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staff blogスタッフブログ (飼育員ブログ)

寒波到来!!

2023年1月28日

最高気温0度、最低気温-6度

1月24日大寒波襲来。
たまーにしか雪が降らない日立市でも久しぶりに積もるくらい降りました。
翌日かなり冷え込み、その気温はなんと最高気温0度、最低気温-6度!!
園路の凍結が凄まじく、その日1日休園となりました。
今回のブログは休園となった動物園の様子を写真に撮りましたので、少しご紹介します。

一面真っ白。凍り付く動物園。

園路1

ゾウ舎横、リスザルの島へつづく坂道です。
坂道×凍結は本当に危ない。
園内移動するにもかなり注意を払います。

リスザルの島

完全に凍り付いたリスザルの池。
この池はリスザルが脱走しないため(リスザルは泳げません)のものでもあるので、掃除のため部屋を開ける前に割らなければなりません。
もちろんあまりにも寒すぎるので、掃除が終わったらリスザルは1日お部屋の中でした。

チンパンジーの森

おべんとう広場

その他にもチンパンジーの森やおべんとう広場など一面雪に覆われていました。

そんな中動物たちは?

動物園で暮らす動物たちは本来日本には生息していない種が多くいます。
そのため暖かい地域に生息する動物たちにとって日本の冬は寒すぎるため、低気温の日は外には出ず、お部屋で過ごすこともあります。
この日も超低気温かつ休園であったため多くの動物たちがお部屋で過ごしていました。

ゾウ

ゾウ

<寝室で過ごすゾウ>

シマウマ

<シャッターを閉めて防寒しているシマウマ舎>

動物たちはとても長い時間をかけて生息地に適した身体へと進化してきました。
日本で飼育されているからといって日本の冬に適応できるというわけではありません。
冬の動物園ではその時の気温や風、日差しの有無など総合的に判断して飼育管理を行っております。
そのため動物種によっては見えにくい、見れないもの出てくると思いますがご理解いただけますと幸いです。

この時期にしか見られないものもある!!

ですが一方寒さに強い動物もいます。
当園で代表的なのは我らが同郷ニホンザル。
ニホンザルは青森県下北半島から鹿児島県屋久島まで生息している日本の固有種です。
ちなみに茨城県には生息しておらず、群れから離れた「ハナレザル」が確認されるのみとなっております。
巷では茨城県はニホンザルにとっても魅力がないのかと言われているとか言われていないとか。

タワー

<雪に覆われニホンザルのひろばにそびえ立つタワー>

ニホンザル

<そんななかカメラ目線をくれるニホンザル・愛称キンシコウ>

ニホンザル

<雪の中を闊歩>

ニホンザル

<こちらではミニさる団子>

皆様はニホンザルが人間をのぞくサルのなかで最も北に生息しているということをご存知でしたでしょうか。
青森県下北半島より北には霊長類は生息しておらず、下北半島のニホンザルは「北限のサル」と呼ばれ世界で最も北に生息しています。
そのため外国の方にとって雪のなかにサルがいるというのは大変珍しく、「snow monkey」と親しまれています。

寒い日に行く場所としてあまり動物園は候補にあがらないかもしれません。
加えて行ったとしても種によってはお部屋に入ってしまっているかもしれません。
ですが寒いからこそ見られるものもありますので、時間ができたときにちょっと動物園に足を延ばしてみてはいかがでしょうか?

レッサーパンダ

<ちなみにレッサーパンダも寒さに強い動物です!>

ニホンザルと異なり、暑さに強く寒さに弱い飼育員・そめや

2023年1月28日

ヤクシカミステリー

2023年1月16日

動物園の端っこの方でひっそりと暮らしているヤクシカ親子。
ホンシュウジカよりも小さいので、「ホンシュウジカの子ども」と間違われることもしばしば。

ですが、立派な大人です!

ヤクシカ

日本に生息しているシカの中では、北に生息している「エゾシカ」が一番大きく、南に生息しているシカほど体が小さい傾向にあります。屋久島に生息しているヤクシカや慶良間諸島の一部に生息しているケラマジカは本州よりも南に生息しているので、本州に生息するホンシュウジカよりも小型なのです。

ヤクシカミステリー

さて、そんなヤクシカたちのお話。
諸々の事情が重なって、ヤクシカのお世話を先輩飼育員の方々にお願いする日が多くなりましたが、ある日、時間に余裕がある日に作業に入ると、水飲みの寸胴に穴が。

水飲みにあいた穴

なんでこんなところに開けたんだろう…と思いつつも、きっと先輩なりの考えがあったのかな、こっちの方が作業しやすいのかな、と思って、あまり深く考えてはいませんでした。


また別の日、作業に入ってもらってる先輩方と話す機会があり、ふと、なんで穴を開けたのか聞いてみたら、「わざわざあけたりしないよ。」とに言われ、「え…じゃあ…」。

現場検証

あいている穴

穴を確認すると、外からあけられたものであるよう。

そこで以前ヤクシカを担当していた先輩が、「除角した角、まだあるなら持ってきて」と。

除角した角を持つ先輩

まるで答えが分かっているかのように、6本の角の中から一本を取り出し早速検証。

「まぁ多分1本角の個体じゃないかな~」と言いながら、すぽっ。

穴に角がぴったり

見事にぴったり収まりました。

犯人(犯鹿)は1本角を持つ、長男坊でした。

なんで穴が開いたのか...

シカの角は、春先に前の年のものが抜け、秋の繁殖期にむけて新しい角が生えてきます。

新しい角といっても始めは「袋角」といって、角に皮膚が覆いかぶさっている状態で伸びてきます。

袋角のヤクシカ

(まだ袋角)

袋の中の角がだんだんと骨化する(硬くなる)と、袋(皮膚)を周りに擦り付けて、皆さんの想像する様な白い硬い角があらわになりますが、その擦り付ける行動の際に水入れに穴が開いたようです。

まだ皮膚がむけている途中

(周りの皮膚がむけてきました。)

今は角を切ってしまっています

こんな硬いものにいとも簡単に穴を開けるのだから、掃除中にお尻やお腹を突かれたら大変です。
また、繁殖期が近くなると小競り合いも頻発するので、シカ同士が傷つかないようにという意味でも、毎年除角を行っています。

除角後

(角切りました。)

角が無い状態でも角突きや頭(角)を擦る行動は見られますが、今は鋭利な部分がないのでしばらくはミステリーは起きなさそうです。

飼育員 ところ

2023年1月16日