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令和2年9月6日(日曜日)

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トタイキュウジ、って何?

令和2年9月6日(日曜日)

  前回のブログは、長引く梅雨のグダグダ天気といつまで続くかわからない新型コロナに嫌気がさしたような書き出しで始まりましたが、その後一転、梅雨明け後は一気に夏の陽射しが連日照りつけ、記録的な猛暑が続いたのでした。9月に入っても強烈な暑さが続いていて、夜の寝苦しさからは少しずつ解放されつつあるものの、日本の夏はもはや熱帯ですよね。新型コロナも全国的には第2波の勢いがやや減少傾向にあるようですが、いまだ予断を許さない、ってところでしょうか。

 そんな暑い夏に、熱いイベント(7月29日と8月5日)を行いました。その名も「トタイキュウジ」。多分こう書くと、なんのこっちゃ?と、思う方もいるかも知れませんが、漢字で書くと「屠体給餌」。屠体とは死んだ動物そのもののことで、それをライオンやヒグマたちに餌として与えるという事になります。もちろんこれまでも肉食動物には死んだ動物の肉を与えているのですが、それは私たちが食べるお肉と同じように部位ごとにカットされたもの。屠体は、食害により駆除されたイノシシやシカなどの動物の体そのものを与える(衛生面などから頭部や内臓などは取り除かれます)というもので、この取り組みは当園が初めてではなく、屠体給餌の有用性を広める団体と連携しながら他の動物園などでも先行して実施をしています。

屠体給餌
《シカの屠体肉をくわえるエゾヒグマ》

 実はこのイベント、今年の2月にも「肉の日」イベントとして行っており、その時は、さしたる反響もなかったのですが、今回は新聞各紙にも取り上げられたこともあり、問合せや苦情をいくつか頂きました。苦情の内容は、残酷だ、教育上よくない、偽善的だ、不衛生だ、子供に見せたくないといったものでした。

 屠体給餌の目的は、一つは、動物に野生本来の食性を取り戻させることで、退屈になりがちな動物園生活に少しでも刺激を与えられるという環境エンリッチメント的な動物福祉の側面。もう一つは、有害鳥獣として駆除された動物を有効活用することで、その背後にある動物たちの環境を少しでも理解してもらう教育的側面の二通りがあると考えています。こうした話は、以前の飼育員のブログ(下記参照)でもお伝えしているところです。そこで可能な限りこうしたご意見にはこちらなりのメッセージが伝わるよう、丁寧に答えさせて頂きました。

 一方で今回多かったのは、実際に駆除した動物の引き取り依頼の問合せです。県内自治体の担当者からもありました。実際茨城県では、イノシシの駆除数が、平成12年度の927頭に対し平成27年度は6029頭にまで増加しています(平成29年3月茨城県イノシシ管理計画)。しかし、私たちが使っている屠体は九州でジビエなどを専門に扱う業者から購入したものに限定しており、こうした依頼には対応できないことを説明させて頂きました。理由は、動物に食べてもらうためには感染症などへの罹患リスクを考え、安全面や衛生面に最大限配慮した屠体を使う必要があるからです。冷凍処理や低温殺菌、内臓や頭部除去など設備やノウハウを備えた専門業者から購入するという事は、正直コストも高くなるのですが、人間でも口にできるようなものを与えるのは当然のことです。「うちで駆除したからすぐ食べさせて」という訳にはいかないのです。

 でも、今回こうした反響が色々あったおかげでそうした問合せやご意見、苦情などにも正面から答え、実態を分かって頂けたことは成果の一つかもしれません。と同時に、今後の教育的な課題も見えてきました。屠体という言葉自体、とかく負の側面が強いのは事実で、子供さんの夢をはぐくむ動物園という明るいイメージに対し、野生動物本来の姿をどう重ね合わせるかといった部分も考えていく必要があるでしょう。また、増えていく食害などを本当にどうすればいいのか、といったことも考える必要があるでしょう。しかし動物園は教育の場でもありますが、私たちはすべての答えを持っているわけではありません。これからも動物をとり巻く話題や材料を提供しながら、こうしたイベントを通してぜひ皆さんと一緒になって考えていけたらと思います。

これまでの飼育員ブログ

 2月のブログはこちら (新しいウインドウが開きます)https://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/blog202002.html 

5月のブログはこちら (新しいウインドウが開きます)https://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/blog/staff/blog202005.html

※どちらも月ごとにほかのブログと一緒に掲載されています。

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