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staff blog園長室ブログ

自然界の小さなドラマ

2022年10月13日

 先日、ある男の子から「駐車場にヘビが出てるんですけど見てもらえますか」という連絡を受けました。動物園ではよくアオダイショウが出るので 、またそんな類だろうと一応子どもさんと一緒に見に行くことに。その子どもさんは動物園から逃げてないかが心配になったようで、もちろんそこは否定しておきましたが、まあ、ヘビを発見して知らせに来るだけでもずいぶん時間も経っているし、もうヘビはいないのじゃないかとタカをくくって現場に着くと・・・。

現場
《駆けつけた駐車場の土手》

 お母さんがじっと駐車場わきの土手を観察していました。その視線の先を追ってみると・・・いましたいました。時間が経過してもそこにいる理由が分かりました。それはそんなに大きくはないシマヘビがとぐろを巻いて何かを巻き込んでいたのです。子どもとお母さんは遠巻きに見ていたので何をしてるのかわからなかったようなので改めて一緒に近寄ってじっくりそばで見てみることに。シマヘビはトカゲ(ヒガシニホントカゲか)を捕まえ、絞め殺そうとしていることがわかりました。そのように説明すると納得したようで、この先どうなるのかと3人で再び観察を続けることに。自然界のシナリオでは、この後ますます絞められてついには息絶えたトカゲは頭からガブリとやられヘビのおなかに収められていくでしょう、と3人でそうした話をしながら見ていました。

シマヘビ
《シマヘビがトカゲを》

 すると、突然トカゲはスルッと恐怖の抱擁地獄から逃れると土手の下へ。すぐさまヘビも素早く後を追い再びガブっとヘビの餌食に。と思ったその瞬間、トカゲは寸でのところでスパッと尻尾を切り残りの体で脱兎のごとくピューっと逃げていっちゃいました。そのあとには切られた尻尾だけがヘビを嘲笑うかのように右に左にピョコピョコやっているだけ。文字にすると100字以上も使いましたが、時間にするとあっという間の出来事でした。そして惜しい獲物に逃げられたヘビはピョコピョコを食べるでもなく(尻尾だけでは気持ち悪いのか?)、仕方なさそうにスルスルと垣根の中に消えていきました。

 お母さんは男の子に「トカゲはああして自分の身が危険にさらされると自分で尻尾を切って逃げるのよ」と説明していました。ヘビの餌食になるところを寸でのところで逃げおおせ命拾いしたトカゲ、いつありつけるかわからない獲物を逃した残念なヘビ。漫画風に吹き出しをつけるなら、どちらも「やれやれ」といったところでしょう。そして悲喜こもごもの両者の行動を目の当たりにした親子にとっては、野生の動物たちの日々の営みを自分の目で確認できた貴重な瞬間であり、観察することの大切さも同時に学べたのではないでしょうか。私にとっても、切れた尻尾は見たことあるもののトカゲの自切の瞬間は初めてであり、自然界の小さなドラマは動物園では伝えきれないことがあることを実感した瞬間でもありました。 

(自切後の尻尾写真を撮らなかったことを後悔してる園長 生江信孝)

2022年10月13日