前回お伝えした通り、ゴウの母親であるヨウは今までの出産で育児が上手に出来なかったため、今回の出産に先駆け「育児トレーニング」を行っていました。
トレーニングを重ねるうちヨウにも進歩は見られましたが、実際の育児がちゃんと出来るのかについては不安が残りました…
そんな日々のなか、平成23年2月7日12時45分、ついにヨウが出産。
かみね動物園でチンパンジーの繁殖は19年ぶりのことでした。
しかし、喜んだのもつかの間、ヨウは全く赤ちゃんを抱こうとしません…
興味はあるのか、何度も赤ちゃんを見には行きますが「どうして良いのか分からない…」、といった感じでした。
担当者もしばらく様子を見て、何とか抱いてくれないか。と願っていましたが、時間が経てば経つほど赤ちゃんの体力が心配になります。
ヨウが触ることすらしてくれないこの時点では、赤ちゃんを抱いて育児してくれることは期待できないと判断。
赤ちゃんの命を優先し、ヨウからとりあげることにしました…
体が温まった後はミルクを与えました。
ちなみにチンパンジーの母乳は成分的にも人とほぼ一緒であるため、ミルクは人の新生児用を使用しました。
さらに体重測定。1820グラムでした。
バタバタと時間が過ぎるなか、母親のヨウはというと赤ちゃんをとりあげられたことに対して怒ることはなくいつもと同じ様子でした…
こうして無事に産まれてきてくれた赤ちゃん。やはりヨウは抱いてくれませんでしたが、何とか一命をとりとめることが出来ました。
ヨウが育ててくれない、ということは代わりに人が育てることになります。これからどうなるのかこの時点では全く分かりませんでしたが、とにかく赤ちゃんが無事に育ってくれることを願うばかりでした。
(チンパンジー担当 大栗)