伝えたい!がん検診の大切さ

 一生のうちに、2人に1人が「がん」にかかり、3人に1人が「がん」で亡くなるといわれています。日立市でも、年間約600人が、がんで亡くなっており、とても身近な病気です。(図1)
 今回は、市のがん検診のあり方やがん予防について協議している「日立市地域医療協議会がん対策調査研究専門委員会」の先生方から「一人でも多くの方にがん検診や早期発見の大切さを知ってほしい」という願いを込めたメッセージをお伝えします。

 

図1 死因別死亡率(平成30年)
資料1 茨城県保健福祉統計年報

市では、次のがん検診を行っています。

  • 胃がん検診
    胃部X線検査(バリウム検査)
    胃内視鏡検査(令和2年度から開始)
  • 大腸がん検診(便潜血反応検査)
  • 肺がん検診(胸部レントゲン検査、胸部CT検診)
  • 乳がん検診(超音波検査、マンモグラフィ検査)
  • 子宮頸がん検診(細胞診)
  • 肝炎ウイルス検診(B型、C型)
  • 前立腺がん検診(血液検査)

それぞれの「がん」について知ろう

今こそ大事な 「がん検診」

委員長 なわ内科・呼吸器クリニック 名和 健 医師
 現在、がんの全てが不治の病というわけではなく、6割は治ることが期待できます。さらに早期の段階でがんを見つければ治る可能性はぐんと高くなります。ただし、早期がんのほとんどは自覚症状がありません。子宮頸がん、乳がん、大腸がんは検診を正しく受ければ命を落とす危険を下げることが国際的に証明されています。胃がん、肺がん検診は国内、肺がんCT検診は日立市の研究で有効性が示されています。これらのがんは多くのがんのなかでも特に検診に向いています。新型コロナウイルス感染症を心配するあまり検診が遅れて病気が進んでしまうのは残念なことです。検診会場や医療機関では適切な感染症対策を行い皆さまの受診をお待ちしています。

肺がん

委員 日立総合病院 遠藤 勝幸 医師
 日立市の2018年がん死亡者599人のうち、肺がん死亡者は104人(男性77人、女性27人)と、がん死亡の第1位です。初期の肺がんは自覚症状がなく、検診を受けなければ見つかりません。日立市の肺がん検診は、胸部レントゲン検診と、2001年からは高精度の胸部CT検診も行っています。茨城県の肺がん2,777人の調査では、治る肺がん(限局性病変)の割合は、全体では33パーセント、レントゲン検診を受けた人では58パーセントでした。日立市のCT検診で発見された肺がん386人では88パーセントです。CT検診は5歳刻みの節目年齢での受診を勧めます。その間はレントゲン検診を受けます。肺がんの高危険群は、CT検診を受けたことのない人、特に60〜70歳台の男性です。肺がん検診を受けてください。

胃がん

委員 日立総合病院 平井 信二 医師
 胃がんの主要な原因はHelicobacter Pylori(以下ピロリ菌)感染です。このピロリ菌保菌率は年々低下して、胃がんに罹る方も減少傾向にあります。しかし、未だ50歳以上ではその比率は高く、定期的に胃の検診を受ける必要があります。ピロリ菌感染は小児期に感染し、胃の粘膜に炎症が続き、慢性の萎縮性胃炎を経て一部の方に胃がんが発生します。胃がんの検診には「胃バリウム検診」と昨年から日立市でも導入された「胃内視鏡検診」があります。両者とも胃がんを発見する以外に、背景の胃粘膜の状態である慢性萎縮性胃炎の状況も診断することができます。つまり胃がんの早期発見以外に胃がんの発生リスクも判定できますので、継続的に「胃がん」検診を受診ください。

乳がん

委員 おおたしろクリニック 太田代 紀子 医師
 乳がんは今や9人に1人がなるといわれています。自分で定期的にチェックすれば見つけられるがんですが、検診を受けるとさらに早く発見できます。毎年(又は隔年ごと)検診を受けましょう。乳房は年齢・妊娠・出産・授乳などにより変化します。国の指針では40歳から2年に1回のマンモグラフィ撮影を薦めています。40歳以下の人はマンモグラフィで乳癌が見つかりにくい傾向があるからです。日立市ではマンモグラフィと超音波検査を年齢に合わせて実施しています。さらに、より正確にがんを発見するために以前の画像との比較や総合的な判定をしています。検診で大丈夫と言われても急速に大きくなる乳がんもあるので、入浴時などに自分でチェックすることも忘れずに。

大腸がんと肝がん

委員 日立総合病院 鴨志田 敏郎 医師
 「あの時検診を受けておけばよかった。」症状が出てから受診し大腸がんと診断された患者さんから時々聞く言葉です。大腸がんは早期であれば内視鏡治療で治癒します。検診で診断された大腸がんは、症状が出てから診断された大腸がんよりも経過が良いことも分かっています。肝がんになりやすい方は、B型肝炎・C型肝炎ウイルスの陽性者であり治療が進歩して肝がんの予防が可能です。通院中の方は、肝炎ウイルスを調べている可能性がありますので聞いてみてください。また、日立市では40歳以上で過去に肝炎ウイルス検査を実施したことがない方に対して、肝炎ウイルス検診も実施しております。検診を上手に利用して健康長寿を達成しましょう。

子宮頸がん

委員 福地レディースクリニック 福地 秀行 医師
 子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、約2,900人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年増加傾向にあります。日本で推奨されている子宮頸がん検診の対象は20歳以上ですが、特に20歳代と30歳代女性の検診受診率が低いことにより、50歳未満での子宮頸がん罹患率が先進国の中では高くなっています。子宮頸がん予防には、一次予防としてHPVワクチン接種、二次予防として検診(子宮頚部細胞診、HPV検査)(*1)があります。無症状でも検診を受けることにより、前がん病変や早期がんの段階で発見されれば、子宮を温存し、妊娠・出産することも可能です。また、現在日本ではHPVワクチンの定期接種(*2)は継続していますが、接種率はかなり低く、そういった理由からも検診をお受けになられることをお勧めします。

 

(*1):現在、日立市では、子宮頚部細胞診のみを実施
(*2):定期接種としては、小学校6年生から高校1年生の女性を対象に実施(要申込)。その他の年齢の方は、医療機関に問合せを

 

令和3年度がん検診の申し込みについては、4月5日号市報でお知らせします。
*胸部レントゲン検査、肝炎ウイルス検診、前立腺がん検診は、5月5日号でお知らせします。

問合せ 健康づくり推進課 電話番号 0294-21-3300 IP 050-5528-5180