夏だ、海だ、山だ!と、例年なら心弾むこの時期、どうも今年はそうはいかない状況が続いています。コロナの感染拡大はいまだ止まず、梅雨の長雨や曇天もだらだらと続いています。それでも動物園では思いのほか多くのお客様にご来園頂いています。この4連休も天候はすぐれなかったのですが、それほどの大降りにもならず、特に2日目はたくさんの人で賑わったようです(私は公休でした)。屋外施設でもある動物園はそれほど密にもならず、また、近場で楽しめることからGo to 動物園、となったのでしょうか。ただ、人が集まるイベントなどはまだ再開しておらず、今年は夜の動物園も中止することとしました。また恒例の夏の企画「身近な生き物展」も中止となっています。
そんな中、たまたま家で見つけたゴマダラカミキリを入園口に置いたところ、結構小さいお子さんが足を止めて真剣に見入ってくれたりしています。実はこのゴマダラ、家内がユズの木にいた2匹を捕まえたのですが、どうやらペアだったらしく交尾して卵を産みました。しかしメスは産卵後、ほどなくして死んでしまいました。残ったオスはまだ元気にしており時々入れるユズの枝木をガリガリ削って食べています。また、これとは別に庭の畑にいた幼虫を何匹か土ごと捕獲してプラケースに入れておくと、昨日、羽化した成虫が土の中から4匹出てきました(出てくる瞬間は見られなかった!たまたま私の部屋に訪ねてきた職員が「あれ、これなんですか」と言われて見てみると、すでに出土!)。出てくるまで何の幼虫か分からなかったのですが、出てきたのはシロテンハナムグリという甲虫でした。コガネムシの仲間で樹液や果実に集まるようです。せっかくなので1匹でいるカミキリのケースに入れ、一緒に見てもらう事にしました。外の世界に出たばかりのハナムグリは昆虫ゼリーに首ったけ。小さなプラケースの中では色んな営みが行われているのです。
ちなみにハナムグリですが、土の中で土を集めて自らの糞で固めた土繭(つちまゆ)といわれる蛹室(ようしつ)を作り、幼虫はその中で蛹になって成虫へ羽化します。カブトムシも蛹室を作りますが、カブトムシのそれよりしっかりしてるので、取り出すことができました。
動物園では中止になってるイベントに替え、夏を楽しく乗り切ってもらうための動画を作成し、ネットで昨日(7/26)から配信しました。その第1弾が「サマーだZOO!夏の遊び方講座」。まさに入園口にいるカミキリやコガネムシなど、夏の昆虫の捕まえ方を特別に伝授しちゃおう、というものです。虫たちはこの動画に頼らずとも、いろんな方法で捕まえることができます。今年はコロナの関係で思うような夏を過ごせなくても、実は身近なところにこうした面白い虫たちの世界があることを見つめ直すいい機会なのかもしれません。ぜひお父さんお母さんはこういう時期だからこそ、昔やった昆虫採集などをお子さんと一緒に楽しまれてみてはいかがでしょうか。こんな時こそ虫頼み!