先日、HPでもお知らせしましたが、ついに新シカ舎がオープンしました!
長い間、『整備中』の看板があった新シカ舎・・・エピソードは満載です。
新シカ舎が作られたのは、旧シカ舎の老朽化と2種のニホンジカの展示環境を高めるため。
この春からかみね動物園に仲間入りした私は、工事の様子をみられなかったのですが、
これがその様子です。
影も形もないとこから、たくさんの方々のおかげで、素敵な新シカ舎ができました!
このままオープンできたら良かったのですが、
完成してみると、柵の高さや雨除け・ドアの開閉など問題が発覚してしまい・・・
試行錯誤の『新シカ舎整備中』の日々を過ごしていました。
(開きっぱなしにならないようにするドアストッパー)
※ドアが開いたままになっていたら、閉めていただけると幸いです。
(小屋の中に作った乾草・ペレット置き場)
※シカの盗食を防ぐ蓋付きで安心!
(少し高さが足りなかった柵に、脱走防止の網を張るベテラン獣医師)
※一年目の私には、決してマネできません。
このように、職員たちの手作りや再工事などでカバーし、
新シカ舎は、やっとの思いでオープンしたのです!
新シカ舎での生活が始まって間もないのですが、
すでにシカの凄さを感じたことが多々あります。
かなりの斜面に作られた新シカ舎。
私たち人間では、危なっかしくて、正直に言うと掃除も一苦労・・・
これはシカたちも転んでしまうかな~と思っていたら
・・・(゜Д゜;)
となるくらい、自由自在に駆け上がり、駆け下りてきます。
あの細い脚からは想像もつかない脚力を見せつけてくれます。
さらに、彼らの食欲にもびっくり。
緑が生い茂っていた(ただのお手入れ不足です。ごめんなさい。)新シカ舎に引っ越して、
約2週間がたちましたが、
ふと気がつくと、あっという間に茶色です。
(引越し直後) → → → → (12日後)
動物園では乾草とペレット(シカ用ドッグフードみたいな食べ物)を与えていますが、
野生のシカは、地面に生えている草だけでなく、木の葉っぱや樹皮など、あらゆる植物を食べています。
こんな風に、気持ちいくらい、容赦なく食べつくしていきます!
いま、日本では、野生のシカが増えすぎてしまって、シカの消費量に負けてしまっている問題があります。
森が枯れてしまったり、農作物が食べられてしまう“食害”といった問題です。
新シカ舎は、まさに、その縮図!
この話は根が深く、難しい問題なのですが・・・
原因としては、
シカを食べる動物(オオカミなど)がいなくなってしまったこと・減ってしまったこと、
狩猟を行う人が減ったこと・高齢化
など、さまざまなことが重なって、現在に至っています。
シカ肉の商品開発や、農業被害の対策について研究・実施はされていますが、道のりは長く・・・
※ブログが終わらなくなってしまうので、ちょっとこのお話はまた今度にしましょう!
このようにシカが生活する姿や、人間との関わりが見えてくる新シカ舎。乞うご期待。
(に添えるよう、がんばります!)
いまだけ見られるシカの姿としては、茶色のやわらかい角(袋角)から白い固い角に変化するところです!
奥:茶色のやわらかい袋角
手前:白い固い角
白くて固く、立派な角は、強いオスの証。
この角は、これからの繁殖期に活躍するのですが、
動物園では、シカと人が密に接するので、安全のために切り落としてしまいます。
角が見られるのも、もう少し!
角と緑がなくなる前に、新シカ舎に遊びに来てください♪
(もうそのときは目前の予感・・・)
※注意:シカのエサやりは当分お休みします。あたたかく見守ってください。
(獣医/新シカ舎担当 あきば)