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リスザルの赤ちゃんが亡くなりました

2018年5月20日

ボリビアリスザルの赤ちゃんが亡くなりました

  平成30年5月12日、ボリビアリスザルに赤ちゃんが誕生しましたが、その後死亡しましたのでお知らせ致します。

 5月12日の朝、ボリビアリスザルに待望の赤ちゃんが生まれました。父親はシロ、母親はサキです。サキにとっては2度目の出産。実は昨年に初めての出産を経験しましたが、難産のすえ残念ながら赤ちゃんは亡くなりました。幸いサキの命に別状はなく、その後も群れで元気に過ごしていたところ、今年も妊娠を確認することができました。無事に出産を迎えることができるのか…心配しながら様子をうかがっていたため、朝、母子共にいる姿を確認できたときは非常にうれしく感じました。

 時間の経過と共に赤ちゃんは母親のお尻の方にくっついていることが多くなり、少し危なっかしい場面もありましたが、それでも自力で胸の方へ行き授乳の様子も見られました。しかしその日の午後13時過ぎ頃、赤ちゃんは母親にしがみつくことができなくなり母親から落ちてしまったため、親元から取り上げ状態の確認を行いました。赤ちゃんの状態確認、また哺乳をした後もう一度母親のもとへ返しましたが、時間の経過とともに赤ちゃんは自力で母親にしがみつくことができなくなり、一旦人工哺育を行うことにしました。しかし、13日の夜、赤ちゃんがしきりに鳴きはじめ様子がおかしいと観察していたところ、翌14日の朝4時に死亡を確認しました。頭部打撲が原因の循環不全でした。今回は自力で出産を成し遂げ、育児にも意欲的な姿がみられたためとても残念です。この経験を踏まえ、今後の繁殖の際にサポートができるよう準備を進めていきたいと思います。(現在、サキは群れと合流し仲間たちと過ごしています。)

リスザル赤ちゃん (出産発見時の様子)

取り上げたときの様子(取り上げたときの様子)

 

<死亡個体情報>

出生日:平成30年5月12日

性別:メス

体重:101g

頭胴長:13cm

尾長:9.5cm

両親:父 シロ(♂)、母 サキ(♀)

2018年5月20日

頑張れまるお!

2018年5月6日

頑張れまるお!いや頑張ったまるお!!

「まるお」ってなんですかって話ですが、昨年生まれのオスのカピバラが今回の主人公です。

カピバラ

       <5つ子誕生>

昨年の4月4日に父「コタツ」母「ハナ」の間に5頭(オス3・メス2)が生まれました。こどもたちはすくすくと成長し、それぞれお嫁&お婿に旅立ち、オス1頭とメス1頭がかみね動物園に残ることになりました。名前募集を行いオスが「まるお」メスが「もも」という素敵なお名前をつけてもらいました。「もも」は好奇心旺盛、「まるお」は臆病と正反対の性格したが2頭はとても仲良しでした。
かぴばら カピバラ

カピバラ カピバラ

           <大きい方がまるお、小さい方がもも>

さて、話は変わりまして、かみね動物園では一昨年から繁殖を制限するため(スペースや近親交配の問題があるので)にオス群れとメス群れにフェンスで区切って飼育をしています。寝室も別々です。子ども達はお母さんと同じメスの群れの中で育っていましたが、「まるお」はオスなのでいずれオス群れに入ることになります。そこで子どものうちから大人たちに慣らしておこうということで群を隔てるフェンスに子どもだけがくぐれる穴をあけました。

かぴばら かぴばら

    <オス群れで遊ぶ2頭>      <左メス群れ、右がオス群れ、真ん中がまるお>

好奇心旺盛な「もも」はオス群れに出かけていき、大人のオス「おもち」と交流をはかったり、探検したり積極的に行動していました。「まるお」はというと自分からはあまり動かずいつも「もも」にくっついてばかりいました。物怖じしない「もも」に対して「おもち」も嫌がるでもなくオスと子供たちは平和に過ごしていました。ところが、ある日「もも」が突然亡くなってしまいました。その後解剖を行いましたが原因はわからず、本当に突然の出来事でした。

一人になった「まるお」は一層臆病になってしまい、オス群れにもあまり遊びに行かなくなってしまいました。たまに遊びに行っても、「おもち」が近づくと驚いてすぐに逃げてしまい、逃げるから追いかける、怖くて逃げるを繰り返し、2頭の関係性はどんどん悪化してしまいました。最終的に「おもち」は「まるお」が近づいてくると追い払うようになってしまいました。

 まるお

 <ひとり暮らしを謳歌しているおもち>

 

そんなこんなで月日は流れ、2頭の関係は改善されないまま、「まるお」の性成熟(だいたい1歳くらいといわれている)が近づいてしまいました。そのままにしておくと母や姉と近親交配が起こってしまいますので、いよいよ「まるお」をオス群れにいれなければならなくなりました。以前オスの群れを作った際も、ものすごーく大変でカピバラの群れ入れは一筋縄ではいきません。

以前のお話 → (http://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/nakamoto/p048521.html

さらに、今回は昨年から仲間入りしたマーラとも上手くいくか心配されました。

実はマーラ同士でもトラブルがあって大変で・・・。まあ、この話は別の機会で。

かぴばら 

      <おもちとマーラ>

結果、いくつかのトラブルはあったものの寝室内でお見合いを経て、それほど時間はかからず群れに入ることができました。

(トラブル集)

・マーラにちょっと怒られる編

大人同士は無関心なカピバラとマーラだったが、マーラが「まるお」にだけやたらと厳しい。時間が解決してくれた。

・なぜかメスに起こられる編

「まるお」をオス群れに長時間いた入れた後、メス群れに戻したところ袋叩きに合う。メスたちは「おもち」のにおいがついたことが気に入らなかった模様。水で体を洗って事なきを得る。

・お見合い強制終了編

お見合いも順調に進んだある朝、出勤するとマーラとカピバラ全員が一緒の部屋にいてビックリ。どうやら仕切り扉を自分達でどうにか開けた模様。まあ、みんな落ち着いてるからオッケー!


ラストは強引ではありましたがそれほど大変な思いもせずに群れに合流できました。ぎこちない2頭でしたが、徐々に同居人から群れへと関係性が変化しつつあります。聞くところによるとある日2頭でプールに入っていたのですが、なんとも微妙な距離で別々に水遊びをしていたそうです。カピバラは水に入ると子供のように他個体とじゃれあうので、お互いが遠慮して別々に遊んでいたという話は2頭の距離感を絶妙にあらわしていました。今後は一緒に行動する時間が増え、絆が生まれていくと思います。

ところで、おもちは気が強くこれまでも他個体が近づくと追い掛け回していたのに、なぜ上手くいったのでしょうか。はっきりとした理由は分かりませんが「おもちが成長に伴って落ち着いてきたこと」「ももの死後少なくなっていたものの、子供の頃から交流があったこと」「マーラがいることで自分以外の生き物と接する機会があったこと」などが要因として挙げられました。

かぴばら

   < 左)まるお 右)おもち >

他園館のカピバラ飼育担当者とよく話題になるくらい全国的にもカピバラの群れ作りはシビアな問題ですが、なんとか合流できたことは本当にラッキーだったと思います。これから「まるお」は「おもち」とマーラとオス群れで平和に暮らしてくれると思いますので、今後の「まるお」の成長を見守っていただければと思います。ただ、今後は繁殖のために新しいオスやメスの導入も必要になってくるのでその際はまた一波乱起こりそうな・・・。この問題はカピバラを飼育していく限り続きます。
 

あ、そうそう、母やメスたちに未練が残らないように現在は土のグラウンドを封鎖して、毎年恒例の種まきをして緑化を行っております!解放時期などは追ってお知らせしますのでお楽しみに!!

フェンス 芽が出た

 <仕切り柵設置に駆り出される後輩>       <芽が出てきました!>

とブログを書いているときはいい感じだったのですが、ある朝突然「まるお」が「おもち」に攻撃されてしまい現在は別々にして様子をみています。

はぁ、今後に続く・・・。

今年度も変わらずカピバラ担当 中本

かぴばら

<なぜだー、こんなに仲良くなったのにー>

2018年5月6日

飼育の日(419)

2018年5月4日

 4月21日、飼育の日イベントがスタートしました。

 毎年、4月19日(419)しいくの日にちなんで、飼育に関するさまざまなイベントを開催しています。

  キリン舎グラウンド

 今年の『飼育の日イベント』は、4月21日に『プチ飼育体験』午前の部(キリンのグラウンド掃除体験)、午後の部(ニホンザルのエサ作り体験)を実施。

 『プチ飼育体験』の他、『飼育員にインタビューなどなど』飼育員に関する掲示物を北園掲示板に掲示。飼育員に関する情報が盛だくさん!ぜひご覧ください。

  掲示物

 また、『飼育員になりきって写真を撮ろう!』コーナーを動物資料館に設置。子どもから大人用までそろえてありますので、ぜひ親子で記念撮影してください。

  なりきり写真

 『掲示物』と『飼育員になって写真を撮ろうコーナー』はしばらく展示していますので、興味のある方はぜひ来園してみてください。お待ちしています。

 さて、4月21日に実施した『プチ飼育体験』ですが、午前の部、キリンを出す都合上、午前10時スタート! 動物園は午前9時開園ですので、お客様にとっては入ったらすぐにイベント体験! とややせわしい感じになってしまいますが、19名の参加がありました。

 ここではキリンの寝室を抜けてグラウンドに移動するため、キリンを真近で見ることができ、キリンの大きさを実感することができます。そして、みんなでグラウンドのお掃除! お掃除体験ではキリンの糞(こんなに大きいのにこんなに小さいの!!!みたいな)の観察ができます。

キリン舎寝室 掃除中

 きれいになったグラウンドにキリンを出して、朝ご飯を食べている様子をみんなで観察して『キリンのグラウンド掃除体験』は終了となりました。掃除をして、キリンがエサを食べている様子を見ていた皆さんはとても満足気でもあり、とても楽しそうでした。

掃除中 朝ごはん

 午後の部、午後1時30分よりニホンザルのエサ作りを体験していただきました。24名の参加がありました。みんなで調理室に移動して、サツマイモ、人参、リンゴなどをニホンザルが食べやすいように、包丁を使って切っていただきました。

エサ作り エサ作り

 お子様たちも包丁を持ち、親子で手を切らないよう注意しながら作っていただきました。みなさん真剣にやっていただき、手(指?)を切ってしまう方も出ずに無事終了!

エサをあげる エサあげ

 エサを持ち、意気揚々とみんなでサル山に行って、ニホンザルにエサをあげていただきました。動物にエサをあげるのは、とっても楽しいですよね? みなさん楽しそうでした。これで体験終了です。

  終了

 来年も4月19日(飼育の日)にちなんで、イベントを実施する予定です。これを機会にぜひ覚えていただいてチェックしてみてください。

 

2018年5月4日

春のごちそう

2018年5月4日

 桜散って、もう新緑の季節。木々は新芽を吹いて青々としてきます。季節の中でも特に過ごしやすくて私は大好きです。
この季節、草食動物担当の飼育員は木の葉を見て「美味しそうだなあ~」と思います。もちろん動物が食べるので(笑)

木々だけでなく地面に生えている草花も活気づいてきます。


ノゲシ
ノゲシ


タンポポ
セイヨウタンポポ
 

よもぎの袋

そして先日獣舎の掃除をしていたらこんなうれしいプレゼントが・・・

よもぎいっぱい

袋いっぱいのヨモギ!ああ~いい匂い。

シルバーさん

これを採取してきてくれたのはいつも園内清掃でお世話になっている
シルバー人材センターの方。本当にありがとうございます。

さて、これらの植物が大好きな動物を私は担当しています。
一体誰が食べるのかというと・・・

むしゃむしゃ食べる4

ケヅメリクガメです。ふれあい動物園ヤギの隣にいます。
お客さんと会話をしていると皆さん「カメ」と言えば

ミシシッピアカミミガメ
   <フラミンゴ池にいます>

こちらのミシシッピアカミミガメやウミガメなど水辺・水中を住処にしている種類を思い浮かべるようです。ケヅメリクガメは陸上で生活する動物。

野生ではアフリカ大陸の乾燥した大地に暮らしています。

むしゃむしゃ食べる2
     <よもぎ美味しい!>

彼らの大好物は草。冬の間は野菜を与えてきましたが、この時期に採取できる野草は栄養豊富で、健康面でも嗜好性でもこれに勝るごはんは無い!のです。

むしゃむしゃ食べる

ムシャムシャ

むしゃむしゃ食べる3

バリバリ

暖かくなり活動的になってきたこともあり、本当によく食べる。
野菜嫌いな子供も彼らの食べっぷりを見たらきっと好きになる・・・と思うくらい気持ちいい食べっぷりです。

たんぽぽ摘み

園内でこんな職員を見かけたらカメのごはん採取中です。怪しまず、気軽に声かけてくださいね~。

 

(飼育員 クラッシュとお話したいいのうえ)

2018年5月4日

バルミーの闘病生活~子宮蓄膿症?!~part4

2018年5月2日

  

※一部ショッキングな写真があるかもしれませんのでご注意ください。

 

翌朝のバルミー。

ご飯も食べて、ガウガウいってて、

「よし!元気!」

 

と思ったのもつかの間。

飼育員さんから、「なんか床に血痕があるし、傷口からポタポタしているみたい・・・」との連絡が。

 床の血痕

 

夕方まで様子を見ましたが、止まる気配もなく・・・

翌日に再縫合を実施することにしました。

 

麻酔をかけて、状態を確認したところ、皮膚の縫合糸が全部なくなっていました。

気にしてなめとってしまったみたいです・・・

なので、縫合を強めにして、しっかり閉じて今日はおわり。

 再縫合のようす

 

覚醒もうまくいき、一安心。

回復も順調にいっていて、「よーし。今度こそ安心!」

と思ったのも数日で・・・

 

また、縫合糸をなめとってしまい、傷口が開いてしまいました。

おなかの出血

(術創周囲に皮下出血も出てしまっていました…おなかがタポタポ。)

 

また麻酔だ・・・私は内心、「約1週間のうちに3回も全身麻酔をするなんて、なんて恐怖だ。でもやらなきゃ、バルミーは助かんないな・・・」

 

ということで、今度こそ!!と、縫合の一部にワイヤーをいれてみることに。
ワイヤー縫合

覚醒の状態があまりよくなかったので心配になりました…

 バルミーの覚醒のようす

(なんか痛いし、気持ち悪いし、だるーい…寝てよ…)とでも思っていたのかな?

※こちらは不安すぎて、何度も何度もお見舞いに足を運び。見守ることしかできずもどかしい時間でした…

 

 

が!!!!時間がたつにつれ、回復していきました。

 

 

その後は順調に回復し、元通り、娘のジュンとも同居できるように!!!

 ライオン母娘同居

(左がジュン、右がバルミー)

 

 

「あーーーーーーー、よかった!!!!」

と、バルミーの闘病生活は終わりを告げました。

 

おっと、Part3でだしていた子宮の検査結果ですが、なんと・・・目立った所見はなし・・・

 

あれれ?

目で見て異常を感じても、ミクロな世界でみると異常がないこともあるのか?!とびっくり。

つまり、この検査結果だと子宮蓄膿症ではなかったということ・・・?

 

じゃー、あの夏、見たものは何だったのか?

 

(1)膣炎+なんらかの全身感染症だった?

(2)膣炎+子宮水腫・子宮粘液症(子宮に液体や粘液がたまる病気)だった?

(3)炎症が完全に治癒した子宮蓄膿症だった?

 

などの可能性が考えられます。

 

「じゃー、手術しなくてよかったじゃん。」

「バルミー頑張り損じゃん。」

といった声が上がってくるのも無理もありませんが…

 

ただ、今後、バルミーの出産予定はありません。となると、今後、いつ子宮系の病気になってもおかしくないんです。

 

今後、また具合が悪くなってしまったときに手術をするよりも、

元気なときに手術できた方が、体への負担や麻酔のリスクは減らすことができます。

 

また、今回と同じように具合悪くなってしまった時に、次も抗生剤が効く保障もないんですね。

 

だから、元気なときに手術して、病気を予防できて、よかった!!!と、予防大好きな私は思っています。

 

 

今回、バルミーのおかげで、治療について話し合ったり、みんなで準備したり、色々な可能性を想定したり。

今後の診療にも活かせることが、やまほどありました。

 

なにより、同じ悲しい歴史を繰り返さずに済んだこと、一つの命を救えたことが大きな成果でした。

 

頑張ったバルミーに大大大拍手。頑張った私たちに拍手。

 

すっかり時間があいてしまいましたが、

支えてくださったたくさんの方々に深々とお礼をして、バルミーの闘病生活のご報告とさせていただきます!

 

バルミー、ありがとう!これからもよろしく!

 

 

(頑張ってくれる動物たちに全然頭があがらない獣医師・あきば)

2018年5月2日