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staff blogスタッフブログ (スタッフブログ)

ウクライナの動物園によせて

2022年4月24日

先日、衝撃的なニュースを読みました。
ウクライナ東部ハルキウという都市の動物園の飼育員が銃撃により亡くなったというニュースです。
野生と社会を繋ぐ架け橋であり、家族や友人と楽しい想い出を作る場所でもある動物園。戦争はその存在意義を全て「無」にしています。

EAZA(ヨーロッパ動物園水族館協会)の最新報告によると、ウクライナ東部の動物園ではとくに状況が悪化しており動物たちを安全な場所に輸送する計画を立てているとの事。現地の職員の方々、動物共に一刻も早く避難できることを祈るばかりです。
EAZAではウクライナの動物園・水族館支援のための募金活動を行っています。
こちらをクリック 
英語での募金が難しい・・・という方はこんな動画もあります。
大牟田市動物園のYouTubeで配信されている「ウクライナの動物園は今どうなっているの?私たちにできることは?(2022年3月18日撮影)」。ウクライナの動物園の状況の他、動画の最後に日本語で募金方法について説明してくれています。よろしければぜひご覧ください。
こちらをクリック 

ウクライナ伝統文様
友人が描いたウクライナ伝統文様。このような文様が民族衣装などに刺しゅうされているそうです。
美しい民族衣装を着てみんなが笑いあえる日が早く訪れますように。

(飼育員 かわそえ)

2022年4月24日

アリガタヤ植物

2022年4月12日

希望の春

先日の土曜日曜は、そこに合わせてくれたかのように動物園内の桜が満開を迎えていて、初夏のような暖かな陽気も相まってたくさんのお客様で賑わいをみせていました。

年度初め、希望の春に合わせて、私たちを楽しませてくれる桜。癒しや前向きな気持ちにもさせてくれます。

膨らんでいく期待のつぼみの頃、開花し、咲き始め、満開の桜もそれぞれ楽しいものですが、これからの散りゆく桜、葉桜もまたなんとも良いものです。

桜と動物

桜と動物というのも良いものです。

 キリン

リョウマ

メトロ

動物たちが活発に

寒く厳しい冬を過ごしてきた動物たちも、暖かな春の日を気持ちよさそうに過ごしています。

より活発に行動し始め、冬毛から夏毛へと換毛をする時期でもあります。

クジャクは盛んに羽を広げ、シカの角は取れ、新しい角がぐんぐん伸び始めています。

クジャク  シカ

子育てをし易いこれからの時期に合わせ出産をする動物も数多くいます。

 植物のめぐみ

桜だけでなく、様々な種類の植物が新しい芽を吹き始める時期でもあります。

春の山菜、タラの芽、コシアブラ、コゴミ、タケノコ…てんぷらや煮物でいただく春の味覚は何とも言えません。

私たちの目を楽しませてくれて、野菜や果物、葉といった食料も提供してくれる植物。

私たち生き物は、植物と共に生きていて、その恩恵なしには存続していけないといってもよいかもしれません。

食物としてだけでなく、住居、生活のすべてという種も多くいます。休息場所、移動手段、日陰として、隠れ家として利用させてもらっています。

二酸化炭素を大量に吸収して酸素を提供してくれて、大気や気候の調整も行ってくれている植物に感謝の気持ちを忘れてはならないなぁと改めて思いました。

リスザル  アップ

リスザル  ヤマモモの木を利用しています。

キウイ

マーラ  生い茂ったキウイの葉の下を日陰として使っています。

アナグマ  ゴヒチ

キウイの実は、隣のアナグマ、チンパンジー、サルの仲間たちにおすそ分けしました。  

 森づくり  森チンパンジー

チンパンジー 参加者に苗木や樹木を植えてもらっている森づくりイベント

桜吹雪、春の心地の良い陽気の中、

植物のありがたみと併せて、温暖化や感染症のこと、地球の環境のことを考えてみるのも良いかもしれません。

(飼育員やまうち)

2022年4月12日

ジゴロウのその後

2022年4月3日

2021年7月26日にアオバネワライカワセミのジゴロウが20歳で亡くなりました。
アオバネワライカワセミ正面の姿

生前はキャンッキャンッという大きな鳴き声で前を通る人の目を釘付けにしていたジゴロウ。その名の通り美しい青い羽根が特徴の鳥でした。
オーストラリアに生息するのでカンガルー舎の目の前に手作りの獣舎を作ってもらって、大きな鳴き声は時にカンガルーも驚かせていました。
ヤクシカの解剖
   <解剖する前のヤクシカ>

動物園の動物は亡くなったらどうなるか?
まずやらなくてはならないのは「解剖」です。なぜ死んだのか原因を突き止めます。動物たちの死を次の命に繋ぐための大切な仕事です。
主に獣医さんが行います。ジゴロウの場合、解剖した時点では詳しい原因が分からず臓器を検査に出したところ「リンパ腫(血液のガン)」であった事が判明しました。

トレーニングに協力中のジゴロウ
   <スケールに乗るジゴロウ>
ジゴロウは2019年より健康管理のために体重測定トレーニングを行っていました。
採血も定期的に行えればもしかすると病気治療の余地があったのかもしれません。しかし、300gにも満たない小さな鳥から血を採り続けるのは身体に負担がかかります。また、人で行うような抗がん剤の治療を行うのも困難です。
この種では寿命と呼ばれる歳だったので老いによる病気の発生と進行を食い止めることは難しかったのかもしれません。
これまでに給餌内容の改良やトレーニング、展示スペースの改善など行ってきましたが、他にも工夫は考えられたのではないかと今も想いを巡らせることはあります。次に同様の鳥類を飼育する際に参考になるかもしれないので蓄積してきた体重のデータや給餌量や行動の記録などはまとめておくことにしました。

翼標本
さて、今回獣医にお願いしてジゴロウの左翼を切断しました。
冷蔵庫に入れて数カ月乾燥させてピンで形を整えます。
ケースに入れてラベルを付けたら・・・

ケースに入れた翼標本
翼標本(よくひょうほん)の完成です!
このように亡くなった動物を利用して標本を作製することで、じっくりと隅々まで観察することができます。ジゴロウの翼を改めて見るとグラデーションの美しさに見惚れてしまいました。
翼標本は初挑戦だったので翼の形ももっとかっこ良くできたな、とか♂特有の青い尾羽もとっとくべきだった、とか反省は尽きませんができあがった標本は来園者の皆様にも観察して頂きたいので動物資料館に展示します。

動物資料館に置いてます
 <動物資料館クイズBOX横に置いてます>
美しくてカッコいいジゴロウの翼、ぜひ見に来て下さい。

(飼育員 オーストラリア行きたいかわそえ)

2022年4月3日