3月12日はカバの「バシャン」の誕生日。例年通りお誕生日会を行いました。
現在国内最高齢で54歳になったバシャンのためにたくさんのお客様が来てくれました。
いつものようにおからで作ったケーキ。今年はカバの顔型にしてみました。
バシャンのケーキは担当者が作って、チャポンのケーキは来園者の皆さんに飾り付けてもらいました。
ニンジンやキャベツを芸術的に配置して。。。
草間彌生も真っ青(?)なアートなケーキが完成しました。
こちらはチャポンにプレゼント!
チャポンは外に出るとケーキに一直線。美味しそうに食べてくれました。20分ほどで完食!
一方、まだ外は寒いので室内でケーキをもらったバシャン。なかなか陸に上がってきません。
実はバシャン、2月に入ってから元々悪くしていた脚の関節が更に痛むようで、開園時間中にプールから上がってくれない日々が続いてます。
途中まで行きつつ、なかなか上がらず。
結局この日は開園時間中陸に上がる事はありませんでした。
ケーキは夜間に食べたようで次の日の朝には無くなっていました。
食べてくれてとりあえずホッ・・・。
ですが、その後もなかなか陸に上がらない日々は続いています。
バシャンの血です。ある日の朝床に落ちていました。
最近、日中は陸に上がらず夜中に上がって餌を食べているバシャン。
後ろ足の関節部があるくとぱきぱき音がするので、獣医さん曰く軟骨がすり減っていて骨と骨が当たっているのではないかということです。
プールから上がる際、足の指や体の側部を擦りむいたのか血が滲んで垂れていました。
階段をのぼる際よろけたり、壁によっかかったりしているのかもしれません。
昨年あかぎれだらけの体にしてしまったことを反省し、寝室内の隙間を埋め、ワセリンを塗る事で予防してきましたがここに来てまた痛い思いをさせてしまっている事を本当に悔しく思います。
今までカバの担当者としてバシャンの事をずっと考えてきましたが、もう一人では解決できないと思い、先日同じ班の飼育員、獣医、飼料担当(動物たちの餌を管理する人)、園長、所長とバシャンを今後どのように飼育していくか話し合いました。
水温をもっと上げたい、階段を無くしてスロープにしたい、脚に効くサプリメントを与えたい、体重を増やさない餌の内容に切り替える、できるだけバシャンとコミュニケーションをとる、担当者だけでなく数人でバシャンを見る体制作りなどなど。。。
彼女を取り巻く環境を作っているのは動物園で働く私たちです。
話し合う中で、ハッとするアイディアや意見も頂きました。
周囲に相談できる人たちがたくさんいるというのは本当に心強い。
数年前に比べると明らかに老いが顕著なバシャンを見て来園者の方はどう思うのだろう、と最近よく考えます。
できるだけ彼女の体に負担無く、穏やかに過ごして欲しいのに。
来園者にもそんなバシャンの姿を見せてあげたいのに。
そうできない自分の力不足を本当に痛感しています。
相変わらず食欲旺盛で生きる気力も十分あるのにそれに見合ったケアができていないことが歯がゆい。
でもどうしようもできないから何もしませんというのは必死に生きようとしているバシャンを
がっかりさせてしまうので周りに頼りまくって考えまくってできることはやっていきます。
現在室内で非常に見づらいのですが、暖かく見守って頂けると嬉しいです。
3月21日現在のバシャン
歯が磨耗してきて、乾草がたべづらそうなので細かく切っています。
新鮮な青草の方が好きなのですが、時期的にまだ手に入らないので園内で美味しそうな草を刈って、
乾草と混ぜ込んで口の中に入れてやっています。
むしゃむしゃとよく食べています。
陸にも上がってきますが、足が痛そうなので鎮痛剤を与えました。
今後はサプリメントなども試してみる予定です。
(飼育員 葛藤中のいのうえ)