今年で5回目になる「かみね・おもしろZOOサロン」が昨日(2/18)開催されました。
今回の講師は作家の川端裕人さん。当園は昨年12月に2度目のエンリッチメント大賞を受賞したこともあり、これを記念しての講演でもありました。川端様は今から20年ほど前に動物園界では知らない人はいない(と思われる)「動物園にできること~種の方舟のゆくえ」(文藝春秋)を著した方で、この本の中でエンリッチメントの取り組みなどを含め先進的なアメリカの動物園事情を紹介されました。私も遅ればせながら、というか10年前にこの世界に足を踏み入れてから初めてこの本でエンリッチメントという言葉を知りました。今では各地の動物園でも当たり前のように取り入れられていますが、お客様など一般の方にはまだまだ浸透度は低いのではないかと思います。そこで、今回は川端様をお招きして、エンリッチメントを含め現在進行形の動物園の形やこれからの方向性、目指すべきところなどをお話しいただいたというわけです。
また、前段ではその導入部として、「チンパンジーの群れ入りとエンリッチメント」というタイトルで大栗飼育員に具体的な当園の取り組みを話してもらいました。寒い中、事前申し込みを含め60名ほどの方が参加されましたが、狭いスペースのせいもあり会場は終始熱気に包まれていました。
川端様には当園の取り組みを高く評価して頂きましたが、その先には常に市民を意識していただきたいというようなことを述べられ、特に「動物園の責任者は市民です」という言葉は大変重く心に響きました。確かに私たちは、動物園を運営してるんだ、という意識を一方的に持ってしまいがちですが、市民の財産であるということをよく考えると、市民から負託されているという感覚が根底になければならないのでしょう。そういう大切な部分を改めて考えさせてくれる講演会となりました。このほか、イルカ問題を絡めながら、海外の動物園事情やゾウの飼育方法に関する考え方など、一般のお客様にもわかりやすく解説をされ、最後まで時間を忘れて問題意識を共有することができました。
参加された皆様、そして川端様大変ありがとうございました。