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コツメカワウソのイキイキ計画 その11

2016年6月30日

数年前から「イキイキ計画」と題してコツメカワウソの展示場やエサを改良した様子をご紹介していました。狭くて古い展示場ですが、工夫を凝らすことで、カワウソも、見ている皆様も、仕掛け人の飼育員も、イキイキできる、そんな試みです。

 以前に行なったものはこちら↓

その9

http://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/nakamoto/blog201603.html

※他のブログと一緒になっているので、下にスクロールすると見ることが出来ます
 

今回の試みは名づけて「イキイキタッパー」です!

狙いは、前回と同様に採食時間(エサを食べる時間)を伸ばすことです!動物にとって食事の時間は一番楽しい時間です。その時間が長ければ、退屈な時間が減ります。また、人間もそうですが、ゆっくり食べることで、体に負担がかからず消化吸収できるという面もあります。
 

<作り方>

まずは透明の大きなタッパーを用意します。

余談ですが、タッパーってなんだろうと調べたら、タッパーウェア・ブランズ・コーポレーションというアメリカの企業が作っているプラスチック製の密閉容器のこと、だそうです。なので厳密には用意した容器はタッパーではありませんが、細かいことは良しとしましょう!

次に前肢が入る小さな穴をあけます。

以上で完成です。楽チン楽チン!

前回と同じく温めるのをサボったら割れてしまったので、歪な形の穴になりましたがその辺はご愛嬌!

タッパー タッパー

       <タッパー>               <穴の形は・・・>

中に魚を入れていざ出陣!

タッパー タッパー

数日間は次の日まで残っていることもありましたが、次第に慣れてくると盛んにチャレンジするようになりました。

タッパー タッパー

イキイキ筒と構造は似ていますが、透明で奥行きがあるところが違います。

見えるけどなかなか取れないもどかしさが今回の狙いです。

筒

  <その2で作成「イキイキ筒」>

イキイキ筒だと10分くらいで食べるところを、2時間くらいかけて食べていました!

すぐ飽きてしまうカワウソが、ここまで執着したことに驚きです!

また、入れ物が透けていることで、コツメカワウソの器用さがより観察できるようにもなりました!

今回も大成功!
 

さて、イキイキ計画と題してこれまでコツコツと行ってきましたが、このあたりで終了に・・・なんてしません!

ですが、少しやり方を変えようと思います。

題して「みんなで作る!コツメカワウソのイキイキ計画」

これまでは私が考えたものを設置していましたが、その12からはみなさまに考えていただきたいと思います!

ただし、何でもかんでも実行できるということにはならないことはご了承ください。

計画

では、ルール説明です!
 

1、コツメカワウソについてよ~く調べて下さい

→その動物を知らなければイキイキさせることはできません。どこに生息していて、何を食べて、どんな生活をしているのかなどを調べることが大切です!

2、カワウソにとって危険はないか

→動物に危険があってはいけません。かじる、たべるも考慮してください。

3、安価で簡単に作れるか

→基本は手作りです。壊されることを前提に簡単に作れて、更新しやすいものが好ましいです。

4、カワウソについて間違ったメッセージを発信しないか

→寒そうだからカワイイ服を着せてあげよう、なんてのは論外!彼らをキャラクターにしてしまうのはNGです。


以上の4つのルールをもとに色々と考えてみて下さい。

採用された方には素敵な記念品を差し上げます!

なお、イキイキ計画採用のお知らせは記念品の発送をもって変えさせていただきます。
応募方法は、下記のwordファイルをダウンロードして、住所氏名年齢電話番号を明記の上、メール又は郵送で送って下さい。手渡しでももちろんOKです!

なお、今回の締め切りはとりあえず7月末とさせていただきます。

「コツメカワウソのイキイキ計画」計画書(ワード形式:186KB)

※用紙を横向きで作成していますので、縦向きでずれて表記される場合は用紙の設定を行ってください。
 

日立市かみね動物園 イキイキ計画係

住所:〒317-0055 茨城県日立市宮田町 5丁目2-22

mail:kaminezoo@city.hitachi.lg.jp
 

飼育員にとって動物のために何ができるか考えることはとても楽しい仕事です。彼らは仕掛けに対して様々な反応を見せてくれます。イキイキとした姿を見せてくれた時の喜びは一入です。

「動物園の動物は幸せですか」という質問を受けることがありますが、その答えは正直わかりません。

幸せかどうかは本人のみぞ知ることで、わたしたち人間はそれを幸せそうだとかそうじゃないとか想像することしかできません。その価値観も人それぞれです。

でも、人間の都合で動物を飼育している以上、少しでも幸せに生活できるように考え、努力する責任があると思います。だからこそ、この答えのない問いをイキイキ計画を通して、みなさんと一緒に考えていければと思っています。

しあわせ

たくさんのご応募お待ちしております!!

イキイキ計画は今後も続く・・・。

たまにカワウソ担当 中本

2016年6月30日

マンドリルのリエル、初めての出産

2016年6月9日

マンドリルのリエル(♀)が5月30日に赤ちゃん1頭を出産しました。しかし、翌日の31日に赤ちゃんは死亡しました。とても残念な結果となってしまいましたが、この場をお借りして出産前後の両親、赤ちゃんの様子を皆さまにお伝えしたいと思います。

 

<リエルの来園>                                                                             

かみね動物園には現在二頭のマンドリル、ケンシロウ(オス、10歳)とリエル(メス、5歳)が生活しています。

ケンシロウ (ケンシロウ、♂)

リエル(リエル、♀)

母親のリエルがかみね動物園にやってきたのは2014年、福岡県の大牟田市動物園からはるばるケンシロウのお嫁さんとしてやってきました。

当時の年齢はリエル3歳、ケンシロウ8歳。マンドリルの性成熟はメスが4歳、オスが5歳でまだ若い二頭でしたので、繁殖する日を楽しみにしながらもゆっくりとその関係を見守っていました。しかし、こちらの心配をよそに二頭はすぐ仲良くなり、リエルが性成熟を迎える頃になると交尾をする姿もみられるようになりました。そして昨年末、待望していた新しい命がリエルのお腹に宿りました。

 

<リエル、出産>

リエルのお腹は日増しに大きくなり、出産前は誰がみても赤ちゃんがお腹にいることがわかるぐらいパンパンに。産まれる日を今か今かと待ちわびていたところ、5月30日の朝、ついに赤ちゃんが誕生しました。リエルにとって初めての出産ではありましたが、赤ちゃんはしっかりとした状態で産まれてきてくれていました。しかし、発見した時にリエルは赤ちゃんを抱いていませんでした。出産後の二頭は比較的落ちついており、赤ちゃんを気にしながらも遠くから様子をうかがっていました。赤ちゃんはというと元気に鳴き声をあげジタバタと動く様子もみられました。

 妊娠中(妊娠中のリエル)
 

<同居への試み>

赤ちゃんに外傷がみられなかったことと、両親が赤ちゃんに対して攻撃的な態度を示さなかったことにひとまず安堵し、早速赤ちゃんをリエルに抱いてもらうよう試みることにしました。

赤ちゃんを安全な場所に移動させた後、リエルと一緒にしました。リエルは一度実の母親が出産と子育てをする姿をみた経験があったためきっと赤ちゃんを抱いてくれると信じて様子を観察していました。しかし、リエルはなかなか赤ちゃんに近づかず、やっと近づいたかと思いきやしっかりと抱っこができないまま赤ちゃんを持ち激しく動き回るような状態でした。そして、すぐ赤ちゃんをおいてその場から離れてしまいました。赤ちゃんの元気が消失し始めこれ以上の同居は命に関わる危険性があったため、赤ちゃんの命を優先し親元から取り上げ体力の回復をはかることにしました。その後、保温と哺乳を続け状態が安定した頃を見計らい再度同居にチャレンジしましたが二度目も失敗。赤ちゃんの身体への負担を考え同居の試みは翌日に様子を観ながら行うこととしし、そのかわり両親に赤ちゃんの存在を忘れないでいてもらうため、お見合いというかたちで親子で顔を合わせることができるような時間をもうけました。

お見合いの様子(赤ちゃん、お見合いの時の様子)

親子のお見合いを終えたあとも赤ちゃんの状態が心配であったため、夜間も引き続き状態の確認を行いました。ミルクをあげると飲んではくれていましたが、時間が経つにつれ、身体が痙攣したり、目の動きに異常がみられたりするなどの症状が目立つようになりました。その後、急激に状態が悪化し5月31日2時45分に赤ちゃんの死亡を確認しました。

解剖の結果、死因は脳挫傷であると判明し、出産時もしく同居を試みた際に頭を打ち付けたことが原因となったと考えられます。

幸い母親であるリエルは出産後身体に異常もみられず、今まで通りケンシロウと穏やかに過ごしています。

 

<さいごに>

今回リエルが出産に至るまでに、様々な方が母体や産まれてくる赤ちゃんの状態を気にかけてくださり、中には激励の言葉をかけてくださる方もいらっしゃいました。赤ちゃん誕生の喜ばしい報告を心待ちにしていた方も多い中このような残念な報告となってしまい、とてもやりきれない気持ちでいっぱいです。

 マンドリル赤ちゃんの顔

今回の妊娠、出産はリエル、ケンシロウまた担当者にとっても初めての経験でありましたが、それにもかかわらずリエルはとても立派な子供を産んでくれました。結果的にこちらの力不足で赤ちゃんを救ってあげることができませんでしたが、次の繁殖にむけての課題・改善点を認識する重要な機会となりました。

二頭はまだ若いペアであるため、今後の繁殖が期待されます。次生まれてくる赤ちゃんの命はしっかりと守れるよう、今回の事を教訓に準備を整え、その日を待とうと思います。

今後ともマンドリルたちの健康と活躍を皆さまに温かく見守っていただけたらと思います。 

 

<今回の出産状況>

最終交尾:平成27年12月6日

出生日:平成28年5月30日

妊娠期間:176日(一般的な妊娠期間:約170日)

赤ちゃんの体重:970g
 

<参考情報>

マンドリル(霊長目オナガザル科、学名:mandrillus sphinx、英名:Mandrill)

アフリカ中央部にあるカメルーンやガボン、コンゴなどの熱帯雨林に生息し、果実や種子、きのこ、昆虫、小動物などを食べます。群れで暮らし、頭数が400頭を超えることも。寿命は飼育下で20~25年程度といわれています。

ワシントン条約では附属書Iとされており、IUCN(国際自然保護連合)レッドリストではVU(絶滅危惧II類)に指定され、絶滅が心配されています。

2015年の段階で国内の動物園では24園館、雄35頭、雌35頭の計70頭が飼育されていますが、個体の高齢化が問題となっています。

2016年6月9日

チンパンジーの森をつくろう

2016年6月5日

かみね動物園の5月末。毎年恒例のイベントといえば……そう!「チンパンジーの森をつくろう」!!

チンパンジーの森づくり

今年で第8回をむかえた植樹祭です。このイベントでは参加者の方に木を持ち寄って頂き、一緒にチンパンジーの運動場に植樹をしています。

チンパンジーたちの生息地はアフリカの森。緑が豊かな場所で暮らし、葉っぱを食べたり、枝で遊んだり、寝るときにベッドを作ったりと生活するのに木はとても大切な役割を果たしています。

ゴンベのチンパンジー チンパンジーのベッド

(木の上で休むチンパンジー、枝と葉っぱで作られたベッド。タンザニアのゴンベにて)

2008年にコンクリートに囲まれた旧運動場から新しくなった「チンパンジーの森」という運動場にお引越し。でも木は少なく明らかに名前負け…

旧チンパンジー運動場 チンパンジーの森初年度

(旧運動場とチンパンジーの森にお引越ししてすぐの頃)

そこで始まったのがこの植樹祭。チンパンジー達が植えた木を折ってしまったり、食べてしまったりするため果てしない道のりですが参加者の方と一緒に地道に森になることを目指しています!

現在のチンパンジーの森

現在のチンパンジーの森

今年は13組37名という多くの方に参加していただきました~。むしむしと暑いなかスコップで穴を掘り、好きな場所へと植樹。

植樹中1 植樹中2

子供達も小さなスコップを使ったり、ジョーロで水をまいてくれたり一生懸命頑張ってくれました!

記念植樹1 記念植樹2

こちらの写真は記念植樹中のもの。大きく育ったらチンパンジーたちにおやつとして葉っぱをあげることができます!おべんとう広場に植樹してありますので良かったらご覧ください!

チンパンジーたちも新しく植えられた木にとっても喜んでいました♪

ヨウちゃん リョウマ君

やっぱり葉っぱは食べられてしまったり、枝を折られてしまったものもありますが抜かれることはなく、1週間たった今でもしっかり残っています!

チンパンジーたちの暮らしを豊かにするため、今後もこのイベントは続けていく予定です。

皆さまの協力あっての森づくり。ぜひ興味のある方は来年参加してみて下さい☆

 集合写真 ゴウちゃん

ありがとうございました!!

(お家で育てる植物をだいたい枯らすチンパンジー担当 大栗)

2016年6月5日

MOTHER‘S LOVE

2016年6月1日

 大分日にちが経ってしまいましたが・・・5月8日は母の日でした。皆さんはお母さんに日ごろの感謝の気持ちを伝えましたか?

私は久しぶりに実家の母に電話して「旦那さんに迷惑をかけないように」と有難いお言葉を頂きました。(迷惑なんてかけてませんよ!)
さてかみね動物園にも偉大なる母がいます。

バリケン

こちらバリケン。クロサイ舎前の大池に住んでいます。
皮膚が露出している赤い顔が特徴です。

ムネの毛が抜けているバリケン 胸の毛が抜けてるバリケンアップ

その中でも胸のあたりの白い羽毛が抜けている彼女。
新しい羽毛が生えてきているのですが分かりますか?
それもそのはず、抜けたので生え替わったのですね。

卵写真 羽毛

ではなぜ抜けたのか。それはこちらを見ると一目瞭然。
巣材として使ったからです。
彼女は卵を産み落とす部分に自分で胸の羽毛を抜きクッション替わりに使っているのです。

卵はニワトリとほぼ同じ大きさです。
残念ながら当園にいるバリケンは6羽すべてがメス。そのため温めてもヒナはかえりません。
アヒルやニワトリなどいわゆる家禽と呼ばれる鳥達は人に飼われるようになってからの歴史が長いので、
ヒナが孵るまで卵を温めるということはほとんどしないそうですが、彼女は放っておくとろくにごはんも食べず温め続けて体に負担もかかるので、卵を見つけたら取り上げてしまいます。
 

巣に座るバリケン

ヒナは孵らないけれど、身を削って(羽毛をむしって?)卵を温める母。
そんな姿を見て改めて「親孝行しよう」という気持ちが湧いた担当者なのでした。

(飼育員 旦那孝行もしますいのうえ) 




 

2016年6月1日