もうすっかり秋も深まり、肌寒い日が続いていますね~
動物園の動物たちも、冬支度をはじめています。
私の担当動物のホンシュウジカも、夏毛から冬毛に衣替え真っ最中です。
背中の水玉模様は夏毛の証。
この水玉、ただのおしゃれってわけじゃないんです。
本来、シカは、森の中に住んでいます。
夏の森は、木の葉が生い茂っていて、太陽の光がまばらに差し込みます。いわゆる“木漏れ日”ですね。
※http://kabegami.mobi/lib/nature/plant/02564_240x320.html 引用
シカの背中の水玉は、この“木漏れ日”の景色にとけこむことができ、敵から見つかりにくくなっているんです。
一方、秋・冬になると、木の葉が落ちて茶色い森になりますね。
※http://www.myoko.org/doc/otomiko/blognplus/index.php?e=214 引用
そうすると、背中の水玉は、森の景色にとけこめず、逆に目立ってしまいます。
だから、背中の水玉をなくして、茶色い毛にすることで、茶色の森の景色にとけこむわけです!
この、周りの景色にとけこむ体色や模様のことを『保護色』とか、『カムフラージュ』といったりします。
さらに、色や模様だけでなく、夏毛は涼しくすごせるように、冬毛は暖かくすごせるように、毛の量や質も変化します。
私達と同じく衣替えをするんですね~
そして、冬毛の写真をご覧の皆様はお気づきでしょう…
そう!年に一度の角切りを、先日、行いました!
(すっきり、丸坊主…)
ニホンジカの角はオスだけにあります。
この角、毎年生え変わり、野生では2月頃に角が落ちます。
動物園のシカも同じで、何もしなくても2月頃に角は抜けます。
では、どうして、わざわざ角切りをするのでしょうか?
シカにとっての角は、強さの象徴です。
食べものやメスを奪い合うとき、オスたちは角を突き合わせて競い合います。
シカの繁殖期は秋なので、この角を突き合わせる行動が非常に多くなるんです。
この角突き、シカ同士でやっていてくれればいいものの、
彼らの生活空間に入る飼育員にも向かってきてしまいます。
でも、私達には角がないですし、戦うすべがありません。シカの角に刺されてしまったら…
ぞっとしますね。
かといって、私達が給餌や掃除を怠ると、動物園のシカたちは元気に暮らせなくなってしまいます。
つまり!!!
お互いの幸せのために、角切りをしているんです。
見た目はなんだか寂しい気がしますが…
そういうわけで、かみね動物園のシカたちは、冬の間、すっきり丸坊主頭で過ごしています。
また春になったら角が生えてくるので、楽しみにしていてください♪
冬支度、真っ最中の動物たちに会いにきてくださいね~
(新シカ舎担当/獣医師・あきば)