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staff blogスタッフブログ (スタッフブログ)

酉インフルエンザその2

2017年4月19日

ピンチはチャンス!ちょっと間が空いてしまいましたがトリインフルエンザに負けない情報発信をしていきますよ!

さて、前回に引き続き今回はトリインフルエンザと動物園についてのお話です!

前回のはこちら↓

http://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/nakamoto/p057538.html
 

さて、昨年、秋田と名古屋の動物園で高病原性トリインフルエンザが出て一時閉園となったことをご存知でしょうか。

閉園になって大変だ、といった報道はよく目にしますが、何が脅威なのか、どうしてそういう処置が必要なのかについてはあまり知られていないように思います。たしかに動物園にとってトリインフルエンザは脅威以外の何者でもありません。では一体何が脅威なんでしょうか。

うみう 

      <市の鳥ウミウ>

まず、トリインフルエンザは前回もお話したように、基本的に人には感染しません

つまり人に対する脅威はあまりないのです。ただし、人がトリインフルエンザに絶対感染しないというわけではありません。

でも、そのほとんどが「感染した鳥を食べた人」「感染した鳥を処分した人」など感染した鳥への超濃厚接触者で稀なケースです。つまり、動物園に来ているだけでは簡単には感染しませんし、前回書いたように自然界にウイルスは存在しているので野鳥が飛んでいることを考えれば、動物園に行くこと自体は特別危険なわけではありません。この辺が風評被害と言われるところです。トリインフルエンザが怖いから動物園なんて行けないわ、なんてことはナンセンスなわけです。

では、なぜ閉園したり場合によっては元気な鳥まで殺処分までしなければならないのでしょうか。


トリインフルエンザウイルスは人には感染しづらいですが、相手が鳥になると話は別です。鳥への感染力が強く、一度発生してしまうと瞬く間に広がってしまいます。前回も書きましたが、ウイルスは他の生物がいなければ生きていけません。だから世界中の鳥を全滅させるほどの威力はありません。自然界で死に至る高病原性のトリインフルエンザが発生したとしても、散り散りに生活している鳥たちにそこそこ広がって、そこそこ被害が出たところで終息します。ところが、一箇所に鳥が集まっていると一気にウイルスが増殖し甚大な被害が出てしまうのです。養鶏場や動物園など人によってたくさんの鳥がたくさん集められているところで発生すると大問題となります。

そのため高病原性の場合、被害拡大を防ぐために法律で殺処分が義務付けられ、発生場所だけでなくその周囲の施設も対象となります。それくらい迅速かつ大掛かりに防がないとどんどん広がってしまうのです。これらの対処法は家禽と呼ばれる鳥が対象となります。(家禽とはニワトリ、アヒル、ダチョウ、シチメンチョウなど人間が家畜化した鳥のこと)

動物園には家禽もいますが、ペンギンやインコ、猛禽類など対象とならない鳥もたくさんいます。もちろん感染すれば処分は免れませんが、実際にどう対応するかは関係機関との協議により臨機応変にということになっています。(まだ当園で発生したことはないので実際にどうなるかは分かりませんが)

ペンギン

       <ペンギン>

殺処分なんてかわいそうという意見もあるとは思いますが、人間が鳥を飼育している以上、社会におけるルールは必要だと思います。(ルールの良し悪しや好き嫌いは個人の価値観なのでなんともいえませんが)もちろん誰だって殺処分なんてしたくはありませんし、好きでインフルエンザになっているわけではありません。
 

そこで、大切なのが「予防」です。

動物園で行っている予防をご紹介します。

トリインフルエンザが園内に入ってくるのには大きく分けて2つのパターンがあります。

1、鳥が運んでくる

インフルエンザウイルスは鳥の腸内で増殖し糞と一緒にでてきます。動物園には様々な野鳥が飛んできますが、その中でもエサを求めて我が物顔で飛び回っているのが、スズメとカラスです。特にスズメは体が小さく、金網などもくぐり抜けて飼育場に入ってきてしまいます。

空から落ちてくるウンチ爆弾を防ぐことは難しいですが、鳥が展示場に入るのは防がなくてはなりません。そこで、皆様には見づらくなってしまいましたが、全部の鳥の展示場にスズメが入れない細かな網を張り、展示場が広く網を張るのが難しいアヒルたちについてはバックヤードに一時的にしまいました。

それでも小さなすき間を見つけては中に侵入してくるので、何度も何度も網の補修を行いました。今回の件で鳥の目の良さに改めて驚かされました。

また、動物園では傷病野鳥の保護を行っていますが、弱っている鳥はウイルスに感染している危険性があるので、現在は受け入れをストップしております。

タンチョウ ペンギン

      <タンチョウ>               <ペンギン>

あひる チョウゲンボウ

  <バックヤードで過ごすアヒル>      <以前に保護されたチョウゲンボウ>

2、人が運んでくる

不特定多数の人が来園する動物園では皆様自身がウイルスの運び屋になっていることもあるのです。そこで入口にマットを敷いて靴の消毒を行っていたり、車両の出入り口には消石灰を敷いてタイヤの消毒を行っています。若干仰々しく感じる消毒も、皆様を守るというよりは、鳥たちを守るために行っているのです。

マット 石灰

     <入口の消毒マット>           <車両の出入り口は石灰>

また、私たち鳥に一番接触する飼育員も運び屋にならないように、事務所の入り口や動物舎に入る際に消毒を行っています。さらに、高病原性トリインフルエンザの発生した近隣県で行われる予定だった、動物園関係者の集まりがいくつか中止や延期になりました。ちょっと神経質に思えるかもしれませんが、関係者はウイルスと接触する可能性をできるだけ少なくして、園に持ち込まないように細心の注意を払っています。

事務所 ゾウ舎

      <事務所の入口>             <ゾウ舎の入口>

他にも、ペンギンやフラミンゴのエサやりや、正月に行う予定だった干支とのふれあいを中止して鳥と皆様との接触がないようにしています。いずれにしても展示が見づらくなったり、エサやりが中止になったり、皆様にはご不便をおかけしています。それでも動物園という開かれた施設である以上、自然界に存在しているトリインフルエンザの侵入を完全に防ぐことは不可能に近いです。

でもできる限りの対策をすることが、鳥を守ることはもちろん、皆様を守るため(この辺の話は次回)でもありますので、ご理解いただければと思います。

そして、3月10日にはれて茨城県がインフルエンザの重点監視区域から外れました。ただし、近隣の県でまだ解除されていないことから、動物園ではすぐに全ての網を撤去するのではなく、様子を見ながら徐々に元に戻していく予定です。皆様にも引き続き消毒のご協力をお願いします!

次回でラストお楽しみに!

4月からたまーに鳥(ペンギン)を担当をすることになった 中本

2017年4月19日

ライオンのネイルサロン

2017年4月13日

ある日、ライオンの展示場に入ったらこんなものを発見しました。

まがたま? つめ
                <これなーんだ?>

おっ、いいもんみっけ。
これ今日のごはんタイムのときお客さんに見せてネタにしよ~(いつも同じネタばっかりだから~)。

と、いうわけでこれをごはんタイムの時に持ちながらお話しました。

井上「これなーんだ?」

少年「勾玉!」

ま、まがたま・・・?その答え予想外だぜ。

勾玉<画像はWikipediaより>

ちなみに本物の勾玉はこちら。大昔の日本人が作っていたアクセサリーの一種です。
動物の骨や翡翠や水晶などの石を削って作っていたそうな。
確かに形は似てない事もないのですが、私が発見したのはライオンについてるアレです。

爪 トラ
      <シャキーン>           <もちろんトラにもあります>

そう、爪なのです。
人間と同じようにライオンの爪は伸び続けます。
そのため太い丸太などで爪とぎをして伸びすぎを防がないとなりません。

「とぐ」と言っても先をとがらせるわけではありません。

つめとぎ
    <オーちゃんの爪とぎ>

爪は鞘のようになっているので、木の皮にひっかけたら古いのがはがれ中から新しいのが出てきます。
かみねの展示場には爪とぎ用に丸太を何本か置いてあり、それぞれ好きなもので爪を研いでいます。

動物園という特殊な環境だと運動不足により爪が伸びすぎてひどいばあいは肉球に刺さってしまうということもあります。
ヒトが爪を切ったりネイルサロンに行ったりするように、ライオンも爪をきちんとお手入れしているんですね。

バルミー きぼう
      <バルミーも>               <きぼうも>

気持ち良さそ~。
個体によって使いやすい丸太があるようです。

朝に外へ出たばかりの時や昼過ぎのメンバー入れ替え時によく見られるので、ぜひ注目してみてください!

(飼育員 深爪ないのうえ)

2017年4月13日