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staff blogスタッフブログ (スタッフブログ)

寒さにマケズ

2014年12月27日

気がつけば12月も後半となり、寒さも一層厳しくなってまいりました。

動物たちにとっても、来園者の皆様にとっても、厳しい季節です。

そんなある日、マーラの展示場をよ~くみると…

霜柱

分かりますでしょうか?拡大してもう一度。

霜柱アップ

なんと、霜柱ができていました。(霜柱:地中の水分が柱状に凍ったもの)

また、それだけでなく…

氷

水場に氷がはっています!見ているだけで寒いですね。

また、最近では雪が少し積もっている日もありました。(写真を撮りそこないました…)

近頃は、ネックウォーマーや手袋、もこもこの上着など…寒さ対策に奮闘する職員が多く見られます。

動物たちも同じように寒さと闘っているわけですが、果たしてどのような対策をねっているのでしょうか?

霜柱のできていたマーラの展示場をのぞいてみると、

マーラ1

御覧のように、日当たり良好なスポットに集まっていました。

どうやらかみね動物園のマーラは”日光浴”をして寒さをしのいでいるようです。


それでは、お隣にいるニホンアナグマはどうでしょう?

団子

こちらも日当たりのよいスポットに集合していました。

お互いの体温で温めあっているのか、よく折り重なっています。

こちらもマーラと同じく”日光浴”が寒さをしのぐ対策の一つのようです…


…が、ニホンアナグマの寒さ対策はこれだけにとどまりません!!

その対策とは何なのか明らかにすべく、夏と冬の姿を比べてみましょう。

アナグマ夏冬アナグマ

(左:夏、右:冬)

…なんだか別人のようにみえますが、皆さんはどこが違うかお気づきになりましたでしょうか??
 

まず写真を見ると、夏はスカスカ、冬は密に”毛”が生えていることがわかります。

ニホンアナグマは冬の寒さを乗り切るために「換毛」を行うため、季節によってこのように姿が変わります。

毛並みが違うだけで、印象がガラっと変わりますね!

 

二つ目の違いは体型です。ニホンアナグマは冬に備えて身体に脂肪を蓄えます。かみね動物園のアナグマたちも脂肪を蓄え、夏に比べるとかなり立派な体型になっています。

 

どうやらニホンアナグマは”日光浴”の他に“毛”と“脂肪”で寒さをしのいでいるようですね。

 

このように、動物園では動物たちの色々な姿や行動を観察することができます。

もともとの生息地環境の違いが行動や姿の違いに関係している場合もありますが、天気や気温、季節、時間帯など…その時の環境の変化から影響を受ける場合もあります。

 

冬は寒く、家の中で過ごすことが多くなりがちな季節ですが、他の季節とは一味違った動物たちに出会えるチャンスでもあります!冬になってからまだ一度も動物園に行っていないという方、冬が終わる前に一度動物園に足を運んでみてはいかがでしょう?

これからも厳しい寒さが続きます。動物園にご来園の際は、くれぐれも風邪など引かないよう防寒対策をしっかりしましょう!!

(マーラ、ニホンアナグマ担当 木村加)

2014年12月27日

頭の中がピンク色その2

2014年12月26日

 その1から長らくあいてしまいました。

すでに大分大きくなったんですけど。

温かい気持ちでお付き合いください。
ひな

皆さんは鳥のヒナが食べるものって何を思い浮かべますか?

テレビでよく観るのは親鳥がヒナに昆虫などを運んでいる姿、あるいは海鳥が口から魚を与える姿でしょうか。

ミルクを与える

フラミンゴはそのどちらでもありません。彼らが与えているのはなんとミルク。

「フラミンゴミルク」と呼ばれる真っ赤な分泌物を口移しでヒナに与えます。

上の写真がミルクを与えている姿。

フラミンゴミルクは栄養たっぷりで赤い色素が含まれています。

このミルク、オスもメスも出すことができるので夫婦で協力してヒナを育てていきます。

ところが人の手で育てる場合フラミンゴミルクを入手することはかなり困難なので・・・

ミルク

こちらを与えます。これはネコ用ミルク。
栄養学的にはこれでも代用が効くとの事。他園館のやり方を参考にして与え始めました。

飼育員が与える  注射器で与える

注射器で徐々に徐々に与えます。

フラミンゴの人工育雛(※人の手で鳥のヒナを育てる事)は動物園の世界では珍しい事ではありませんが、私は初めての事だったので加減が分からず与えすぎて吐き出させてしまうことも・・・。申し訳ありませんでした。

それでも当初1度に2~3ml程度与えていたミルクを生後10日で10mlほど飲ませるようになりました。もちろん体重も毎回量ってヒナの成長具合を見ます。

注射器で与える 

首を伸ばして必死に飲みます。飲み終わった後は体を小刻みに震わせていました。
消化しようと体の奥にミルクを送る行動らしいです。

これを最初の1か月は1日5~6回。だんだん回数を減らしていきます。

記録ノート

記録ノート。

何時にどれくらい飲ませてどんな様子だったのか書いています。

2羽いるので呼ぶときに区別がつくよう「1号」「2号」と名付けました。

次回は1号2号の本格外デビューの話について書きます。

 

(飼育員 いのうえ)

2014年12月26日

クリスマスデートは動物園へ

2014年12月23日

12月20、21日にかみね動物園では少し早いクリスマスイベントを行いました。

両日とも肌寒い日でしたが、遊びに来た子供たちはテンション高め。

これからごちそうにケーキにプレゼントにと楽しいこと目白押しですからね。

全力で妖怪ダンスを踊る彼らにクリスマスを楽しむ初心を忘れるべからずと教わりました。

ニホンザルにプレゼント!

サンタクロースは世界中の良い子にプレゼントを配りますが、動物園では飼育員が動物たちにプレゼントをあげます。

まずはニホンザル。

彼らは本来、山の中に棲んでおり木の上や、土の中、時には川の中にも入り1日中エサを探してまわります。

そんな彼らのために少しでも長くエサを探す楽しみ(苦労?)を与えたくて、お客さんと一緒にエサ入り竹筒を作りました。

エサを詰める エサを詰める

穴のあいた竹筒にエサを入れ、簡単には食べられない工夫をしています。

これに思い思いの絵を描いて、エサを入れて・・・

取り付けました!

いざ取り付け!

群がるニホンザル 群がる

飼育員が離れた途端群がってきました。

しがみついて揺さぶったり、上からひっくり返して振ってみたり。

手が届きそうで届かないごちそうをいかにして食べるか、サルによって工夫が見られてとても興味深かったです。

頑張るニホンザル

世の中そう上手くはいかない・・・。

チンパンジーにクリスマスプレゼント

お次はチンパンジー。彼らもまた野生ではエサを探すのに長時間費やしています。

そこでお客さんと一緒に展示場のいたるところにかかっている靴下にフルーツを詰めたり、隠したりしました。

フルーツを隠す 隠す

意外と起伏がある展示場の中。

ちょっとチンパンジーの気持ちを味わいながら詰めていきます。

チンパンジー出てきました

さあ、彼らの反応やいかに?

靴下捜査 靴下捜査2

こちらも大成功でした♪

靴下を持ち歩きこっそり食べたり、大きな靴下に手を突っ込んでわしづかみにしたり。

いつもとは違うごはんの食べ方を大いに楽しんでいた様子。

ユウとクリスマス

飼育員サンタのプレゼントは喜んでくれたようですね。良かった良かったHO-HO-HO-。

さて、私も人間界のクリスマス本番を楽しむべく今日は帰ってチキンを喰らいます。

(飼育員 いのうえ)

2014年12月23日

ブリーディングローン(BL)

2014年12月21日

先日カピバラのオス2頭が那須どうぶつ王国に引っ越しました!

カピバラ

カピバラが引っ越すたびにみなさまから「なんで他の動物園に行っちゃうの」という声をよく聞きます。

そこで今回は、動物園の裏側のお話しを書いてみたいと思います。

 かば

まず、なんで行くかという話をする前に動物はどうやって来るかという話を先にしておきます。

動物園に動物を新たに入れる場合、主に「譲渡」「寄贈」「購入」「交換」「ブリーディングローン」の5つの方法があります。

譲渡・・・タダで譲り受ける

寄贈・・・寄付を受ける

購入・・・お金を払って買う

交換・・・動物同士を交換する(同じ動物の場合もあれば種類が違うこともあります)

ブリーディングローン(BL)・・・動物を借りる

きりん

<キリンの「シゲル」は日立市公園協会からの寄贈>

かつては動物を入れる場合、動物輸入業者からの購入が多かったそうです。しかし、現在では野生動物の減少によって野生から動物をいれることは非常に困難になっています。例えばゴリラはかつて数百万円で購入できたため、全国各地の動物園で見ることができました。しかし、現在は生息数激減から海外から導入することができなくなりました。そのため、現在ゴリラの価値は八千万から一億円とも言われていますが、どんなにお金を出しても購入することはできません。また、よくちびっこから「動物はどこで捕まえてくるの」という質問を受けますが、園内で野生から捕まえてきた動物はごくわずかです。(全国的にも同じことが言えますが、水族館の魚類に限っては捕獲が多いそうです)

ごりら 

  <当園でもゴリラは購入でした>

サイ

<クロサイの「メトロ」はアメリカのメトロポリタン動物園から購入>

 また、病気を国内に持ち込まないようにということから、数がたくさんいる動物でも日本に入れることが難しくなっています。たとえばネズミの仲間やサルの仲間、牛の仲間などは、たとえ海外の動物園にいる動物でも日本に連れてくることが難しいです。
無理ではないのですが、法律上の問題(日本と輸出国の両国の法律をクリアする必要がある)やいくつもの規制、その間に発生する莫大な費用など現実的には不可能です。例えば検疫施設(動物が病気を持っていないか確認する場所)がない地域から動物を入れる場合、現地に検疫施設を建設しなければなりません。この時点でいくらかかるんだ!

ビーバー

<ビーバーはアメリカにたくさん生息している動物ですが、アメリカから日本へのネズミの仲間の移動は全面禁止されています>
 

動物も年を重ねれば死んでしまいます。なのに動物が新しく入らなければ動物園から動物がいなくなってしまいます。野生もダメ、海外もダメということで、国内にいる動物でそれぞれの「種」を維持していくために始まったのがブリーディングローン(BL)です。ブリーディングローンとは動物園や水族館における繁殖(Breeding ブリーティング)を目的とした動物の貸し借り(Loan ローン)のことです。
 レッサ―パンダ

     <レッサーパンダはBL>

さて、ここでカピバラの話に戻りますが、2012年に当園にいたオスの個体が亡くなってしまったので、新しくオスとメスを入れることになりました。オスの「コタツ」は埼玉こども自然動物園から「譲渡」で、メスの「ハナ」は那須どうぶつ王国から「BL」でやってきました。

カピバラ カピバラ

      <コタツとハナ>             <赤ちゃん誕生>

そのため、コタツの所有権はかみね動物園にありますが、ハナのは借り物なので所有権が那須どうぶつ王国にあります。

では、生まれた子供は誰のもの?というのが今回の話のミソです!

実は生まれた子供の所有権はBL契約を結ぶ際に園館の話し合いで決まります。ハナをお借りする際には、生まれた仔を半分ずつにするという契約になりました。(その他にもサル類など出産数が1頭の動物は、1仔目・2仔目、オス・メスなどで分けることがあります。)

従って、生まれた子供の半分はどうぶつ王国のものですから、毎回どうぶつ王国に引っ越ししているのです

長々と説明しましたが、なんとなくわかっていただけましたでしょうか。 
 

今日本の動物園にいる動物たちは深刻な状況にあります。新規動物が入らないことによって個体の高齢化や血縁が濃くなるなど様々な問題が起きています。このまま何もしなければ動物園の動物は確実に絶滅します。現にゴリラやアフリカゾウなどは今後数十年で日本からいなくなるといわれています。じゃあBLで動かせば良いじゃんという単純な話にはならないのが悩みです。

ゴリラ ゴリラ

<当園最後となったゴリラ「ダイスケ」。このままだと近い将来日本中でその姿が見られなくなってしまいます>

まず、動物を貸し出すということはその動物がいなくなるということです。特にゾウやゴリラなど動物園の看板動物になると尚更です。動物によっては1頭数千万円もするものもいます。民間の動物園なら会社の財産、当園のように市営なら市の財産(税金)です。それを繁殖のためだからといってハイどうぞ!とはいきません。繁殖は大事だし協力したいけれど自分の園からいなくなるのはちょっと・・・というジレンマを抱えています。また、移動自体に費用がかかりますし、移動中や移動先で死んでしまうリスクもあります。無事に動かせても必ず繁殖するとも限りません。そして何より「動物が見られなくなる」という皆さまの負担があります。なんでいなくなるの?というのはまさにそんな思いからだと思います。だからこそ、みなさんの理解や後押しがあってこそブリーディングローンが活発に行われるようになります。


私がこのブログでお伝えしたいのはみなさんにこの問題を知った上で、動物を喜んで送り出してあげて下さい!ということです。かみね動物園でもカピバラを始め、キリン、チンパンジー、レッサーパンダ、コツメカワウソ、マンドリル・・・BL契約の動物が数多くいます。感情的にはかみね動物園で一生を終えてほしいですが、動物園に残るということは繁殖の機会を失うということでもあります。野生でも子離れがあるように、親元を離れて全国で子孫を残す事の方がその個体にとっても良い事ではないでしょうか。

少し寂しい気持ちはありますが、かみね動物園の動物が全国に出ていくのは嬉しいことなんだ!誇らしいことなんだ!と笑顔で送り出してあげて下さい!そして、寂しかったら新天地にも足を運んで会いに行ってあげて下さい!
 クロサイ サイ

<クロサイの子供は当園からBLで九州に行きました>

カピバラの話からだいぶ脱線しましたが、これを読んで何か感じていただけたら幸いです。

動物園のブログでは動物についてはよく情報発信をしますが、動物園についての情報はあまり発信してきませんでした。今後は積極的に「動物園」についても情報を発信していきたいと(勝手に)思っていますのでお楽しみに!!

カピバラ担当 中本 

2014年12月21日