コツメカワウソの「アンズ」は平成21年6月6日に生まれました。両親と兄妹の5人家族で暮らしていましたが、寿命や病気で他の家族は亡くなってしまいました。群れで生活する動物なので、社会性を維持するためにも今は飼育員が遊び相手です。しかし、一日中相手をすることはできないので、どうしても退屈してしまい昼寝ばかりしています。

現在のアンズ
基本的には肉食動物なのでお腹が満たされていれば体力温存のため寝ていることが多いです。…しかし、運動不足になる上に皆様からも「見えない、いない」ときには「かわいそう」とまで言われてしまい、このままではいかん。何とかしなくては。との思いから「イキイキ計画」と題して様々な試みを始めました。
アンズもイキイキ、見ている皆様もイキイキ、それを見て私たちもイキイキ、そんなイキイキ計画です。
その2 「泳ぐ魚を捕まえろ!~イキイキ棒の開発~」
動物にとってエサの時間はなによりイキイキとする時間です。
野生のカワウソは魚をはじめ、エビやカニなどの甲殻類、カエルなどの両生類、貝類など水辺の生き物を捕まえて食べています。

ザリガニ

カエル
動物園ではアジとワカサギを1日3回与えています。
本来なら生きているものを与えたいのですが、エサ代(生きてる魚はすごーくお値段が高い)と防疫上(生きてる魚には寄生虫などがいる可能性も)の理由から冷凍されたものを解凍して与えています。

上:アジ 下:ワカサギ
これまではバケツに入ったエサをバシャっとあげていましたが、もちろん魚は死んでいるので動きません。

カワウソは捕食動物で「獲物を追いかけたい、捕まえたい」という狩猟本能があります。
そこで考えました。死んだ魚は生き返らないし、…あっ。
泳がせてしまえば良くない!?という発想から「イキイキ棒」が完成しました。

イキイキ棒
材料は七夕で使った竹のみ。
竹の先を割いて魚を挟めるようにしました。

では、実際の反応を写真で見て下さい。

棒に対する抵抗はほとんどなく、魚しか眼中にないといった感じです。

ちょっと焦らして健康チェックと同時に皆様にカワウソの体についてお話します。

いざ水の中へ。

魚をゲット。
夢中で追いかける姿は実にイキイキとしています。大成功。
まれに「意地悪していてかわいそう」と言われますが…、エサがなかなか取れないことがかわいそうなのか、簡単にエサが手に入って退屈してしまうことがかわいそうなのか、運動不足で太ってしまうことがかわいそうなのか、…皆様も一緒に考えてみて下さい。
私たちを含め動物はあらゆる刺激の中で生活しており、ストレスも刺激の一つです。
もちろん過度なストレスは良くありませんが、ストレスが無い事も良くありません。

野生動物は空腹の中、死に物狂いで捕まえたエサを食べているからこそたくましいのだと思います。
人間だって一生懸命働いた後のビールは美味しいですよね!?(ちょっと違うかな)
その3に続く…
たまにカワウソ担当 中本