この夏、「修行の旅」にでてまいりました!ので報告します~
「日本野生動物医学会は、今後いかなる生物種をも絶滅させないために・・・野生動物または動物園動物の動物医学に関する学術発展を推進するために設立されました。」
(HPから引用)
こう書くとちょっと難しいですね。
生き物を守るために、健康な地球を守るために、野生動物や動物園動物の獣医学を発展させよう!という学会です。(というイメージのはず!)
今回は、いつもお世話になっている家畜保健衛生所の方と共同で、
「ヨツユビハリネズミ(Atelerix albiventris)における同時性三重複腫瘍の1例」
について、ポスター発表してきました。
なんのこっちゃ~?!ですが、
昨年、当園で飼育していたハリネズミが、3種類の腫瘍を同じ時期に発症して、死んでしまいました。
ので、そのときのことについて、発表してきました。
ハリネズミはよく腫瘍になってしまうのですが、
(ある文献では2歳以上になると8割ほどが腫瘍を発症しているとの報告も・・・)
3種類の腫瘍を同時に併発している症例は、報告がありませんでした。
生前、緩和的な治療しかしてあげられなかっただけに、悔しい症例ではあったのですが、
この発表を通じて、ハリネズミの病気についてたくさん学ぶことができました。
腫瘍についても、さまざまな分野の先生たちと意見交換ができ、診断についても見直すことができました!
お医者さんの世界に医師会があるように、獣医師にも獣医師会があります。
獣医師会は、国や各都道府県ごとにあり(のはず…)、私は茨城県の獣医師会に属しています。
犬や猫を診ている獣医師
牛や豚を診ている獣医師
行政機関で働いている獣医師
など、さまざまな分野の、とにかく“獣医師”が集まる会です。
私が所属している地区の獣医師会では、普段、情報を共有したり、勉強会をしたり、セミナーをしたり…
時にはバーベキューをしたり?!!
獣医師会のつながりのおかげで、近隣の動物病院の先生たちにも、検査や治療について教えていただいています!
そんな会で発表してきたのは…
「ライオンの麻酔管理と卵巣子宮全摘出術の1例」(I先輩)
かみね動物園から2題です!!!!
犬・猫の先進的な知識や技術、めずらしい症例の発表が多くされているなかに混じって、
私たち動物園の、すごーーーく基礎的で、限られた獣医療の症例発表に、
たくさんの先生たちに耳を傾けていただきました。
私のなかで敷居が高かった会だけに、すごーーーく緊張しましたが、
*動物園という分野があること
*まだまだ発展途上だということ
*いろんな動物がいること
をお話させていただけてありがたかったです。
学会のほかにも、
*血液に関する症例検討会
*抗菌薬の使い方の勉強会
*研究施設での診療実習
などなど、この夏はおでかけしまくっていました。
(お休みをたくさん使わせてくれた、先輩たちに感謝です…)
動物園では、
野生下で絶滅の危機にあるような動物
国内での飼育数が少ない動物
生活や食性などまだまだわかっていることが少ない動物
が多くいます。
また、家畜やペットとしてもよく飼われているような動物もいます。
とにかく、私たちは生きている動物を多く飼育しています。
生きものを飼育する限り、その責任として、心も身体も健康に飼育する必要があると、私は考えています。
そのためには・・・?
本当に正しい方法で飼育できているのか
本当に正しい方法で診療できているのか
日ごろから確かめながら、時には変化させながら、動物たちの健康管理を行う必要があります。
いつも同じような仕事をしていると、
残念ながら、ひとつひとつの意味や意義など見失ってしまう場合も多くあります。
一人で向き合っていると、なかなか解決策や疑問の答えが見つけられない場合もあるし、間違った思い込みもあります。
なかには、お?!これは?!といった発見もあります!
(肢を痛めていたサイ。硬くて冷たいコンクリート床にゴムマットを敷いて快適に!)
これらの日常を、“学会”や“研究会”“勉強会”などで発表したり、参加することで、
自分の頭のなかを整理し、日ごろの疑問や発見を多くの人と共有することができるようになります。
さらに、運がよければ、助言してもらえたり、新しい発見・打開策がでてくる場合もあるんです!
私は
人前にでてお話するのは得意じゃないけど・・・
賢い言葉の表現はできないけど・・・
間違っていることもあるけれど・・・
かみね動物園の
他の動物園の
日本に生息する
世界に生息する
動物たちのよりよい健康のためになるのなら!!
そのイキイキが、来園者のみなさまに伝えられたら!!
私は幸せなのです!!!!!
って、でっかく・えらそうなことをいってきましたが・・・
動物を飼育している=命をあずかっている以上、
よりよい健康管理を目指して、最新の情報を収集することは、獣医師・動物園職員として当然のこと。
(正直、そんなにお勉強は得意じゃないし、楽ではないけれど笑)
動物園で飼育している動物たちや野生動物の情報は、まだまだ少ない現状があります。
(ミルクやら治療やら、いろいろ試したけどうまく生かしてあげられなかったクモザルの赤ちゃん…)
これからも、
動物たちから教えてもらえることを最大限活かして、
情報を残していきたい!
情報を集めていきたい!
と思います。
ちなみに「動物園の4つの役割」は
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・レクリエーション
・教育/学びの場
・研究
・種の保存
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動物園って、遊ぶだけ・楽しいだけじゃないんだぜ~~~~
これからも精進せねば~~~~
(本当は寝ることがいちばんの幸せだと思っている 獣医・あきば)