アライグマの展示場に突如現れた謎のボックス!
その正体はアライグマがエサを隠すための箱、その名も「ドキドキボックス」です!
なぜこのようなものを作ったのかというと、第二回どうぶつ総選挙で、アライグマは1位にはなれなかったものの、園長が独断と偏見で選ぶ園長賞をもらうことができました!まあ健闘賞というか頑張ったで賞みたいなものです。さすがにキリンやゾウを押さえてアライグマが1位になるのは難しいですから!
<必勝ガイドが心に響いたか!?> <ちなみに1位はキリンでした>
そして、その特典としていただいたのは、な、なんと園長のポケットマネーで1万円!ふとっぱら~
お祝いにパーっと飲みにいきたいところですが、ぐっと堪えてアライグマのために使わせていただきました。
そこで考えたのが、皆様にアライグマのさらなる魅力を伝えるためのドキドキボックスです!
アライグマの最大の特徴は器用さです。以前から前肢を使って器用に食べる姿を見られるフィーダー(エサ入れ)はありましたが、肝心の前肢の使い方まで見られるものはありませんでした。そこで、アライグマが前肢をどのように使っているのか一目でわかる透明なエサ箱を作ることにしました。
ただ彼らは器用さと同時に破壊力も抜群なので、丈夫さが大切です。
ガラスでできていて、丈夫で、アライグマのサイズに合っていて、1万円以内で・・・ってそんな都合の良い箱は売っていないので、家庭用の強化ガラスでできたテーブルを購入し、そのガラスを使って作ることにしました!
<ガラステーブルの天板> <大工仕事はお手の物>
<裏側には穴がたくさん開いています> <開閉式でエサを入れたり掃除ができます>
<はい、完成!>
早速エサを入れてみると、もう文句なし!!夢中でエサを取る様子を見ることができました!
お化け屋敷の手がいっぱい出てくる仕掛けのように、あちこちの穴からアライグマの前肢が飛び出してきます!
<これぞ手探り> <握る>
<ちなみに裏側はこんな感じです>
見ている皆様から「すごーい」「おもしろーい」との声が聞こえてきて、心の中でガッツポーズでした。
13時30分からのエサやりの時間にエサをセットします。
ただ、ガラスが反射してしまうので、写真を取るには不向きです。
ぜひご自身の目でご覧ください。
たかがアライグマと言ってしまえばそれまでです。珍しくもなんでもない動物をいかに伝えられるかが飼育員の務めだと思っています。
また、アライグマは「手を洗う」「ラスカル」「凶暴」「害獣」など様々なレッテルが貼られ、本来のProcyon lotor (アライグマの学名)として見てもらえていません。
さらに、かわいいかわいいとペットとして大量に輸入したかと思うと、飼えないからといって逃がし、今度は野生で増えてしまったから害獣として駆除するという、本当に人間の身勝手に振り回されている動物でもあります。
そんな、アライグマだからこそ、私たちに人間と野生動物との向き合い方を教えてくれる貴重な存在だと思っています。というか、そうしなければなりません!
かみね動物園のアライグマが日本一だと言ってもらえるように、これからも更なる進化を遂げていきます。
アライグマ推しの飼育員 中本
※おもしろい!
私にとって飲んでしまえばオシッコと化すだけの1万円!このように有効に役立ててもらい感謝です。
職員の皆様、今後も、なけなしのポケットマネーをどうぞご活用ください。(社内報的コメント:生江)