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staff blogスタッフブログ (スタッフブログ)

飛び出せ動物園!ボルネオ編part4

2017年12月27日

 朝、水辺で出会った宝石

 川沿いでは多くのハンターにも出会いました。

ミナミカンムリワシ

ミナミカンムリワシ。私が見たときは木の上から何かを探しているように見えました。
ガイド曰く狩りの最中とのこと。特にヘビやトカゲを襲って食べるそうです。

カンムリワシは日本でも石垣島や西表島で見ることができます。
私たちが見ていることも気にせず、ごはん探しに夢中な様子でした。

シロハラウミワシ

シロハラウミワシ。主に魚類を狩るそうで、朝は川の周囲を飛んで魚を探しているそうです。なんと20年以上前にはかみね動物園にもいたそう。記録が残っていないのですが、職員に対して攻撃してくるので頭上に注意を払いながら獣舎の清掃をしていたと先輩が教えてくれました。恐ろしい・・・。

シロハラウミワシ

遠目からでしたがトビくらいの大きさで朝日を浴びて白い体がより一層輝いていました。

トカゲ

写真が暗くはっきりと見えませんが、ボルネオに生息する3種のオオトカゲの内の1種。
マレーオオトカゲと思われます。別名ミズオオトカゲ。私たちが見た個体は体長1mほどありました。
大変悪食でなんでもよく食べますが動物の死体も食べてくれるので「自然界の掃除屋」と呼ぶ人もいます。
川の支流

そしてボートは川の支流へ。
あの夢と魔法の王国で体験したようなリアルジャングルクルーズ!

ビワモドキ科の黄色い花

1日限り咲く美しい花。ビワモドキ科。

ルリカワセミ 

ルリカワセミです。2羽いました。時々水の中に飛び込んでは魚を捕まえて
日本のカワセミより少し小さいくらいでしょうか。

ルリカワセミ2

自然界にこんなに美しい青が存在するなんて驚きです。
吸い込まれそうなくらい綺麗な色。
「この時間にいくと大体この場所にいるんだ」とガイドが教えてくれました。
このあたりがお気に入りの狩場なのかもしれません。

ルリカワセミ3 

キナバタンガン川で見つけた宝石です。

 名残惜しくもリバークルーズはこれで終了。
昼前にスカウを後にして次の目的地ダナンバレーへ向かいます。

ダナンバレーでは本格的にジャングルを歩く予定です。
プランテーション
   <車窓から撮ったアブラヤシ畑>

川沿いをしばらく走るとアブラヤシを植えたプランテーション(大規模農場)が続きます。
アブラヤシからはパーム油という油を作ることができます。インドネシアとマレーシアが2大生産国であり、ボルネオ島の道路を走っているとアブラヤシの並ぶ風景をよく見ます。
じつはこれがボルネオに暮らす生き物と大いに関係があるのですがそれはまた後でゆっくり書こうと思います。

パーム油を運ぶトラック  
<トラックの上部に”PALM OIL”の文字>

おまけ

ランブータン 車内でランブータン
   <森の中にも落ちてました>      <道中、運転手が御馳走してくれました>

前回のブログではドリアンを紹介しましたが、東南アジアには多くの種類のフルーツが栽培されています。
ランブータンもその一つ。マレー語のranbutが語源で「毛」や「髪」を意味します。
見た目とは裏腹に中身は真っ白でとても綺麗な実です。風味がライチに似ているなと思い調べたらライチの仲間でした。
日本のファミレスのサラダバーによくある冷凍ライチを山盛り食べて満足していた私としては
冷凍でないフレッシュなランブータンは目を見開く美味しさでした。(サラダバーのライチも美味しいですけどね!)
 

・・・このおまけコーナー食べ物の話しかしてないですね。 

(飼育員 いのうえ)

2017年12月27日

還暦のお祝い

2017年12月20日

還暦おめでとう!って誰がということなんですが、動物園が今年で開園六十周年を迎えました。

赤いチャンチャンコを着させてあげることはできないので、皆様と動物園をきれいにしようということになりました。園内美化として企画を考えたのですが、んーなにをどうしたもんかなと悩んだ挙句、園内のゴミ箱を装飾しようということになりました。

ごみばこ

    <園内のゴミ箱>

さて、ゴミ箱に決まったのはいいのですが、今度はやり方をどうしよう・・・。と悩んでいると、絵本作家のふれあいサポーターからこんな方法がありますよと紹介されたのがフィンガーペインティングでした。フィンガーペインティングとはその名の通り指で絵を描くことです!

フィンガーペインティング ペイント

職員で試しにやってみたところ、これが思いのほか楽しい!ヨシこれだ!ということで、9月17日に「メイクアップ大作戦!」を行いました!

天候にも恵まれて、絶好のイベント日和の中多くの方が参加してくれました。

私たち職員と同じように大人の方からも懐かしい、楽しいという声が多く聞こえてきました!(ニヤリ。)

大人はどうしても上手く描こうとか本物に近づけようと思ってしまいがちですが、子供たちは自分の思うがままに指、手のひら、時には足を使って個性的で味のある作品を次々に生みだしていきます。本当に子供たちの自由な発想に圧倒されるばかりでした。

イベント ペイント

ペイント ペイント

完成した絵は乾かしてからスキャナーでパソコンに取り込んだ後に、印刷して白く塗ったゴミ箱に貼りました。

完成 乾燥

       <カンセイ>               <カンソウ>

完成品 完成品

今まで味気なかったごみ箱が素敵に大変身を遂げました!次回来園した際は、ぜひ園内のゴミ箱にも注目してみてください。参加していただいた皆様ありがとうございました。
(※お預かりしている絵は来園した際にお返しできますので、チケット売り場にてお声をかけてください。)

ごみばこ ごみばこ

ゴミ箱を綺麗にするだけならお金をかけて新しいものに取り替えればいい話ですが、皆様と一緒に動物園を作っていきたいという願いを込めてこのようなイベントを行いました。かみね動物園がこれまで60年という長い道のりを歩んでこれたのも、皆様の支えがあってこそだと思います。皆様と一緒に作る、成長する動物園をこれからも目指していきます!次なる目標は目指せ100周年!!

メッセージ

<たくさんのお祝いメッセージも頂きました!>

職員紹介の似顔絵は私が描いています 中本

2017年12月20日

冬の憂鬱

2017年12月18日

 飼育員が憂鬱になる冬がやってきました。

プール掃除中
     <ああ冷たい・・・>

だって水仕事がしんどいんです。カバのプール掃除寒いんだもん。
と、言ってもこれも今年はそろそろ終わり。
なぜなら水が冷たくなってカバがプールに入らなくなるからです。

トラ ライオン カバ

私の担当動物トラ、ライオン、カバは暖かいor暑い地域に住む動物ばかり。人間以上に日本の冬は彼らにとってはつらいもの。
この季節をどのように乗り切るかでいつも頭を悩ませます。

落ち葉袋の山

この時期大活躍するのが落葉。いつも園内を清掃してくれるシルバー人材センターの方々にお願いして落葉をとっておいてもらっています。
サイカバ舎の裏は落葉袋の山が!

落ち葉の上で休むカバ
     <気持ちよさそう>

カバは冬は外のプールに入らなくなります。陸で過ごすことが多くなるのですが硬いコンクリートで寝ると皮膚が擦れることもしばしば。
そこでよく日向ぼっこをする場所に落葉を敷き詰めました。
今では好んで落葉の上に寝てくれます。

お湯でもわもわ お湯の中で
     <湯煙立つ寝室>          <は~気持ちいい~、と言いたげ?>

また、寝室のプールではお湯を入れます。約18度以下に下がらぬよう水とお湯を混ぜて入れると気持ちよさそうにしています。

窓
暖房効率を高めるために窓側にはシートを。
ちょっと見づらくなりますがカバの健康管理のためご理解をお願いいたします。

落ち葉の上で休むトラ
    <落ち葉の上でお休み中>

寝室に落ち葉
     <寝室がふかふか>
トラ、ライオンにも落葉を。
今年は寝室にも敷き詰めてみました。
猛獣舎は寒い時期だと10度以下まで下がってしまいます。赤外線ランプやヒーターを使用しますがコンクリ床の冷たさはどうにもならず以前は肉球にあかぎれを起こす個体もいました。

これまではあかぎれ防止のため板を敷いていましたが、外ではふかふかの落葉に横たわって眠る様子がよく見られたのでこちらの方が気持ちよいかと思い全面にしいています。
汚れたところを毎日取り除き少しずつ足しています。

バルミー

バルミーはサイが食べ残した乾草のベッドがお気に入り。
寒くなってからずっと板の上で寝ていましたがこれを敷いてからはここを独占状態です。

トラ くつろぐオーちゃん
      <肉を探すトラ>            <くつろぐオーちゃん>
落葉の中に肉片を隠して食べてもらうこともできます。
宝探しのようでなんだか楽しそうです。
以前は外でのみ行っていましたが室内にも敷いたことで室内での行動パターンを少し増やすことができました。
動物園の動物たちは実は皆さんに見られる外よりも「獣舎」と呼ばれる寝小屋で過ごす時間の方が長いのです。
お客さんに動物たちの魅力を伝えるため、動物のために、外のエンリッチメントはもちろんですが裏側のエンリッチメントも今後はもっと考えていく必要があります。

落ち葉かぶりライオン
    <落ち葉かぶっちゃった>
冬を乗り切るための工夫、きっとまだまだあるはず。
色々と調べて試しながら動物たちに元気いっぱい過ごしてもらおうと思います。

(飼育員 夏が恋しいいのうえ)

2017年12月18日

名は体をあらわしてる!?

2017年12月15日

動物たちの名前(愛称)のつけ方は、当園で生まれた場合、

(1)両親にちなんだ字をとる。

(2)一般公募で多いものを選ぶ。

(3)担当者まかせ。

などなどのいずれかによって決められます。また、新しく入ってきた動物の場合、

(1)以前飼われていた所の愛称を引き継ぐ。

(2)一般公募。

(3)担当者まかせ。

などになります。

 つる

      タンチョウ舎

 

タンチョウ舎のケージには、「鶴正(つるまさ)」「鶴夫(つるお)」という名前(愛称)が貼ってあります。「タンチョウ」という種名よりも大きく表示されているため、誰もがタンチョウと発するよりも先に「鶴正、鶴夫、すごいねぇ~、立派な名前だねぇ~」と口にします。

つるお ツル

     「鶴夫」             「鶴正」

 

タンチョウの語源は、漢字で書くと「丹頂」→「丹」あか。「頂」一番高いところ、あたま。

頭が赤いところからきています。この赤い所は羽根ではなく、皮膚になっています。

 

小屋を清掃している時、通りかかったお客さんに「日本の国鳥はなぁに?」というクイズを出します。時折、タンチョウと答えてくれますが、残念ながらタンチョウは、特別天然記念物の指定で千円札の裏の印刷止まり…。ももたろうのお供のニホンキジに国鳥の座(一万円札の裏の座)を譲ってしまいましたが、首と風切羽の黒い羽根がなければ、日本の国旗と同じく、赤と白の完全なるツートンカラーで間違いなく国の代表になれた。はずなのに…。

 

今いる2羽は親子関係で、父親の1985年生れの「鶴夫」と、1998年当園で生れた息子の「鶴正」。性格は「鶴夫」の方がおっとり型で、「鶴正」は神経質。と言っても、性格と見た目では判断がつかないので、見分けるポイントは足を見て足環(あしかん)がついているのが「鶴夫」です。

 こども あしかん             

   若かりし頃の「鶴正」          足環

 

「前担当者の初恋の名前なのだろうか?」そんな勝手な瞑想に思いを馳せつつ、名もなき2羽に授けた愛称「鶴正」「鶴夫」。見たら一度は呼んでみたい、実に味わいのある響きに、決して単調な名前ではない。と思うのは自分だけでしょうか?

 

(頂きがツルっとしている飼育員 おおうち)

 

 

2017年12月15日

飛び出せ動物園!ボルネオ編part3

2017年12月6日

カニクイザルとテングザル

 

キナバタンガン川のリバークルーズで最も多く見たのはこの動物

カニクイザル

カニクイザルです。

彼らはこの後に控えているジャングルトレッキングにおいても道中の車内からも、とにかくボルネオ滞在中で最も出会うことができました。

カニクイザル2

どことなくニホンザルにも似てますよね。それもそのはず、彼らはニホンザルの仲間です。

雑食性で木の実などを食べています。この旅で見ることはできなかったのですが、その名の通りカニを捕まえて食べることもあるそうです。

毛づくろいするカニクイザル 群れ
    <あーそこそこ・・・>          <全員赤ちゃんを抱いてます>

群れで木に登り木の実を食べたり互いに毛づくろいしあってる様子などを見ることができました。
赤ちゃんの面倒を仲間で見る場面も。
川の周辺にはイチジクをはじめとする多くの実のなる木が生えています。
彼らはこれを求めて集まっているようです。
ニホンザルに似ている事もありなんとなく親近感を覚えるサルです。

テングザル

そしてもう1種この旅で絶対に見たかったサルがいました。

テングザル
     <テングザルだ!!>

それは意外とあっさり私の目の前に現れました。
長い鼻に、パンパンの太鼓腹。
会いたかったぜ野生のテングザル!!彼らは世界でもボルネオ島にしか生息していません。

テングザル

国内ではよこはま動物園ズーラシアのみで見られます。
以前ズーラシアでテングザル用に全く熟れていない硬~い「青バナナ」というものを与えているのを見たことがありました。
彼らの主食は木の葉です。葉っぱには多くの繊維が含まれていますが、お腹の中にはそれを消化するためたくさんの微生物が住んでいます。微生物に正常に働いてもらうためには、糖分の多い熟した果実より青バナナのような繊維が豊富に含まれている食物が良いのです。木の葉も季節ごとに購入したり、飼育担当者が自ら取ってきていました。

葉っぱを食べるテングザル

葉っぱ、むしゃむしゃ食べてました。そしてお腹がパンパン!
彼らの胃腸は体内の4分の1ほどを占めるともいわれています。
2011年には牛がやるような「反芻」行動も見られることが分かりました。Matsuda,I,et al.:(2011)
口に入れたものを胃の中に入れた後もう一度戻して嚙みなおす、というあれです。
意外とあっさりボルネオで見られるサルの割に、じつはあまり研究されておらず分からないことも多々あります。見た目も生態も本当に興味が尽きない。

 メスと子供
<メスと子供※クリックすると大きくなります>

口を覆い隠すほど鼻がりっぱになるのは大人の雄だけです。雌と子供はすこし鼻が高い程度。なぜこのような鼻なのか。
雄のみ大きいのは鼻が声を反響させるのに役立っていてこれにより大きな声を響かせることができるともいわれています。

もー全てがミステリアスでファンタスティックな生き物が目の前で飛んだり登ったり叫んだりしているわけですから大興奮でした。

飛ぶテングザル

自由自在に木から木へ飛び移るテングザルを見て興奮すると同時にふっとよぎったのは動物園の動物たちの事。
大自然の中でイキイキと動く姿を見て、これはかなわないな、と。
こんなに美しいの私は見せることができていない。

そんな想いも悶々と湧きつつスカウの夜は過ぎてゆくのでした。

 おまけ

ドリアン挑戦
人生初のドリアンに挑戦。
味は・・・ガソリンの匂いがするカスタードクリーム、という感じ。←私の印象ですよ!

「現地でも好きな人は好きだけど嫌いな人もいるよ。俺はあんまり好きじゃない。」と現地ガイドの方はおっしゃっていました。
個人的にはお土産で頂いたドリアンキャンディーよりはいける。でも、もういいや(笑)
東南アジアに行く際、ぜひ一度は。 

参考文献

ボルネオ島アニマル・ウォッチングガイド 安田繁樹著
ナショナルジオグラフィック 「研究室に行ってみた」川端裕人

Matsuda,I,et al.:(2011).Regurgitation and remastication in the foregut-fermenting proboscis monkey(Nasalis larvatus).Biol Lett, 7(5),786-789.

(飼育員 いのうえ)

2017年12月6日