膜を存分に使って木から木へと飛び移る姿や群れで過ごす様子を来園者にお見せしたかったというのが本音ですが、残念ながらフクロモモンガは当園では展示終了となります。
解剖の結果、盲腸に腫瘤ができておりこれにより消化機能が弱っていた事が死因ではないかと考えられています。
年齢は不明です。

以上、担当動物で死亡が相次いでいたので気持ちを整理するためにもブログを書きました。
昔「後悔する様な飼育はするな」と先輩に言われたことがあります。
実践がとても難しく飼育歴10年以上経っても反省しきりなのですが、今生きている動物たちに真摯に
向き合っていこうと思います。

(カンガルー・フクロモモンガ担当かわそえ)

2023年5月29日

かみネイチャー Vol.1

2023年5月18日

かみね動物園で見つけた自然を紹介するブログ。題して「かみネイチャー」

実はSNSの方でちょこっと発信していたのはご存知でしたでしょうか?

ネーミングが先行して気まぐれで始まったこのブログ企画ですので、気張らずにご覧ください。

かみネイチャー Vol.1

ゴールデンウィークも過ぎ、梅雨がすぐそこまで迫っている5月中旬。15分ほど園内をまわってみました。

初回だし、とっつきやすいようなのはいないかな~と探していたところ第1生きもの発見!

トカゲ幼体

<青いしっぽが特徴的なこの生きもの>

見えますか?写真中央の手すりの下の方にいますね。こちらはヒガシニホントカゲの幼体です。近づいて撮ろうとスマホを準備していたら気づかれたようで、草むらの方に逃げてしまいました。残念。

よく「かなちょろ!かなちょろ!」と言われますが、みなさんがかなちょろと呼んでいるのはおそらく「ニホンカナヘビ」の方です。このカナヘビとトカゲはなかなか区別がつきにくいようですが見比べると一目瞭然!

かなちょろ

こちらがニホンカナヘビ。体の色は茶色で鱗に光沢は無くザラザラした印象です。ほっそりスマート体型です。

かなちょろじゃない

そしてこちらが今回見つけたヒガシニホントカゲです。体の色は同じく茶色ですが鱗に光沢がありつるつるした印象。カナヘビと比べるとズンとつまっているような体型です。

トカゲの幼体

さらにトカゲの幼体はこのようにカラフルな色をしています。この模様は大きくなるにつれなくなっていくようです。

どちらもはちゅうウるい館で展示していますので見比べてみてください!

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次に目にとまったのはこちら。

アリの巣

<身近な生きものの代表格!>

巣穴の周りに集まっていて賑わっていました。アリも調べるといろいろな種類がいますが、大きさからこれはおそらくクロオオアリだと思います。クロオオアリはムネアカオオアリと共に日本最大種です。他の小さなアリとは大きさが全然違うのですぐわかると思います。よく見る黒いアリ(クロヤマアリ)の大きさはだいたい5mm前後ですが、クロオオアリは10mm程になります。飼育もしやすいらしいです。

なんて思っていたらこんなのも見つけました!

女王アリ

<腹が大きく羽の生えたアリ>

これはおそらくクロオオアリの女王候補!!5~6月に羽の生えたオスとメスが巣から飛び立ち交尾相手を探します。これを結婚飛行と言います。交尾をし終わるとオスは力尽きて死んでしまうようなので、羽がついていて生きているならメスということになります。このアリが交尾ができたかどうかは分かりませんが、時期的にはこれからが結婚飛行の時期になるので可能性はあると思います!!

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次に目にとまったのは白い壁にひっついていたこちらのクモです。

ハエトリグモ

ハエトリグモ接写

<近付いてみるとこんな顔>

調べてみるとこれはシラヒゲハエトリというハエトリグモの一種でした。

10mm程の小さなクモですが細かい灰色の毛が生えていました。正面に名前の由来となる白い毛がひげのように生えていてかわいらしい見た目をしていますね。ハエや蚊などを食べるようで益虫と言われます。ハエトリグモと言えば踊っているようなチャーミングな動きをすることがあります。実はこれ踊っているわけではなく、威嚇しているのです。また、ある種では求愛の時にも踊るようです。自己をアピールするということでは通づるものがあるのかもしれませんね。

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続いては園路沿いにあるブロックの下をのぞいてみると

ブロック下

ワラジムシとダンゴムシ

<たくさんのワラジムシとダンゴムシ>

小さい頃はどちらも丸くなると勘違いしてワラジムシも丸めてしまったことをよく覚えています。このワラジムシとダンゴムシはどちらも等脚目という同じ分類になります。この等脚目には海にあるテトラポットなんかでよく見かけるフナムシもいて、最大種はあの有名な「ダイオウグソクムシ」です。海底にもワラジムシの仲間がいるなんておもしろいですよね。またワラジムシやダンゴムシにも様々な種類がいるようで、よく見かける「オカダンゴムシ」はヨーロッパから渡ってきたらしいです。

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かなりの収穫があったのでもうそろそろかなと思っていたら最後にみつけたのは

枯葉の下

ゴミムシ

<枯葉の下にかくれていたのは>

この黒光りした甲虫。見つけたときはキマワリという虫かなと思ったのですがよくよく見てみるとキマワリにしてはあしが短い。図鑑やインターネットで調べてみたのですがなかなかこれだ!というのが見つからず。オサムシ科の一種ということです。このオサムシ科のものをゴミムシと言ったりするのですが、そのよく似た種にゴミムシダマシ科という分類もあり、素人にはもうお手上げです。詳しい方がいましたら動物園の方にメールしてください。

このように今の時期はいきものがいっぱいです。休みの日に自分の家の庭を探索してみたり、近くの公園で探してみると今まで知ってた場所もまた違った世界があることに気が付くかもしれません。(生き物探しをするときは大人の方も一緒に安全に楽しんでください)

              ちいさいころはいきもの探しをよくしていたらしい飼育員 にしの

2023年5月18日

みっちゃん

2023年5月13日

わけのわからないタイトルのブログですが、最近思った事を書いてみたいと思います。例によって今回も動物は出てきませんのであしからず。文章だけだと寂しいので懐かしの写真を貼り付けています。

カピバラ

     <懐かしの動物写真>

「みっちゃん」とは、4~5年前まで毎日のように動物園に遊びに来てくれていた常連の女の子です。当時、3,4歳くらいであろう彼女は、園内を裸足で歩き(サンダルとかも履いていませんよ!)、生えているヤマモモやグミなどの実をビニール袋に集めながら食べているというなかなか破天荒な印象でした。お母さんと弟と一緒に来て、園内で会えばよくお話をしていました。もちろん私だけでなく他の飼育員からも有名人で、「今日もみっちゃん裸足だったね。」なんて私たちの会話の中にもしばしば登場していました。数年前にお母さんから今度遠くに引っ越しちゃうんですと言われ、どこですかと聞いたところ、「たい」ですとのこと。はて、田井?多井?他意?・・・えー、Thailandですか!?ということで、だいぶ疎遠になっていましたが先日、一時帰国をしたそうで久しぶりに園内で再開しました。お母さんに「ほら、あの飼育員のお兄さんだよ」と言われ、本人はちょっと怪しい反応でしたが覚えていてくれていたようで嬉しかったです。なんと久しぶりに会ったみっちゃんは裸足にサンダルを履いていました!めでたし、めでたし・・・。

写真

     <懐かしの動物写真>

という感動の再会をお伝えしたいわけではないのでここでは終わりません。私がかみね動物園に勤めてから十数年経ちましたが、その間にみっちゃんのように動物園に毎日のように来てくれる子供たちがいました。みんな小学校に入ると足が遠のいてしまいますが、不思議と世代交代で次の子供たちが現れました。それぞれにそれぞれの思い出があり、当時は彼ら彼女らの成長を見ながら自分が年を重ねていくのを実感していました。写真やお手紙をもらうこともあり、それは私の宝物です。

ざりがに こどもたち

               <懐かしの彼ら彼女ら>

みっちゃんと会った日に同僚とそんな話をしていると、あれ、毎日来てくれる子どもって最近いないよね。ということに気がつきました。「あの子よく来るよね」「あー、わかる!」というこれまで当たり前のように繰り返されてきた会話をここ数年していないのです。必死に思い出してもとうとう出てきませんでした。実はみっちゃんがタイに旅立ったあたりから、新型コロナウイルスが猛威をふるっていました。行動制限、休園、ふれあいやおやつタイムの中止、マスクの着用・・・、そういった影響は少なからずあったと思います。動物園が子供たち(もちろん親御さんも)にとって、安心してのんびり過ごせる場所でなくなってしまったのだと思います。5月8日から5類感染症に移行となり、これまでの日常が徐々に戻りつつありますが、本当の意味での元通りにはまだまだ時間がかかりそうです。世の中が変わっても地域で育つ子供とお父さんお母さんにとって、毎日のように過ごせる場所で変わらずにありたいと改めて思う出来事でした。と、このブログを書いている最中、あの子最近よく見るよねという会話が久しぶりにありました。ワニ大好きの彼が次世代になってくれるか楽しみです。

小さいころ動物園で飼育員さんがこっそり餌をあげさせてくれることが毎度の楽しみだった 中本

2023年5月13日

2023年のゴールデンウィーク

2023年5月9日

今年のゴールデンウィーク
5月1,2日も休めた方は最大で9日間の連休と、休暇を楽しんだ方も多かったと思われます。

そんな中動物園は1年間でもっとも入園者数が多いともいわれる時期で
園内

園内はかなりの賑わいでした。

園内では飼育員たちがゴールデンウィーク特別ガイドも行い
キリン

普段のもくもぐタイムでは行っていない動物種も
ワオ

飼育員がそれぞれ工夫を凝らしながらガイドを行い
カピ

「どうしたらいいかな?」
「明日はこれをやろう!」
などの会話も聞こえ、内容を毎日変えて行っているガイドもありました。

「他の飼育員はどんな話をしているのかな?」とお互いのガイドを見に行ったり
飼育員

飼育員たちも普段とは少し違った動きをしていました。

園内にはマスコットキャラクターの「かみねっちょ」も現れ
かみねっちょ
普段とは少し違うかみね動物園を楽しんでいただけたのではないでしょうか?

数日雨の日があったのが惜しまれますが、たくさんの方に来園していただき職員一同、充実感に満ちた9日間でした!
次はお盆の時期辺りが多くなると思いますが、それまでもかみね動物園は色々な企画も行っていくのでHPなどをチェックして是非遊びにいらしてください!

出店
(美味しそうな出店も多かったな~)

2023年5月9日

クマ担当の果実図鑑

2023年5月3日

クマ担当の夢?

今回のタイトル「クマ担当の果実図鑑」。

クマ担当になり早3.5年、実はクマ舎の周りには前任担当時代から少しずつ果樹が植えられていました。

日本に生息する2種のクマを飼育している当園。

実際の生息環境に自生している果樹があったら素敵な獣舎になるのでは!?という思いや、ゆくゆくはクマたちが食べられるようになったらいいなぁ…来園者の皆様にほんのすこ~しでも…生息環境を感じてもらえる施設を作れたらなぁ。など、自分が担当になってから大きな夢?野望?を抱き、植物が好きも相まって果樹の種類を少しずつ増やしながら管理を続けてきました。

まだまだ実がついたことのないものもありますが、植えてある果樹はよく知っているあるものから、何それ?と聞きなれない野生の果樹から様々です。

そこで今回のブログから育ててきた果樹・果実を少しずつご紹介し、どんなものなのか、形や色、味は?。実際にクマたちが食べた反応等をからシリーズ化?できたらと考えて紹介させてもらおうと思いました。

まず第一弾はあまり聞きなれない果実かもしれません。

それではファイルナンバー1となります、次の果実からどうぞお読みください。↓


FILE NO.1  ヤマボウシ

国内では本州、四国、九州、国外では中国、朝鮮半島などの東アジアに自生している。

野生では山の谷筋などに自生しており、果実はクマやニホンザルの好物となる。

果実は外側が赤くブツブツとした皮になっており、果肉はオレンジ色。

味は甘みの少ないマンゴー、モモ、アケビのような味わいに例えられる。

や1

(5月に入り新緑が美しいヤマボウシの葉。) 

や2

(まだまだ小さい3年生のヤマボウシ。背丈は140センチくらい。)

や3

(赤く熟すと甘くなる昨年収穫のヤマボウシの実。)


・クマ担当メモ

野生のツキノワグマをはじめ日本の山林に生息する動物たち多くが好んで食べる果実です。

色は黄色みがかった赤色をしており、外皮は硬めのイボイボがついた小さめのサクランボの様です。

名前の由来は白い花を咲かせ、花びらのように見える部分が頭巾を被った法師のように見えることから「山法師=ヤマボウシ」と名がついたと言われているようです。

食感は柔らかくねっとりとしており、味のうす~いモモのような甘みでした。

外側の赤いつぶつぶの皮は意外と厚くて食べるのにはむいておらず、中にある種も大きかったため可食部は少ないように思います。

街路樹などでも結構見かける果樹です。人間用に品種改良した果物とは違い甘みも少なく、クマたちにも最適だと思いました。

人間用では果実酒やジャムにしてもおいしいみたいですね。

昨年の9月頃、園内で育てているものをクマたちにあげてみたところ、ツキノワグマ・ヒグマともによく食べていました。

しかし量が少なかったため、ちょっと物足りない様子でもありました。

今年も夏の終わりごろにたくさん収穫できたらいいなと思っています。

たくさん実がつくことを願って管理していきたいと思います!

や4

(新芽)

や5

(新しくついた実、まだ未熟で青く小さい。)

ちなみに最近枝葉もあげてみたにですが、よく食べていました。

おいしいものはよく分かるのですね。

あえ

(仲良くヤマボウシの葉を食べるエゾヒグマ、アイとエリコ。)

な

(ツキノワグマ、ナオもおいしそうに食べていました。)

べ

(ツキノワグマのべべも食べていた…のですが、うまく写真が撮れませんでした。すみません。)


続くかな?

今回から始まったばかりですが、担当者の気まぐれで更新できたらと考えています。

動物があまり登場せず、文字ばかりのブログですがどうだったでしょうか?

期待にしてくれている方がいたら、また次回をお楽しみにしていてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

や6

(まだ小さい小さい実ですが、大きく育つように頑張ります!)

(個人的に最近台湾パイナップルが好きな、やました。)

2023年5月3日