平成25年2月24日の夜、ベンガルトラのアキラが亡くなりました。
13歳でした。
飼育員がアキラの異変に気付いたのは平成24年10月頃。
寒くなる冬に向けてエサを増やしたのですが一向に太りません。
それどころか少し痩せてきたような…。
糞によく未消化の肉がそのまま出てきていたので、腸がおかしいのかと思い獣医さんと相談して腸の動きを活性化する薬を与えたり消化しやすいよう肉を小さく切って与えたりしました。
未消化便は無くなり、改善も見られたのですがなかなか調子が上がってきません。
部屋を前より暖めたりしましたが、段々痩せが目立ち毛並みも悪くなってきました。
そして2月に入りアキラの体調はガクンと悪くなりました。
エサをあまり食べなくなり、元気もいま一つ。
それでもたまに寝室を覗くお客さんにむかって吠える姿は見られました。
この頃、アキラは水をよく飲んでいて腎臓が悪いのではないかと思われましたが
抗生物質・消炎剤・栄養剤などを投与して様子を見ることになりました。
トラの様な大型動物は具合が悪くなったらすぐ手術…という事はできません。
どこが悪いか分からないのに、全身麻酔をかけてお腹を開けてみるというのはかなりのリスクを伴うからです。
薬を与えながら周囲の環境を良くして見守る事しかできませんでした。
(点滴を受けるアキラ。水入れに入っているのは薬入りミルク)
全くエサを食べなくなったのが2月中旬頃。
肉を見せると食べたそうにはするものの、口にはしません。
とにかく栄養をつけてもらいたかったので、ミルクを水飲みに入れたりミンチ肉を作って食べやすくしてみたりと試してみましたが駄目でした。
アキラはその日点滴を受けて夕方寝台に上がって休んでいましたが、夜に私が見に行くと床で横になって息を引き取っていました。
翌日解剖・検査を行い死因は腎不全(腎臓が機能しなくなる病気)と判明しました。
少し早いお別れとなってしまったアキラ。
悲しい、悔しい、と様々な気持ちが交錯しました。
なぜ病気になったのかは不明ですが、飼育の力が及ばず申し訳ない限りです。
何も食べられなくなってからも、外に出たそうにしたり鋭い眼光で睨みつけるアキラからはとても強い生命力を感じました。
「野生動物は強い」と先輩飼育員から幾度となく聞いたことがありますが、今回はそれを目の当たりにしました。
(たくさんの献花や温かいメッセージを頂きました。ありがとうございました。)
様々な事を教えてくれたアキラには本当に感謝しています。
これから私は彼の死を無駄にせず、飼育員として残された動物達と動物園の為に頑張ることが彼への花むけになると考えています。
アキラ最期まで頑張ってくれて本当にありがとう。
ゆっくり休んで下さい。
(飼育員 かわそえ)