昨年の8月8日生まれたチンパンジーのチヨちゃん。人工保育となりましたがすくすく元気に成長中です。

生後2日目

ここ最近のチヨ
お母さんのイチゴちゃんにとっては初めての出産。ただ自身も人工保育な事と、育児を学ぶ機会がなかった事から上手に抱くことが出来ませんでした。

お母さんのイチゴ
その後色々と試してみましたが、チヨちゃんは代理母に預けることを目標とし、候補をマツコちゃんとしました。

代理母候補となったマツコ
これまでのは経緯は「イチゴちゃんがお母さんになりました!」というブログを書いていますので良かったらご覧下さい。
その1
https://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/ooguri/blog202109.html
その2
https://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/ooguri/p098236.html
その3
https://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/ooguri/p100483.html
その4
https://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/ooguri/blog202112.html
その5
日立市かみね動物園|イチゴちゃんがお母さんになりました!その5 (hitachi.lg.jp)
その6(最終回)
https://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/ooguri/p103883.html
マツコちゃんは2012年4月27日にリョウマ君を出産したお母さんです。出生時リョウマ君の体重が950g(チヨちゃんは1750g)と平均の半分しかなかったため人工保育となりましたが、10カ月後には一緒に暮らせるようになりました。この時は出来る限り毎日顔を合わせてもらい、徐々に格子越しで触れあえるようにして関係性をつくり、初めて一緒にした時には少し驚いているリョウマ君に対しお腹を見せて抱き着くようにマツコちゃんは促してくれました。

現在のリョウマ(左)マツコ(右)親子
こういった経験から代理母候補をマツコちゃんとし、同じようにチヨちゃんとも毎日顔を合わせ格子越しで触れ合えるようにしていきました。
飼育員がいる状態での格子越しの触れ合いから始め、格子の目を細かくして手は出せないが飼育員がいなくても好きな時にお互いの様子を見ることができる状態、格子の目を通常に戻して好きな時に触れ合える状態、といった段階を徐々に踏んでいきました。

飼育員のいる時にチヨと触れ合うマツコ
マツコちゃんは最初からとても優しく接してくれ、夜間に哺乳に行くと寝ていても必ず下に降りてきてその様子を観察してくれたりとても興味がある様子でした。
また、気を引かせるために寝室にあった段ボールを細かくしていれてみたり、枝でつついてみたりといった様子も観察されました。

紙を細かくして入れ込みチヨを振り向かせようとしたマツコ

枝で気を引こうとするマツコ
チヨちゃんも時間が経つにつれ、自らマツコちゃんがいる格子へ向かっていき、怖がる様子も見られませんでした。

暗い画像で見づらいですが自らマツコに手を出すチヨ

格子越しでの哺乳中。これで同じ空間にいなくても哺乳が出来るようになります。
さらに格子越しで哺乳をする事が出来るようになったため生後200日目となる2月24日、ついに同居に踏み切りました!
チヨちゃんを寝室で待機させ、そこにマツコちゃんを合流。少し驚いていましたが怖がることはありませんでした。マツコちゃんもすぐに寄っていき近くでお腹を見せて抱きつくように促したり、軽く手をもって引き寄せたりといった行動が見られました。決して強引にではなくあくまでチヨちゃんが来やすい態勢をつくってあげていました。

分かりにくい画像ですがお腹を見せてチヨが抱き着くようにマツコは促しています
ただチヨちゃんはタオルをずっと持っていました。

マツコのことを嫌がりはしないがタオルは離さないチヨ
本来チンパンジーの赤ちゃんはお母さんにずっとくっついて成長していきます。人工保育となるとそれが難しいためタオルやぬいぐるみを代わりにして抱き着いてもらっています。この時もチヨちゃんはタオルを抱きしめていたため、取り上げればマツコちゃんの方へ向かってくれるのではないかと考えました。
が、タオルがなくなると抱き着くものがないため騒ぎだしてしまいました…
かなり泣き叫びながら格子に張り付いているのをマツコちゃんは必死に自分のお腹にくっつくように促してくれましたが、パニックになってしまったチヨちゃんには通じませんでした…30分近く経っても状況が変わらなかったためタオルを戻すとやっと落ち着いてくれました。
かなりの泣き声に担当者の気持ちは折れそうでしたが、マツコちゃんは諦めず、あれだけ叫ばれてもパニックにならず攻撃的にもなりませんでした。
一度気を取り直して別にする事も出来ましたが、哺乳をしてみるとチヨちゃんはマツコちゃんが近くにいても格子越しでしっかりミルクを飲んでくれ、マツコちゃんも先ほど述べたように決して攻撃的は態度にはならなかったため、この日からは夜間も一緒に過ごしてもらう事としました。

一緒に過ごすマツコとチヨ
タオルなど抱き着くものがあればチヨちゃんは落ち着いており、自らマツコちゃんに手を伸ばす姿も見られたため慣れればすぐに抱き着いてくれるだろうと思っていました。
が、ちょうど2週間経ってこのブログを書いているのですが、まだ抱き着いていません…
よく遊んでおり、マツコちゃんが食べているものに興味を示して強引に食べようとするなど仲はさらに深まっています。ただマツコちゃんは優しい分、強引に抱き着かせることはしないせいか、あと一歩、最後の一歩がお互い踏み出せないような状況が続いています。

マツコが食べている煮豆を食べたいチヨ

仲良く遊んでいるマツコとチヨ
このためマツコちゃんは寝室内でチヨと過ごし、一日おきにメンバーたちと運動場で過ごしてもらっています。ご覧頂けない日も出てきていますが、こういった状況であるという事をご理解頂ければと思います。
このままだと仲のいい同居人になってしまいそうなため、何かしらのアクションをかけていかなければと考えています。ただ関係性が壊れてしまうのは避けたいため、あくまで無理をせずそれぞれのペースに合わせながら進めていきたいです。
まだチヨちゃんの公開は難しそうですが、これから暖かい季節になっていくためマツコちゃんと一緒に外に出て行けるようになれば良いなと願っています。
(チンパンジー担当 おおぐり)