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staff blogスタッフブログ (スタッフブログ)

どぜう

2017年1月29日

昨年の夏のある日「アライグマ担当の方にお聞きしたいことがあります」という一本の電話がかかってきました。

なんだろうと思い、話を伺うと「前にfacebookでアライグマがドジョウを捕まえる動画を見ことがあるが、いつ行けば見られますか」ということでした。(その動画がこちら→ https://www.facebook.com/kaminezoo/videos/861425577277785/

実は動物園では定期的にドジョウをエサとしてあげているわけではなく、たまたま手に入った(いただき物や近所で安売りしていたのを発見した)時に与えています。

電話でもその旨を伝えたところ、「じゃあ買っていけば良いですか」と予想外の返答が。

ま、まぁ大丈夫ですけど・・・。とうろたえていると「じゃあインターネットで買って動物園に送ります~」と続けざまに。ありがたいとは思いつつ若干申し訳なさもありつつ複雑な心境でしたが、すぐに「70匹送りました」との電話があり、その数にまたビックリしました!

お話を聞くと、なんと岩手からアライグマを楽しみに来て下さるとのことだったので、担当者としては本当に嬉しい限りでした!

そして数日後、本当に70匹のドジョウが届きました!

せっかくの貴重なドジョウなのでタンチョウとカワウソにもお裾分けして、残った50匹ほどをアライグマにあげました!

カワウソ 

 <タッパーに入れてより取りづらく>          

かわうそ 

カワウソは野生では生きた魚や甲殻類を捕まえて生活をしています。

動物園でも生きた餌を与えられた方が良いのですが、予算的に厳しいのでどうしても冷凍物になってしまいます。また、衛生的にも生魚には寄生虫がいる可能性があるため、冷凍することで寄生虫を退治することが出来ます。

そんなわけで、動物園では手を変え品を変え魚を捕まえる時間を作っています。

かわうそ かわうそ

       <泳ぐ魚>                 <隠れる魚>

それでも、本物の魚を見つけたときの反応はやっぱり別格です。

追いかけるのはもちろん、陸に上げてからもさわったり、かみついたり、色々な反応を見せてくれます。

かわうそ

  <捕らえた獲物は殊更うまし!?>

さて本題のアライグマですが、これだけの数のドジョウをあげるチャンスはめったに無いので、豪快に全部いったれー!ということで、残った50匹をプールの中に入れました!!

あらいぐま

水に飛び込んでドジョウを探す探す!しかし、顔は決して水に入れません。

前肢の感覚がすぐれている彼らは、陸上でも水の中でもその感覚を頼りに餌となる小動物を捕まえます!

視覚より触覚が大切なので、リスクを犯して顔を水につける必要が無いんですね。

秋になるとバッタやトンボなどの昆虫が展示場にたくさん飛んできます。おいしそうなバッタが目の前に飛んできても、知らん顔をしています。それなのに見えないドジョウは夢中になって追いかける。面白いですね~。ちなみに、水の中に前肢を突っ込んで探っている姿が洗っているように見えるので「アライグマ」なんです!

そんなこんなで1時間以上ドジョウと格闘していました。

こちら→https://www.facebook.com/kaminezoo/videos/vb.601081259978886/1259099767510362/?type=3&theater

※HPに動画がのせられないので、フェイスブックにて。

アライグマにとって非常に良い取り組みであったことはもちろんですが、私が嬉しかったのは動物園にドジョウを送ってくれたことです。それもわざわざ岩手から。そこまでしてでもアライグマを見たいと言っていただいた事は担当者冥利に尽きます。エンリッチメント大賞2016の受賞理由に「市民参加によるサポート体制の構築」とありますが、まさに来園者の方が動物園に参加してくれる、応援してくれるという出来事でした。

もちろん全てが実現できるわけではありませんが、「動物のためにこんなことをしてあげたい」「動物園のために協力したい」あるいは「動物園がこうなると良いな」「動物園でこれが見てみたい」など、皆様の気持ちがかみね動物園を支えています!市民と一緒に成長していく動物園でありたいものです。

本当にありがとうございました!!

買い物中にドジョウを見つけるとテンションが上がる 中本

※ブログでのご報告が遅れてしまい申し訳ありません。先日も園路はるばる盛岡から遊びに来ていただきありがとうございました!

2017年1月29日

白か黒か?

2017年1月26日

2017年になりました。
皆様今年もよろしくお願いします。

さて、今年の干支は「酉」。
酉にちなんで1月2、3日にニワトリガイドを行いました。

ニワトリガイド ニワトリの写真
<たくさんのお客さんが来てくれました!>     <緊張の西野飼育員?>
ガイドの様子。
ニワトリなんてありふれた動物のガイド、みんな聞きにきてくれるのかしら・・・と
心配になりましたがたくさんの方にお正月からお越しいただきました!

雑種 ゴイシチャボ
 <雑種のヒサシ(オス)>  <ゴイシチャボのぐりこ>

シロチャボ ウコッケイ
 <シロチャボののりこ>    <ウコッケイのウーコ>
ニワトリと一言で言ってもこーんなに綺麗で可愛らしい種がたくさんいるのです。
本当は皆様の前に連れて行ってガイドしたかったのですが・・・
鳥インフルエンザ予防のため野鳥が侵入できないよう小屋に防鳥ネットを張った状態でのガイドになってしまいました。
※ウイルスの感染が怖いので野鳥やその糞との接触を避けるために網を張りました。

ニワトリくん

アシスタントのニワトリ君と一緒にクイズ大会!
その中で印象的だったのが「ニワトリは何を食べる?」というクイズになかなか正解者が出なかったこと。
主にトウモロコシなどの穀物、昆虫、ミミズなど植物を中心になんでも食べるのですが「お肉!」といった答えも聞かれました。
私たちはニワトリを食べたり卵を食べたりしているのに、意外と彼らのことを知らないんですね。
そんなニワトリの真実をみんなで楽しく学びました。

卵景品
       <ラブリー>

正解者にはお手製ニワトリ型タマゴ標本をプレゼント。
とっても盛り上がったクイズガイド。これをきっかけに身近な鳥「ニワトリ」に興味を持ってもらえたら
嬉しいです。

そうそう、意外と知らないと言えば。。。
シール

先日百円ショップに行った際、お正月らしくこんなシールを買いました。
けれど、このシール何かおかしい。
違和感を感じる。

シールアップ

違和感のもとはこれかぁぁぁ!
タンチョウですね。
何がおかしいのかというと・・・

タンチョウ

いや、シールの絵の通りだよねえ?

タンチョウの尾羽 尾羽(シール)
ちょっと待てよ。
尾羽の色が・・・黒?いや、白です!

タンチョウの風切羽
  <優雅に飛ぶ野生のタンチョウ>
タンチョウの黒い羽根は翼に生えているもの。
風切羽(かぜきりばね)と呼ばれている部分です。
折りたたむと実際の尾羽を覆い隠すので尾が黒いように見えてしまいますね。

この間違い、イラストになっているタンチョウに一番多く見受けられる間違いです。
たしかに勘違いしても仕方ないのですが、このブログをご覧になっている方は
ぜひ実際に動物園に足を運んでタンチョウをじっくり観察してみましょう。
あ、タンチョウは縁起物の鳥なので本物を見たら2017年の運気upも間違いないです。

(飼育員 今年は後厄いのうえ)

2017年1月26日

見た目は子供、頭脳は大人!?

2017年1月14日

今年一発目のブログが昨年の話題というのは気にしないで、12月10日に県北生涯学習センターとの連携企画として、「こども大学」が開催されました!こども大学とは、小学校4~6年生が年間を通して様々な施設に訪れて専門家の話を聞いて学ぶという県北生涯学習センター主催のプログラムです。

ちなみに、どんな施設に行くのかといいますと宇宙航空研究開発機構(JAXA)や日立製作所、茨城大学などそうそうたる面々。こんな中に動物園が入れるチャンスは滅多にないということでお引き受けすることに。

しかも講師陣がまた豪華。大学教授や研究者、主席学芸員などこれまたそうそうたる顔ぶれ。当初は生物系の大学の先生などに来ていただく話もありましたが、豪華講師陣に若干引け目を感じつつも我々も専門家なんだからと職員が話をすることとなりました。


テーマは「生きることは食べること」として、生き物と食べ物についての繋がりについて獣医と飼育員が話をすることに。当園のモットーが「楽しく入って学んで出る」なように、楽しくなければ動物園じゃない!ということで他の施設とは一味違う動物園ならではのプログラムを考えました。

参加者の学生は70人弱、保護者と兄弟を含めると120人以上という大人数。まずは学生に向けて動物園から徒歩10分くらいのところにあるホリゾンかみねの会議室でスライドを使ってお話しをしました。(園内にこれだけの人数で使える屋内スペースがないので。)

園長 獣医

      <園長のお話し>             <獣医のお話し>

高学年といえど4~6年生と学年に幅がありレベル設定が難しかった・・・。とりあえず、園長、飼育員、獣医の3人で動物が何故ものを食べるのか、食べたものはどうなるかなど食べ物と動物の関係について簡単に説明しました。

子供達の反応は・・・、うーん難しすぎたような、簡単すぎたようなやっぱり子供によっても知識がまちまちなので手ごたえはいまいちでした。次回への課題ですね。
参加者

      <たくさんの学生>

さて、小難しいことはさっくり切り上げてここから動物園らしいプログラムへと突入します。

次は園内で実際に動物がエサを食べるところを観察してもらいました。

肉食動物代表のライオン、草食動物代表のキリン、雑食動物代表のヒグマの三種類の動物をグループに分かれて観察してもらいました。また、頭骨や糞も一緒に見たり触ったりしてもらいながら、歯の特徴や食べ方、消化について考えてもらいました。

このあたりからこども達の目が輝きだします!

移動 キリン

     <いざ動物園へ!>             <キリンの観察>

キリン キリン

    <キリンの頭骨の説明>          <キリンのウンチの説明>

ここまでで十分な気もしますが、ここから先がかみね動物園たる所以です!

最後はこれまでに学んだことをフル活用して、目の前に頭骨がどんな動物かを当てるクイズを行いました。

5チームに分かれて骨を見ながら名探偵コ○ンのように推理していきます!

クイズ クイズ

クイズ クイズ

用意したのはカピバラ、シマウマ、ブタ、タヌキ、シカの5種類。

最初に「園内にいる動物」とだけ伝えましたが、はっきりいって大人でも超難問です。

ほね

 <これだけでどの動物かわかりますか?>

何を食べているかくらい分かればいいかなと思っていましたが「これは草をすりつぶす歯だし、顔が大きいからウマの仲間じゃないか」「犬歯があるけど奥歯はすりつぶせそうだから雑食動物じゃないか」「鋭い前歯だからネズミの仲間じゃないか」などこちらが想像していたはるかに上の次元で話し合いが行われ、あれよあれよという間に答えにたどり着いていました。それも、伝わったか不安だった前半の講義や園内で観察したことをうまく利用して考えていました。途中でその動物のエサをヒントとして置いていきましたが、予想が確信に変わった程度でほとんど答えに変化はありませんした。それにしても70種類の動物の中からどんどん答えに近づいていく様子には、飼育員も主催者の学習センターの方も驚きを隠せませんでした!

最後に自分達がたどり着いた答えを理由も含めて発表してもらいました。

発表 発表

発表方法も各グループに任せていましたが、発表したい人が多すぎてじゃんけんで決めているグループや全員でリレー形式で発表するグループなど色々個性が出ていて面白かったです。何より積極性にビックリ!こども達に人前に出て話しをさせると、モジモジしてしまいなかなか上手くいかないものですが、さすが意識高い系の子供は違いますね。

教育は動物園にとって大切な役割の一つです。しかし、教育といってもこちらが一方的に教える場所にはしたくありません。日本で教育というと「教える」や「教わる」といったイメージが強いですが、動物園では「気づく」や「考える」が大切だと思います。必ずしも答えにたどり着かなくて良いし、動物のことは答えが無いことも多々あります。だから動物園に先生はいません。敢えて誰が先生かと言われればそれは動物達です!

こども

人間以外の生き物を見て「なぜ」「どうして」と疑問に思ったり「へぇー」「なるほど」と発見があったり、欲を言えばそこから野生での暮らしや人間とのかかわりなどに想いを馳せる場所なのだと思います。今回名探偵のようなこども達を見て動物園の可能性を更に感じることができました。また、この中の何人かでも動物に興味を持ってその道に進んでくれたらこんなに嬉しいことはないです。

今後も動物園では日ごろの展示はもちろん、様々なイベントやプログラムを通して、皆様が色々な発見や驚きに出会える場所にしていきたいと思います!

ブログの話題が溜まり過ぎて現実から目を逸らしている 中本
 

余談ですが、かみね動物園で行ったワークショップが日本動物園水族館教育研究会で優秀賞を頂きました!ありがとうございました!!

表彰

 

2017年1月14日