昨年の夏のある日「アライグマ担当の方にお聞きしたいことがあります」という一本の電話がかかってきました。
なんだろうと思い、話を伺うと「前にfacebookでアライグマがドジョウを捕まえる動画を見ことがあるが、いつ行けば見られますか」ということでした。(その動画がこちら→ https://www.facebook.com/kaminezoo/videos/861425577277785/ )
実は動物園では定期的にドジョウをエサとしてあげているわけではなく、たまたま手に入った(いただき物や近所で安売りしていたのを発見した)時に与えています。
電話でもその旨を伝えたところ、「じゃあ買っていけば良いですか」と予想外の返答が。
ま、まぁ大丈夫ですけど・・・。とうろたえていると「じゃあインターネットで買って動物園に送ります~」と続けざまに。ありがたいとは思いつつ若干申し訳なさもありつつ複雑な心境でしたが、すぐに「70匹送りました」との電話があり、その数にまたビックリしました!
お話を聞くと、なんと岩手からアライグマを楽しみに来て下さるとのことだったので、担当者としては本当に嬉しい限りでした!
そして数日後、本当に70匹のドジョウが届きました!
せっかくの貴重なドジョウなのでタンチョウとカワウソにもお裾分けして、残った50匹ほどをアライグマにあげました!
<タッパーに入れてより取りづらく>
カワウソは野生では生きた魚や甲殻類を捕まえて生活をしています。
動物園でも生きた餌を与えられた方が良いのですが、予算的に厳しいのでどうしても冷凍物になってしまいます。また、衛生的にも生魚には寄生虫がいる可能性があるため、冷凍することで寄生虫を退治することが出来ます。
そんなわけで、動物園では手を変え品を変え魚を捕まえる時間を作っています。
<泳ぐ魚> <隠れる魚>
それでも、本物の魚を見つけたときの反応はやっぱり別格です。
追いかけるのはもちろん、陸に上げてからもさわったり、かみついたり、色々な反応を見せてくれます。
<捕らえた獲物は殊更うまし!?>
さて本題のアライグマですが、これだけの数のドジョウをあげるチャンスはめったに無いので、豪快に全部いったれー!ということで、残った50匹をプールの中に入れました!!
水に飛び込んでドジョウを探す探す!しかし、顔は決して水に入れません。
前肢の感覚がすぐれている彼らは、陸上でも水の中でもその感覚を頼りに餌となる小動物を捕まえます!
視覚より触覚が大切なので、リスクを犯して顔を水につける必要が無いんですね。
秋になるとバッタやトンボなどの昆虫が展示場にたくさん飛んできます。おいしそうなバッタが目の前に飛んできても、知らん顔をしています。それなのに見えないドジョウは夢中になって追いかける。面白いですね~。ちなみに、水の中に前肢を突っ込んで探っている姿が洗っているように見えるので「アライグマ」なんです!
そんなこんなで1時間以上ドジョウと格闘していました。
こちら→https://www.facebook.com/kaminezoo/videos/vb.601081259978886/1259099767510362/?type=3&theater
※HPに動画がのせられないので、フェイスブックにて。
アライグマにとって非常に良い取り組みであったことはもちろんですが、私が嬉しかったのは動物園にドジョウを送ってくれたことです。それもわざわざ岩手から。そこまでしてでもアライグマを見たいと言っていただいた事は担当者冥利に尽きます。エンリッチメント大賞2016の受賞理由に「市民参加によるサポート体制の構築」とありますが、まさに来園者の方が動物園に参加してくれる、応援してくれるという出来事でした。
もちろん全てが実現できるわけではありませんが、「動物のためにこんなことをしてあげたい」「動物園のために協力したい」あるいは「動物園がこうなると良いな」「動物園でこれが見てみたい」など、皆様の気持ちがかみね動物園を支えています!市民と一緒に成長していく動物園でありたいものです。
本当にありがとうございました!!
買い物中にドジョウを見つけるとテンションが上がる 中本
※ブログでのご報告が遅れてしまい申し訳ありません。先日も園路はるばる盛岡から遊びに来ていただきありがとうございました!