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staff blogスタッフブログ (スタッフブログ)

マンドリルのしんごが旅立ちました

2018年12月23日

平成30年12月19日、マンドリルのしんごが豊橋総合動植物公園へ旅立ちました。
その時の様子をお知らせします。

早いもので、しんごが生まれてからもう少しで2年が経ちます。

生まれてすぐ 成長したしんご

(左:生まれて間もないしんご/右:成長し、間もなく2才となるしんご)

生まれたその日から人工哺育となり、無事育つのか、両親の元に戻れるのか、しんごの目の前には多くの試練がありましたが、こちらの心配をよそに大きく立派に成長し、両親の元で元気に過していました。しかし、両親との距離は中々縮まらず、見ていてもどかしいと感じることもしばしばありました。

そんな中決まったしんごのお引越し。引越し先は愛知県にある豊橋総合動植物公園です。

かみね動物園では両親としんごの3頭で暮らしていましたが、お引越し先には8頭のマンドリルが暮らしており、年齢の近い子供たちもいます。人工哺育で育ったしんごはうまくコミュニケーションが取れないこともありますが、新たな環境、メンバーの中で社会性を身に着け、群れの一員として立派に成長してくれることを祈っています。

そのためにも、まずは新しい環境に慣れますように!がんばれ、しんご!!

そして、しんごが引っ越す少し前に「しんご、いってらっしゃい会」を行いました。

お知らせするのが遅れてしまいましたが、たくさんの方に参加して頂きました。誠にありがとうございました。

行ってらっしゃい会

(たくさんのご参加、ありがとうございました!!)

しんごの生まれたときのお話や搬出の経緯をお話し、早速しんごにケーキのプレセント♪

かきこむしんご ケーキを頬張るしんご

(必死に食べています)

今年の誕生日では早々にケーキをひっくり返してしまいましたが、今回は最後までひっくり返すことなくきれいに平らげてしまいました。

体の大きさからすると、かなり大きなケーキだと思いますが、すべて口の中や頬袋に詰め込んでしまいました。しんごの食欲、恐るべし…。

あわせて、皆様からしんごに向けたメッセージもいただきました。たくさんのメッセージ、ありがとうございました!

メッセージ 

(たくさんのメッセージに感激!!!)

短い期間ではありましたが、とってもパワフルな姿を私たちに見せてくれたしんごくん。新天地でもこの調子で元気にがんばれ~!!

さよならしんご


(しんご、元気でね! マンドリル担当木村か)

2018年12月23日

もしも、自分で動物園がつくれたら…

2018年12月17日

自分で動物園がつくれたら…、そんなことを想像したことはありますか?

自分で動物園を計画できたら、こんな展示が良い、この動物をいれたいなど色々たのしい考えがふくらみますよね。

いまある動物園も色々なことを考えて、つくられています。

そんな動物園のつくりかたをテーマにした、企画展をおこなったのでご紹介します。

9月から10月までの約2か月間、動物資料館でおこなった「動物園をつくりかた」展!

実は、この企画展は幻のイベントをもとに出来たものなんです。

その幻のイベントとは「わくワークショップ~君だけの動物園計画~」。

わー、面白い!絶対、面白い!題名からして面白い!

そんな、動物の生態や分類を考えながら自分なりの動物園をつくってみようというワークショップのイベントを企画したのですが・・・、最小遂行人数に到達せず誠に残念ながらお流れになってしまいました。

え~~~、絶対面白いのに!このままでは終われん!と思い、ワークショップではなく企画展でリベンジすることになりました。

 

企画展は・動物園を作るために編・はちゅウるい館を作る編・君も動物園を作ってみよう編の三本立て!

            企画展入口

 

1.動物園をつくるために編

 動物園を作ろう掲示 輸送箱

動物の搬入の話や動物園のコンセプトの話を中心に、輸送箱なども展示しました。

その動物園でなにを伝えたいのかを考えながら動物園のコンセプトを決めることが大事なことなんですね。また、動物園の動物がどこからやってくるのか、どうやってやってくるのか意外と知らないお話が多かったかもしれません。

2.はちゅウるい館をつくる編

はちゅウるい館物語

ここでは、11/18にオープンしたはちゅウるい館がどのようにして完成したのか、その全貌をまとめた漫画を展示しました。

飼育職員、渾身の漫画は読みごたえ抜群!

かみね動物園で新しい施設を作るときのドタバタ劇がコミカルに描かれています。

3.君も動物園を作ってみよう!

 工作コーナー 工作中

(動物やアイテムを台紙に貼って自分だけの動物園をつくります)

このコーナーでは、1・2の掲示をみて、自分で動物園のテーマや動物の種類などを決めて、

自分だけの動物園をつくってもらいました

  選ぶ どうぶつ

(選んだ動物に合った展示場のアイテムや広さを選びます)

工作コーナーでは計200人のかたにご参加いただき、おっ!と思うような動物園やそうきたか!といったものなど思い思いの動物園をつくってくださりとても面白かったです。 

 工作中  工作中

みなさんの作品は10月いっぱいまで展示し、いろいろな人に見てもらいました!

かなりじっくり見ている方もいましたよ~。

そして、200点の作品の中から園長賞と飼育員賞を4点選びました。

園長賞

(園長賞 アジアのZOO アジアに住んでいる動物で分類してくれました!目の付け所がサイコー!)

飼育員賞1  飼育員賞2飼育員賞3           

(飼育員賞の3点 動物の生息環境や地元日立にこだわった動物園たち。飼育員もみんな絶賛!)

 

この企画展で、動物園が動物の生態や分類を考えながら展示場を計画していることが少しでも伝わっていると嬉しいです。

ぜひ、次に動物園に来る時は、この動物園はなにを伝えたいんだろう?この動物たちはどういう役割でこの動物園にいるんだろう?といった新しい視点で動物園を楽しんでみてください。

そして、今回参加してくださった皆さん、ありがとうございます!

また、幻のイベント「わくワークショップ~君だけの動物園計画~」開催の野望はまだ捨てていませんので、今回は残念ながら参加できなかった皆さんはワークショップでお会いしましょう。

来年も面白いイベント・企画展を考えていくので、HP要チェックです!

2018年12月17日

出張!ほねとうんこの動物園!!

2018年12月15日

12月2日(日)に日立シビックセンターで開催された『青少年のための科学の祭典・日立大会』。

その一画をお借りして、「ほねとうんこの動物園」というクイズ形式のイベントを行いました!

ブースの様子  

     〈ブースの様子〉  

               

クイズ台紙

   〈クイズの台紙と選択肢〉

クイズと言ってもただの〇×クイズではありません。

台紙に書いてあるヒントを読みながら、本物と見比べていくというものです。

といってもあまりイメージがわかないですよね・・?

どのように回答していくかご説明しましょう!

動物一覧 動物の選択

     〈動物一覧〉              〈動物を決めている様子〉

まずは動物を選びます。

種類は全部で6種類、右手前側からシマウマ・シカ・ミニブタ・キリン・クマ・ライオンです。

 

動物が決まったら餌を選びましょう。

餌 

      〈餌一覧〉          

餌は3パターン、右手前から肉・草や葉・果物や小動物など。

餌の選択

   〈餌を選んでいる様子〉

どうやらシマウマの餌を選んでいるようですね。

シマウマは草かな?それとも果物や小動物?まさかの肉?!

友達と相談しながら遊んでいる感覚で、動物の知識を身につけていけたら楽しいですよね。

 

餌が決まったら次は骨!

骨

       〈骨一覧〉

骨は各動物の頭蓋骨を用意してあります。

骨の選択

    〈骨を選んでいる様子〉

ライオンの骨を選んでいるようですね。

歯の形や目の位置などをよーく観察して、「これだ!」と思う骨を選びましょう!

 

最後はうんこ!!

うんこの選択

   〈うんこを選んでいる様子〉

うんこも各動物で6種類。

このうんこが一番の難問・・・。なかなか正解できない人も大勢いました。

しかし間違えても気にしないでください!飼育員にとってもうんこは難問でした。(笑)

担当動物以外のうんこはなかなか見ないもので・・・。

でも今回のイベントで、我々飼育員も成長できました!ありがとうございます!!

 

 

ここでキリンのヒントを見てみましょう。

餌→『長い舌を使って高い木の葉や枝、花などを食べているよ』

骨→『全体:骨の角を見つけてね!、前歯:上の歯はありません!、奥歯:草をすりつぶす為に平たいよ』

うんこ→『消化できなかった草の繊維が混ざっている。体のわりにうんこは小さい』

これらのヒントからキリンは

『草食』『角があるけど上の前歯がない、奥歯は平ら』『植物の繊維が混じった小さいうんこ』

ということが分かりますね!

クイズの台紙

    〈キリンの回答〉

餌、骨、うんこの3つがそろったらいざ答え合わせ!

答えあわせ 景品のしおり(表)

    〈答え合わせの様子〉          〈ゾウのうんこで作ったしおり〉

1度正解するごとに、ゾウのうんこで作ったしおりにスタンプを1個。

いろいろな動物にチャレンジして、オリジナルしおりにしちゃいましょう!!

  

シークレットコーナー

   〈シークレットコーナー〉

全部の動物を解き終わっちゃっても大丈夫。シークレットコーナーがあります!

容器の中には本物の動物のうんこが入っています。

臭いを嗅いで何の動物か当てましょう!

シークレットコーナー体験

   〈???のうんこの臭い体験中〉

緑の容器の中身は、なんとライオンのうんこ!

肉食動物のうんこはかなり臭くて、本当に鼻が曲がりそうです・・・

体験した人たちは大丈夫かな?とても心配です。(笑)

逆に草食動物のうんこは嗅いでいてもそんなに苦にはなりません。

レッサーパンダのように笹を主に食べている動物は、竹のようなむしろいい匂いがします。

食べているもので全然違う臭いになるんですね。

自分のトイレの臭いが気になる方は、ベジタリアンになってみてはいかがでしょう?(笑)

 

 

今回は160人を超える方々がクイズに参加してくださいました!中には1人で10回以上も回答してくれた人も!!

参加された方々は問題を解き進めているうちに、自然に食べ物と骨、そしてうんこの関係性に気づけたのではないでしょうか?

『肉を食べるから歯が鋭い。そしてうんこには毛が混じっている。』

『草をすりつぶす為に奥歯が平ら、消化しきれなかった草がうんこに混じっている。』

などなど、動物は食べるものに適した骨のつくりをし、食べたものによって様々なうんこをします。

今後、動物園を訪れた際には、動物本体だけでなく餌や糞などにも注目してみてはいかがでしょうか?一味違った動物の魅力を感じることが出来るかもしれません。

 

これからも動物園内、園外ともに様々なイベントを行っていくので、お楽しみに!!

2018年12月15日

ひなたとかげ

2018年12月3日

11月18日に「はちゅウるい館」が盛大にオープンしました!というかオープンできました!なんとか間に合った・・・。燃え尽きた・・・。とホッとしたのも束の間で慣れない爬虫類たちのお世話に追われる毎日です。

オープン ウミウ

      <オープン式典>             <ウミウもお引越し>

はちゅウるい館の成り立ちやセレモニーの様子は園長やほかの皆様に譲って、今回は飼育のお話をしてみたいと思います。なぜなら!良いタイトルを思いついたからです。笑


さて、はちゅウるい館にはカメ、ワニ、トカゲ、ヘビが約40種類ほど飼育展示されています。これまでかみね動物園で飼育していた爬虫類(私が勤めてから)はカメの仲間とヘビの仲間が10種類程度でした。ワニはその昔にメガネカイマンが熱帯鳥舎という今は無き建物で飼育されていたそうで、トカゲもグリーンイグアナが同じ建物にいたそうです。そんなわけで今回新しくたくさんの動物が来ましたが、現役職員としてはトカゲとワニは初めまして状態でした。(カナヘビなどは企画展で捕まえて飼ったりはしていましたが)

エボシカメレオン クチヒロカイマン

     <エボシカメレオン>           <クチヒロカイマン>

爬虫類全般に言えることですが、彼らは周りの環境にとても依存しており、適応力が哺乳類に比べて低いといわれています。そもそも私たち恒温動物と違い、爬虫類は体温を自分で調節できない変温動物なので快適に過ごせる温度を作ってあげなければなりません。さらに、彼らは自分達の生活に合わせて、日光浴(バスキング)をしたり、水に入ったり場所を移動しながら体温調節を行います。つまり、部屋の温度を何度にすれば良いというだけでなく、暑い場所、涼しい場所など彼らが選択できるようにセッティングしなければなりません。「温度勾配」といいますが、これが一苦労でした。

フトアゴヒゲトカゲ フトアゴヒゲトカゲ

    <日光浴で体温上昇中>           <日陰でクールダウン>

また、昼行性や草食性の爬虫類は紫外線を必要とする種類が多く、飼育しているトカゲやカメも紫外線を必要としている種類がたくさんいます。哺乳類は外に展示するのが基本なので、あまり気にしたことがありませんでしたが、これがもう大変!一言で紫外線と言っても、食欲増進や脱皮を促すUVA、カルシウム代謝に必要なUVBなど種類も違います。自然界では「太陽光」で全てを解決できるのですが、屋内の施設ではそうもいきません。窓を作って太陽を当てれば良いじゃんと思いますが、密閉された屋内で太陽をあててしまうと温度が上がりすぎて死んでしまう危険があります。これらの温度と光を解決してくれるのがライトです。はちゅウるい館には様々な5種類のライトが取り付けられています。

ライト

  <展示の上にはライトがいっぱい>

1、バスキングライト

狭角に発射されてスポットを照らす。高い温度と強い紫外線を出す日光浴用のライト。

2、保温ライト

全体的に広がって温かい光を出す。赤い光は爬虫類には見えないので夜間でも使える保温用のライト。

3、メタルハライドライト

高温、高質でとても明るい日光浴用のハイスペックライト。お値段が・・・。

4、蛍光灯

全体を明るく照らすが、熱はあまり出ない。紫外線入りのものもあるので照明と紫外線を兼用できる。

5、LEDライト

とても明るいが熱をほとんど発しない。展示や通路の照明用ライト。

ライト ライト

<左:バスキングライト 中:蛍光灯 右:保温ライト 天井を見上げるとこんな感じです >

これらのライトを使い分けてそれぞれの動物に適した環境を作っていきます。

これがばっちりハマると・・・。

イグアナ イグアナ

    <グリーンイグアナ!>          <裏から見るとライトが>

マングローブオオトカゲ マングローブオオトカゲ

   <マングローブオオトカゲ!>         <上を見るとライトが>

動物たちが自分の好きな場所を選んでいるので、日光浴をする場所(ホットスポット)を作ってあげると展示として見せたいところに誘導することができます。ホットスポットは動物にも人間にもホットなスポットです!

さらに、彼らは自然界では朝昼夜を感じながら行動をしています。屋内施設だと電気をつけるか消すしかないので朝方や夕方を作るのが大変です。はちゅウるい館ではライトを調節して暗い時間と明るい時間を作って朝夕を作っています。実は開館後(9時30分から)と閉館前の30分間は館内は暗めの照明にして、展示としても朝夕を演出しているんですよ!!雰囲気もガラッと変わるので要注目です!ただ、これを手動で行うのはとても大変なのでタイマーを使って照明の調整を行っています。

マングローブオオトカゲ タイマー

  <夕方のマングローブオオトカゲ>           <タイマー>

更にもう一つ光で苦労したのがカメレオンモリドラゴンという樹上性のトカゲです。

カメレオンモリドラゴン

   <カメレオンモリドラゴン>

彼らの飼育方法を調べると日光浴は好きだけど強い光は嫌いとのこと。なぞなぞか!!そこで他の動物園の方にアドバイスをもらったところ木漏れ日のような光を好むとのことなので網をつかってみました。

網 網

     <倉庫で見つけた網>            <木漏れ日?を演出>

カメレオンモリドラゴン 

   <気に入ってくれたかな?>

そう!爬虫類飼育、とりわけトカゲと光は切っても切れない関係なのです!(トカゲだけに!?)日向と影!日向、トカゲ!ヒナタトカゲ!!!オアトガヨロシイヨウデ。

なんて偉そうなことを書いてきましたが、実はほとんど他の動物園の方々からの受け売りです。ごめんなさい。実際はライト一つとってみても哺乳類とは全然違う世界で、日々試行錯誤をしながら驚きと発見と感動とちょっぴりの苦労を繰り返しています。そんな底抜けに奥が深い爬虫類の世界を、裏話を交えながらこれから皆様にお伝えしていければと思います!!

はちゅウるい館と外の寒暖差で風邪をひきそうな 中本

アシナシトカゲ

<こんな見た目ですがトカゲの仲間です>

2018年12月3日