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staff blogスタッフブログ (スタッフブログ)

ちびっこギャング成長記

2017年6月26日

 

シマウマ・キリンの運動場を駆けまわるホロホロチョウたち。

昨年、6年ぶりにかみね動物園で繁殖したことをおぼえておられるでしょうか?

今回は、そのホロホロチョウの成長記録をお伝えしたいと思います。(後日、近況報告しますと言って早1年が経ってました...)

昨年の5月から6月にかけて生まれたホロホロチョウたち。 

生まれたばかりは、ホロホロチョウ独特の水玉模様ではなく、ウリ坊柄でした。

鳴き声もケコケコではなく、ピヨピヨ。あのカブトのような頭部の突起もまだありません。

               ホロホロチョウヒナ

          (まだ全然ホロホロチョウの特徴は見当たりませんね)

一週間もたつと、体も少し大きくなり動きも速い。                         速すぎて、写真はだいたいブレてます。うーむ、速い。       

                ホロホロチョウヒナ

            (躍動感あふれるホロホロチョウのヒナたち)

その後、 成長の過程で体が弱く無事に育つことが出来なかったヒナもいましたが、16羽のヒナは無事に育ち、順調に成長を続けだいたい2ヶ月半ほどでオトナのホロホロチョウの群れに合流しました。      

ホロホロチョウは縄張り意識が強いと言われており、ちゃんと群れに合流できるかなぁと不安でしたが意外にも何事もなく群れに入ることが出来ました。 

事前にケージ越しにお見合いをしていたことが良かったのか。はたまた、ヒナたちがオトナになりきっていなかったため攻撃されなかったのか・・・。いずれにせよ、ホロホロチョウたちは群れ入りしたのです。                                        

この頃には、羽根が生え変わって、トレードマークの白黒水玉模様になりました。           鳴き声もピヨピヨからケコケコとオトナに似た声になってきました。                 そして、頭部からわずかに突起がぴょこんとでてきました。あの突起はだんだん成長してくるんですね。

 群れに合流後、ホロホロチョウたちはすぐに運動場デビューしました。

初めのうちは、オトナたちについて動いていましたが、好奇心旺盛なヒナたちはだんだんと行動範囲を広げて自由にあっちへ行ったり、こっちへ行ったり。

               群れに合流

   (オトナに合流し、運動場デビュー。オトナに比べるとまだまだ体は小さいですね。)

その行動範囲はとどまることを知らず、2ヶ月ほどするとシマウマ・キリンの運動場を飛び出していくこともしばしば。

けっこうな高さの桜の上で休んでいた時はびっくりしました。

       散歩中          木の上のホロホロチョウ        

        (行動範囲拡大中)             (木の上だってなんのその)

この頃には鳴き声もケーケケケケッとドスのきいた声になりました。

ケーケケケケッと鳴きながら走るホロホロチョウは、さながらちびっこギャングのよう。

     ポニーとホロホロチョウ          砂浴び

     (ポニーだって恐くない?)         (砂浴びしながら休んでいることも)

その後、ギャングたちは元気に過ごし順調そのものだったんですが…、

11月下旬、やつらがやってきました。

そう!鳥インフルエンザです。昨年は鳥インフルエンザが大流行の年だったので、冬から春にかけてホロホロチョウも放し飼いではなく屋内展示に変更しました。

自由に行動できる範囲が狭くなってしまいましたが、そんな環境でもなにか出来ないかなぁと屋内に止まり木を増やしてみたり・新しい落ち葉を入れてみたり・・・。

                 ハクサイ

                 (ハクサイを干したことも)

いろいろと試したりしているうちに・・・、

5月!やっと鳥インフルエンザの猛威も過ぎ去り、運動場に出られることに!

今では、去年と変わらずにケケケケッーーーー!!!と鳴きながら我が物顔で運動場を走っています。

でも、去年と違う所も・・・。

一年たってホロホロチョウのヒナたちはオトナになりました。(もうちびっこギャングではなく、ただのギャングですね。)

体の大きさも立派なホロホロチョウに。卵ももう産むことができます。

                 ホロホロチョウ

                  (オトナになりました)

そんなこんなで立派なホロホロチョウになったヒナたちの成長記はここらで終わりにします。

今日も明日もホロホロチョウは賑やかに運動場で過ごしていますので、これからの成長はぜひ動物園に確かめにきてください!

(今年は年女 西川)

2017年6月26日

酉インフルエンザ~3

2017年6月20日

 さて、いよいよトリインフルエンザのラストの回です。

その1 

http://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/nakamoto/p057538.html

その2

http://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/nakamoto/p058805.html

初回が「トリインフルエンザとは」2回目が「トリインフルエンザと動物園」ときまして、ラストは「トリインフルエンザと私たち」です!

トリインフルエンザも全国的に終息に向かい、当園でも5月9日よりめでたく解除となりました。

 

最後にウイルスの突然変異と鳥の渡りのお話をして結びにしたいと思います。

また、本筋とはちょっと関係ありませんが、せっかく鳥の話をしているので園内の鳥たちを写真で紹介します。

 ウミウ  ペンギン

   <ウミウ:日立市の鳥です>    <フンボルトペンギン:鳥総選挙で人気No.1に>

再三お伝えしているように、トリインフルエンザ(以降トリインフル)は基本的には人に感染する可能性は低いです。この「基本的」というのがポイントで、裏を返せば例外的に感染するとも言えます。例えば、感染した鳥を生で食べたりして、ウイルスを大量に取り込むなどすると感染の可能性があります。

地球上の生物は太古から、進化や変異を遂げて、その時々の環境に適応できた種が生き残り、そうでない種は絶えるという歴史を繰り返してきました。ウイルスも例外ではありません。その過程において突然変異(ウイルスでは「遺伝子再集合」と呼ぶそうな。)があります。これは偶発的に遺伝子に突然変化が起こることで、その変化が生存に不利に働くこともあれば、有利に働くこともあります。

ヨウム    ホンドフクロウ

<ヨウム:インコの仲間でとても賢いです> <ホンドフクロウ:夜にホーホー鳴いています>

トリインフルは人の体内に入っても感染の可能性は低いです。ただ、鳥の体内にいるうちに突然変異が起こって人に感染できるようになることがあります。さらに、人の体内でも突然変異が起こり人から人へ感染できるようになる可能性もあります。人間はこれまでかかった病気に対しては抵抗力がありますが、未知の病原体が体内に侵入してしまうと重大な症状が出てしまうことがあります。また、予防や治療も未知なので被害が拡大してしまいます。一昔前に流行った新型インフルエンザがこれです。

アオバネワライカワセミ 

<アオバネワライカワセミ:鳴き声が笑い声に聞こえます>

また、ウイルスは必ずしも特定の動物にのみ感染するとは限りません。豚はトリインフルにもヒトインフルにも感染するので、豚の体内で突然変異が起こって、鳥にも人にも豚にも感染するスーパーウイルスが誕生する可能性も指摘されています。

まとめると、トリインフルは人に対して絶対に危険がないとはいえません。また、鳥にインフルエンザが蔓延するということは、同時に人とウイルスとの接触する機会が増えて、人に感染するリスクが高まるということが言えます。いろんな偶然が重なって人間社会に広がっていくと大変な被害になる危険性があるので、予防や発生した後の処理が厳重になっているのです。

 インドクジャクとニワトリ

<インドクジャクとニワトリ:羽を広げて男らしさをアピールします>
 

最後に「渡り」のお話しです。

空を飛ぶことができる鳥に国境はありません。鳥の中には繁殖地やエサを求めて長距離を移動する種類がいます。その範囲は日本国内はもちろん、海を越えて国と国とを移動する種もいます。夏と冬で見かける鳥の種類が違うのはこのためです。ちなみに長距離を移動する種を「渡り鳥」、一箇所にとどまる種を「留鳥」といいます。

今冬日本で発生したトリインフルの型と韓国で発生した型が同じであったことから、ウイルスが鳥と一緒に行き来していたといえます。トリインフルについての法律や対策などはその国々によって違います。なので、国内でどんなに鉄壁なガードをしていてもどうしても防ぎきれないものなのです。

タンチョウ チリーフラミンゴ

<タンチョウ:日本を代表する鳥です!>   <チリーフラミンゴ:集団で行動します!>

これまで、3回にわたって長々とお話してきましたが、結局何が言いたかったといいますと「病気を正しく知って、上手に付き合っていこう」ということです。ウイルスは自然界に当たり前に存在するもので、彼らも私たちと同じ地球の一員です。だから、人間に害があるからといってウイルスを全て滅ぼしてしまえば、地球の生物はバランスを失い、もしかすると人間を含めた多くの生物が絶滅してしまうかもしれません。だからといって何もせずに、ウイルスで自分たちが病気になるのも困りものです。獣医学や医学の世界で「One Health (ワンヘルス)」という考えがあります。これはざっくり説明すると「人間と動物生態系がどちらも健康であってこそ、地球が健康だよね」という考えです。

ニジキジ  ニホンキジ

<ニジキジ:虹のように美しい羽根を持つ鳥>   <ニホンキジ:日本の国鳥です!>

ホロホロチョウ  ノスリ

<ホロホロチョウ:放し飼いになっています>   <ノスリ:小動物を食べる猛禽類>

 今回のトリインフルエンザ流行では、園内の鳥の展示場に防鳥ネットを張りました。これは園内の鳥をインフルエンザから守ることで、皆様の健康を守るというまさにワンヘルスの考え方です。今回はまれに見る規模でインフルエンザが拡大したために、防鳥ネットで見づらくなったり、おやつタイムが中止になったりと皆様には色々とご不便をおかけしました。おそらくこの先もこういった事態は当たり前に起こると思います。そのようなときに、「怖いから動物園にいくのは止めよう」とか「おやつがあげられなくてつまらない」「鳥が見づらくて嫌だ」ではなく、「病気の予防だから仕方ないよね」と思っていただけると嬉しいです。一人ひとりのちょっとした心がけや行動で、世界は良くも悪くも変わります。そんなことを考えるきっかけを動物園が作れるといいなと思いつつこのシリーズの幕を閉じようと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

あと2ヶ月前倒しで書いていればタイムリーだったのにと反省している 中本

2017年6月20日

恋は障害があるほど燃え上がる

2017年6月17日

「肉食系」という言葉が流行りだしたのは何年前からでしょうか。狩りをする、肉をがっついて食べるというイメージから狙った異性に対して猛アプローチする方の事をそのようにいう風潮があります。

特に獲物(気になる異性)をなかなか捕らえることができないとなると肉食系男子&女子の方はますます捕らえようと燃え上がる様子。

それは肉食系・・・というか本家肉食動物も同じです。

肉をセット

朝、展示場に出す前にセットするのは牛肉。これを網目付きのコンテナに入れて

蓋をする

鎖付きのブイで蓋をします。このブイ、鎖もあいまってがっつりコンテナにはまっているので外すには力がいります。

さわにプレゼント

これをトラの「さわ」にプレゼント~!
これ何ですか?肉入ってるけど・・・

教えて

どうやってとるの?いのうえさん教えて(←と、言ってるように見える)

ぺろっ

ぺろっ

ていっ

とれあえず、てい!

ていてい ていてい2

てい、てい!

肉ゲット!

やっとゲット~。

なんと、外に出てから全てゲットするまでに40分かかっています。これは飽きっぽい当園のトラの性格を考えると素晴らしき記録です。

「なんですぐに食べさせてあげないの?かわいそう!」と思われるかもしれませんが、これには野生のトラの生活が少し関係しています。

肉ゲット2
   <狩り気分はあるかな?>

野生のトラはごはんをゲットするために何kmも歩いたり、何回も狩りに失敗したりと試練だらけの日々を過ごしています。

一方、動物園の猛獣たちはそんな事はせずとも毎日飼育員がごはんをくれます。
やろうと思えば毎日楽におなか一杯にすることはできるのですが、動物園という限られた環境の中でそれをやってしまうと刺激も少なく単調な毎日になってしまいます。彼らが持っている立派な牙や爪は狩りで獲物を捕らえるためについているものです。

本来ならそれを生かすために生きた動物を与えて「狩り行動」を引き出してやれると良いのですが残念ながらそれを動物園で日々行うことはできません。
そこで似た行動を少しでも引き出せるような工夫を現在考えながら模索中です。

適度な運動にもなりますからね~。

ライオン
  <少し遠巻きに眺める・・・>

ライオンにもやってみました。どうやら肉が網の隙間から見えているのに食べられないというところが、彼らを燃え上がらせるポイントのようです。

とれそでとれない

とれそでとれないー

肉の周りをうろうろ
       <うーん>

周りをウロウロして、あきらめて、またウロウロして、を繰り返します。ライオンは残念ながらこれが繰り返され肉を食べる瞬間をとらえることができませんでしたが、昼間にのぞくと無事に食べることができたようでした。

ブイのその後

コンテナ×ブイは強い衝撃でひっくり返せば肉をとることができます。食べた後もしばらく楽しんでいたようで・・・

結果ブイはこうなりました。牙と爪の痕がすごい・・・。

トラとかご トラとかご2

プラかごに棒を挿したものも反応良好。
毎日やると飽きてしまうので時々やってます。朝一番が多いので運が良ければ見られますよー。

恋は障害があるほど燃え上がるといいますが、お肉に恋するかみねの猛獣たちが夢中になるような疑似狩りライフはまだまだ改良の余地ありです。
 

(飼育員 焼肉行きたいいのうえ)

2017年6月17日

マンドリルの名前が決定しました!

2017年6月11日

マンドリルの赤ちゃんの名前が決定しました!

平成29年5月28日~6月4日の八日間、マンドリルの赤ちゃんの名前投票を行いました。

しんご  投票会場

投票結果は以下の通りです!

(1)フク  (1525票) 

  由来:一月の誕生花である「福寿草(ふくじゅそう)」にちなんで「フク」

(2)ケリー (2139票)

  由来:お父さんの「ケンシロウ」とお母さんの「リエル」から一文字ずつとって「ケリー」

(3)しんご (2229票)

    由来:生まれたときの顔がやなぎさわ●んごにそっくりだったため「しんご」

(合計 5893票)

投票の結果、最も多くの票を集めた「しんご」に決定しました!!

たくさんの投票、ありがとうございました。
 

また、6月11日に赤ちゃんの名前発表会を行いました。

なまえ発表風景(命名「しんご」!)

名前を紹介した後は、しんごが人工哺育となった経緯、両親と同居に至るまでのお話をし、最後に家族でおやつを食べる姿を見て頂きました。

紙芝居(紙芝居でしんごの生まれてから今までを紹介)

食事風景(おやつタイム!仲良く一緒にというよりは我先にと言う感じ…。)

名刺プレゼント(最後にしんごの特製名刺をプレゼント!)

最近のマンドリル親子の様子はと言いますと、ケンシロウとしんごは距離を縮めている一方、リエルとしんごの距離がなかなか縮まらない…という印象です。引き続き同居練習を行い、時間をかけて、関係を築いてくれればと思います。

とは言え、しんごが展示場で過ごす時間は日に日に増えています。動物園に来た際にはマンドリル親子の様子をぜひ見に来てくださいね♪

ケンシロウとしんご  父と息子

(ケンシロウとしんご、リエルとも仲良くなれれといいね!)

【親子が一緒に過ごす姿をみていちいち感動してしまう、飼育員木村加】

2017年6月11日

チンパンジーの森をつくろう

2017年6月7日

チンパンジーの運動場が緑豊かになることを目指して始めた「チンパンジーの森をつくろう」。第9回目となる植樹祭をを5月27日(土)に行いました!

ヨウちゃん チンパンジーの森をつくろう

前日、前々日と雨が降っており心配していたのですが案の定朝から雨…

天気予報によれば10時からは曇り。開催は10時。朝から市内では「運動会やりますよ」の花火オンパレード…

「よし!きっとやむはず!決行しましょう!!」という事で中止せず開催することになりました。

残念ながらキャンセルされる方もいましたが、小雨の中6組15名の方が参加して下さいました!

チンパンジーのお話し

<まずは園長の挨拶と担当者からお話>

お話の中で「チンパンジーが野生で暮らしているのはアフリカ?アマゾン?どっちでしょう?」というクイズを出したのですが、ここで担当者ビックリ!ほぼ全員の方がアマゾンを選択…

正解はアフリカなのですが、「ライオンがシマウマを追いかけている乾いたサバンナ大地」というイメージが強いのか、森があるとは思わなかった様子でした。

タンザニアゴンベ タンザニアのチンパンジー 

<ゴンベ国立公園の森>        <野生のチンパンジー>

上の写真はアフリカのタンザニア、チンパンジー達が暮らすゴンベ国立公園の写真です。こういった場所で暮らしていることをこの機会に知ってもらえたらと思います。

お話の後はいざ作業へ!運動場は草や小さな枝がたくさん生えており、さらに雨ということもありツルツル…それでも子供から大人まで、皆さん一生懸命作業をして下さいました。本当にありがとうございました!

作業風景 作業風景その2 作業風景その3 作業風景

<小雨の中の作業でした>

このイベントでは毎年植樹をしていますがまだ森といえる状態にはなっていません。さて、どうしてでしょうか?

それは…チンパンジー達が食べたり、折ったりしてしまうから。

ゴウちゃん

<今年も早速食べていたゴウちゃん>

そのため植樹したものが大きくなるのにはとても時間がかかり、また育たないこともあります。

それでも「チンパンジーたちが楽しんでくれるなら」と参加者の方々は植樹をしてくれるので、とても嬉しく有り難いことだなと感じています。終了後に書いて頂いているアンケートを読むと担当者は感動してちょっと泣きそうになります。

リョウマ君 木を見に来るヨウちゃん

<嬉しそうなチンパンジー達>

ただ折角の機会なので最後に全員で記念植樹をしています。こちらは園路に植えるためチンパンジーたちに利用されることはありません。ただ、いつか大きく育てば木の葉を動物たちにあげることができます!

記念植樹 記念植樹その2

<記念植樹は子供たちに頑張ってもらいました!>

記念写真

<最後に全員でパシャリ☆>

この「チンパンジーの森をつくろう」は長い長い年月が必要なイベントです。もう木はいらないよ!、という日がくるまで続けられたらと思っていますので、興味のある方はぜひ来年ご参加ください!

お待ちしております♪

(パソコンが2回もフリーズしその度に最初から書き直し悲しくなったチンパンジー担当 大栗)

2017年6月7日

ありがとうございました。

2017年6月5日

 以前からお伝えしている通り、5月12日カバの「バシャン」が亡くなりました。54歳でした。

3月12日誕生日会 皮膚炎治療
 <誕生日ケーキを食べたいけど上がれず>      <皮膚炎の治療中>

バシャンは今年の2月から元々悪くしていた関節炎がさらに痛むようで歩くのもゆっくり。プールの昇り降りもやっとのことでした。皮膚もひび割れがひどく薬を塗る毎日。

昨年も同様の症状が出ていましたが5月ごろから回復して初夏には外に出ていたので今年も回復するだろうと思っていたのですが、なかなか良くなりませんでした。

 おからを食べる
<亡くなる2日前。なんとかおからを食べてくれました>

それでも食欲はあったので安心していたのですが、5月7日よりエサをあまり食べなくなりました。

以前より食べづらそうにしてる様子は見られたので草を切ったり、固形飼料を水でふやかしたりして与えてましたが亡くなる前はあまり嚙まなくてすむおからだけを食べていました。

全く口を開けて食べてくれなくなったバシャンに抗生物質を与えようと様子を見に行くと、それまで息継ぎをするためだけに水面から顔を出していたバシャンがなぜかその時だけ階段に足をかけてぐっと顔を出してくれました。注射器に入っている薬を注入したかったのですが、そのまましばらくするとまた水に潜ってしまい、それが私がみた最後の姿です。

なかよくあーん
<2頭でおやつをおねだり。左がバシャン>

2012年に動物園の飼育員になって初めてバシャンに会ったとき、よく食べて穏やかな性格だなあと思いました。自分の子供が小さなときは飼育員に向かってくるような荒々しい一面もあったようですが、20年に渡る末娘との2頭暮らしの間に年を取りすっかり丸くなったようです。

葉っぱのおやつをおねだりするバシャン

葉っぱのおやつが好き

おからケーキ

誕生日の特別なおからケーキは大好き。

落ち葉サルベージ

プール底の落葉をすくって食べる落葉サルベージも見せてくれました。

もたれて眠る

冬季、陸でひなたぼっこするときはチャポンにもたれかかって眠っていました。

トレーニング

冬は外に出ず一頭で過ごす時間が増えたので、棒の先にタッチしたらおやつをもらうというゲームを一緒にやりました。暇つぶしになったでしょうか。

バシャン
   <2016年10月のプールで>

54年の生涯の中で私が彼女に関わったのはたった5年ですが、飼育員として彼女の飼育に携われたことに感謝の気持ちしかありません。

もしも話すことができるなら「かみねでの暮らしは幸せでしたか?」と聞いてみたいです。・・・いや、文句ばかり出るかな(苦笑)

献花 献花ケーキ
  <献花台にはたくさんの贈り物>    <おからに生前好きだった葉を挿しました>

お別れ会には多くの方が献花に来てくれました。
自分が小さいときからいたカバはバシャンだったんですね、と言ってくださる大人の方が多くいらっしゃって世代を超えて皆さんに愛して頂いたのだと実感しました。

バシャンは亡くなった後、獣医さんに解剖してもらって現在病理検査中です。(詳細分かり次第お知らせします)

カバは寿命が45~50年と言われていて長生きする動物です。全国に約50頭ほどいるカバたちも高齢化がすすみ、晩年のバシャンと同じような症状の個体もいるかもしれません。

私が今まで見てきたことや経験したことは今後のカバ飼育、ひいては多くの動物園動物たちの飼育に役立てられることです。いつまでも寂しがってる場合ではないようです。

チャポンがもぐもぐ 
<献葉(?)ケーキはチャポンがもぐもぐ>
現在かみねのカバはチャポン一頭です。また新たな個体がやってくるのかとよく聞かれますが今のところ予定は全く立っていません。

カバ担当の飼育員として私が最も考えなければならないことはいかにチャポンを幸せにしてあげられるか。それを考えて行動していこうと思います。

 

全国のカバたちの命をつないでくれたバシャン、本当にお疲れさまでした。

ゆっくり休んでください。ありがとう。

 

(飼育員 カバ担当いのうえ)

2017年6月5日